あの一家が帰ってきた! 橋本さとし率いる『アダムス・ファミリー』がみなとみらいで製作発表&楽曲披露イベント開催
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ブロードウェイミュージカル『アダムス・ファミリー』
2017年10月28日(土)より横浜・KAAT神奈川芸術劇場<ホール>にて上演される、パルコ・プロデュース ブロードウェイミュージカル『アダムス・ファミリー』。その製作発表&楽曲披露イベントが10月1日(日)に横浜MARK IS みなとみらいにて開催され、橋本さとし、真琴つばさ、壮一帆をはじめ、昆夏美、村井良大、樹里咲穂、戸井勝海、澤魁士、庄司ゆらの、梅沢昌代、今井清隆、演出の白井晃が劇中衣裳で登壇した。
『アダムス・ファミリー』は、チャールズ・アダムスの漫画をもとに2010年にブロードウェイで初演されたミュージカル。おばけのアダムス一家と人間のルーカス一家が出会うことによって起こる騒動を描く物語で、原作はブラックユーモアとゴシックテイストで絶大な人気を博しテレビドラマやアニメ化され、さらに映画は世界的に大ヒット。日本では2014年に白井晃の演出で日本初演され、キャラクターにぴったりのキャスト陣、心に残る楽曲で大評判となり、今回はキャストの一部を新たにおよそ3年ぶりの再演となる。
製作発表は、アダムス一家による歌唱披露からスタート。代表曲「我らアダムス」を一家で熱唱し、休日でにぎわうグランドガレリアの注目を集めた。続いてほかの出演者もステージに登壇、それぞれ意気込みを語った。
KAAT神奈川芸術劇場の芸術監督を務め、本作演出の白井は「この作品は世界的に有名な映画がございましたが、ブロードウェイでミュージカルになり、それが3年半前に日本で再構築されオリジナル作品として初演されました。もちろん物語や音楽はブロードウェイ版と同じですが、演出とダンスは日本オリジナルです。本家本元よりも面白いのではないかと。それぐらい楽しい舞台になっており、私が芸術監督を務めるKAATで上演されることをとても楽しみにしています。太平洋を渡ったら少しだけお茶漬け味になった感じではありますが、日本ではこの方たちしかいないという素晴らしいキャストの皆さんに集まっていただきました。素晴らしい歌とダンス、何回観ても楽しめる作品になっております」と挨拶。
橋本さとし
続いてアダムス家の家長・ゴメス役の橋本は「オブリガート! アリガート!」と軽快に声をかけ会場をあたため「私たちはおばけです。本当はこの時間に出てきてはいけない物なんです。そしてこの太陽の光にものすごく弱いはずなんです。でもなぜここに出てきたか……それは皆さんに観て頂きたいミュージカルがあるからなんです! 最高の作品になりました。近くには中華街があり、ちょっと行けば海も見ることができます。最高のツアーが皆さまを待っています。ぜひ劇場でお会いしたいと思います」と情熱的にアピール、おばけなのに蚊に刺されたと告白し会場を沸かせた。
真琴つばさ
母であり妻であるモーティシア役は真琴と壮のWキャスト上演、まず初演から続投する真琴は「再演に先立ち演出の白井さんよりテーマをいただきました。『妖艶』……妖しい美しさをお届けしたいと思います。そしてWキャストということで、すでに面白いアダムスファミリーが100万倍面白くなります!」と語り、指先まで完璧にモーティシアを表現し、さすがの貫禄を印象づけた。
壮一帆
そして今回が初出演、同じくモーティシア役を務める壮は「参加することができて嬉しいです。先輩の背中をしっかりと見習って、家族を大きな愛で包みたいと思います。初演からいらした皆様の輪に入ることは想像以上に大変だなと思っている所ですが、とにかく稽古をして一回一回集中し濃い作品にできたら」とニッコリ、2人の持ち味が違うモーティシアに期待が高まる。
昆夏美
