最高にハッピーなブロードウェイ・ミュージカル!『天使にラブ・ソングを… ~シスター・アクト~』が開幕! 初日観劇レポート

レポート
舞台
2017.10.27
(c)渡部孝弘

(c)渡部孝弘


1992年に世界中で大ヒットしたコメディ映画『天使にラブ・ソングを…』のミュージカル版の舞台『天使にラブ・ソングを… ~シスター・アクト~』が、10月25日から渋谷ヒカリエ11階にある東急シアターオーブで始まった。2015年の初来日公演は全公演完売。その大人気作を東京で見るチャンスが再びやってきた。初日の25日の様子をレポートする。

舞台の設定は1977年のクリスマスイブ。スター歌手を夢見る主人公のデロリスは米国フィラデルフィアのナイトクラブで歌っていた。デロリスは、そのクラブのオーナーで、ギャングの親分でもあるカーティスと愛人関係にあったが、彼と別れて大スターになることを決意する。しかし偶然、カーティスと3人の子分が殺人事件を起こすところを目撃してしまい、命を狙われる羽目になる。警官のエディはデロリスを安全にかくまうため、修道院に彼女を連れていく。自由に外出ができないなど厳しいルールを嫌がっていたデロリスだったが、修道院長から聖歌隊の指導者に任命されたことをきっかけにしスターたちと心を通わせて......というハートウォーミングなお話だ。

ミュージカル版は、2006年に米国カルフォルニアで誕生。ロンドン、ハンブルクの上演を経て2011年にブロードウェイで開幕した。映画版で主人公デロリスを演じたウーピー・ゴールドバーグ(Whoopi Goldberg)がオリジナルプロデューサーの一人として名を連ねているほか、演出はトニー賞4度受賞経験のあるジェリー・ザックス(Jerry Zaks)、作曲は『美女と野獣』や『アラジン』などのディズニー映画の音楽を中心に生み出しているアラン・メンケン(Alan Menken)が務めるという豪華すぎるクリエイターが揃った。

今回の来日公演で、主人公のデロリスを演じるデネー・ヒル(Dené​ Hill)は、映画版のウーピーや日本上演版(14年,16年)の森公美子のイメージとは違って、だいぶスラリとしたモデル体型だが、全身から溢れ出るパワフルさと迫力は負けていない。修道院長を演じるレベッカ・メイソン−ワイギャル(Rebecca Mason-Wygal)の安定感のある歌唱と繊細な芝居、警官のエディを演じるウィル・T・トラヴィス(Will T. Travis)のチャーミングな演技、シスター・メアリー・ローバートを演じるソフィー・キム(Sophie Kim)の可愛らしさとどこまでも伸びやかな歌声などなど。クリエイターもさることながら、キャスト陣にも注目してほしい。

(c)渡部孝弘

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映画版では既成曲を含めて1950~1960年代のソウル・ミュージックで彩っていたが、ミュージカル版は時代設定を1970年代のディスコ全盛期としてディスコミュージックを軸に塗り替えている。場所もネバダ州のリノから、フィラデルフィア州ペンシルベニアに移したという。その理由についてメンケンは「オリジナルのディスコ音楽を使ったミュージカルは聞いたことがない。それにディスコ音楽のパーティー&セックスといった浮ついたイメージは、シスターの生活とは対極じゃないか!」(公式プログラムより)と語っている。しかし、全てがディスコミュージックで構成されているわけではなくて、フィリーソウル、賛美歌、バラードと豊かなラインアップで、ちゃんと"ミュージカルらしく"聞かせる曲も、『天使にラブ・ソングを…』のオリジナルの世界観も残している。

まぁ、とはいえ、修道服を着ながら、ディスコダンスを激しく楽しそうに踊るという視覚的な面白さも相まって、全体的にテンポのいい楽曲が印象に残る。修道女たちにデロリスが「音符を追うだけじゃダメ 神様に喜びを伝えるの」と歌を教える『Raise Your Voice』、ディスコの象徴とも言える映画『Saturday Night Fever』を明らかに意識した2幕冒頭の『Sunday Morning Fever』など。観客のボルテージも終盤に向けて上がっていくのを感じた。最後の楽曲『Spread the Love Around』では、マリア像が巨大なミラーボールの役目を果たして、劇場全体がまるでディスコと化していた。

20分の休憩を含めて2時間20分。いろんな感情が交錯しながらも、最後にはとても幸せな気持ちになれるミュージカル。この最高にハッピーな気分を味わえる機会をお見逃しなく、ぜひ東急シアターオーブへ。

取材・文=五月女菜穂

公演情報
ブロードウェイ・ミュージカル『天使にラブ・ソングを…(シスター・アクト)』​
※英語上演日本語字幕あり

■公演日程:2017年10月25日(水)~11月12日(日)
■会場:東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)
■料金:S席 ¥12,000 A席 ¥10,000 B席 ¥7,000(全席指定/税込)

■演出:ジェリー・ザックス 
■音楽:アラン・メンケン 
■オリジナルプロデュース:ウーピー・ゴールドバーグ
■主催:Bunkamura/日本テレビ/BS日テレ/TOKYO FM/ぴあ
■オフィシャルエアライン:日本航空
■後援:アメリカ大使館/WOWOW
■メディアパートナー:朝日新聞社
■企画・招聘:Bunkamura
■公式サイト:http://theatre-orb.com/lineup/17_sister/

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