アダムス家の長女・ウェンズデー役の昆も初演から続投となり「大好きな家族と過ごしていましたが人間の男の子を好きになりました。観にきてください……」とキャラクターになりきり、ぶっきらぼうな言い回しはさすが一家一番の危険人物。「(再演が決まって)初演の時は毎日とても楽しかったので、再演が決まった時はヤッターと思いましたが、新しいキャストを迎えるので、初演よりもパワーアップできるようにという想いも同時にあります。ファミリーと、今日は来ていない“祖先”と呼ばれるアンサンブル皆さんも一緒に一丸となって良い作品をお届けします!」と意気込んだ。映画『美女と野獣』のベル役とは正反対の役どころ、そのキュートな外見とのギャップと絶品の歌唱力は今回も話題になりそうだ。
村井良大
続く人間界のルーカス一家は今回新しいキャストが揃った。ウェンズデーの恋人・人間の男の子ルーカスを演じる村井は「ウェンズデーと結婚できるようにがんばります。今回からの参加なので、この家族一丸となってアダムス家に立ち向かって行き、そして全員でこの作品を楽しみたいです。アダムス・ファミリーにしかない空気感をとらえながら劇場へ持っていけたら」とコメント。村井は『RENT』のマーク役、『きみはいい人、チャーリーブラウン』チャーリー役など人気ミュージカルの主演を務める実力派。ガールフレンドに振り回される頼りないルーカスはハマること間違いない。
樹里咲穂
戸井勝海
ルーカスの母アリス役の樹里は「息子好き、亭主元気で留守がいい」とコメントすれば、ルーカスの父マル役の戸井は「頑固者、妥協の文字は見つからず」と続け夫婦仲良しコンビぶりを披露。ブロードウェイの初演を観ていたという樹里は「黄色い衣裳のお母さん役が好印象で、しばらくしたらひょいと目の前にアリス役がやってきました。幸せなんてものでは語れないくらい嬉しかったです」と当時を振り返り嬉しさを爆発させていた。さらに戸井も「稽古をみていると普通の人がいません。お客様目線でファミリーに翻弄されたい」と本編の仕上がりが上々であることをうかがわせた。
澤魁士
庄司ゆらの
そしてアダムス家の執事ラーチ役の澤は「ムウウウウウ……(高い所から失礼します。よろしくお願いします)」と通訳を介して挨拶、この日も黙々と主人をサポートしていた。アダムス家ウェンズデーの弟・パグズリー役の庄司は「拷問が大好きです」と不敵に挨拶すれば、アダムス家のグランマ役の梅沢も「初参加、最年長、100歳を超えて人生ひと花咲かせたい」と笑わせ個性豊な面々が揃う。
梅沢昌代
さらに梅沢は「稽古場ではお客になって涙を流しながら笑っています。橋本さんはとても面白いです。私も珍しい役なので新しいジャンルを開ける様がんばります」と何よりもキャスト達が楽しんでいる様子に期待が膨らむ。
今井清隆
アダムス家フェスター叔父さん役の今井は「見た目と裏腹に誰よりも心優しいフェスターです。この再演を心待ちにしておりました。新メンバーも加わってさらにパワーアップしたアダムス・ファミリーになっています」と想いを述べた。
演出:白井晃
質疑応答で白井は「アダムス家とルーカス家が平和に融合していく様をもっと明確に魅せられれば、そしてダンスもパワーアップしていますのでそこも見どころです。KAATという劇場は客席との距離感がとてもよく、初演よりも素晴らしできになると思います。そこを目指してやっていきます」と自信を見せた。
本作で読売演劇大賞優秀男優賞を受賞しまさにハマり役、再演が決まった時の気持ちを聞かれると橋本は「ゴメス役が僕で良かった。この役は自分にとってとても大事な役。このファミリーは稽古場からこの雰囲気でとても結束していて、この中に自分が入れることはとても嬉しいです。その良い空気感をKAATから大阪、富山へとそのまま皆さんに伝えていきたい」とキャスト変更がなかったことにホッとしたエピソードを明かしつつ、本番に向けて意気込んだ。
その後は昆と村井、樹里と土井による「狂っている」、橋本と壮による「死ぬまで生きよう」の楽曲が披露され、集まった大勢の観客を魅了した。
ブロードウェイミュージカル『アダムス・ファミリー』
取材・文・撮影=谷中理音
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