『THEドラえもん展 TOKYO 2017』が開幕 “ドラえもん愛”に溢れる本展のみどころを徹底レポート

レポート
アート
2017.11.6
 Mr.「重力ちょうせつ機」

Mr.「重力ちょうせつ機」

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森アーツセンターギャラリーにて『THEドラえもん展 TOKYO 2017』(2017年11月1日〜2018年1月8日)が開幕した。本展は、「あなたのドラえもんをつくってください」というテーマを与えられた28組30名の現代アーティストたちが、絵画や立体、映像など様々な媒体で制作した「ドラえもん」作品を展示するもの。2002年に開催された『THEドラえもん展』に出展した村上隆、森村泰昌、奈良美智、蜷川実花、福田美蘭の新作に加え、現代アート界を担うドラえもん世代の作家達の作品が集い、まさに“ドラえもん愛”に溢れる空間となっている。

会場エントランス

会場エントランス

会場風景 手前:小谷元彦「救世銅鑼ェ門」

会場風景 手前:小谷元彦「救世銅鑼ェ門」

一般公開に先立ち催された内覧会では、本展監修者である美術史家の山下裕二と、参加アーティストの鴻池朋子、町田久美、中里勇太によるプレスツアーが行われた。作家によるコメントも交えつつ、本展の見どころを紹介しよう。

左:町田久美 右:山下裕二

左:町田久美 右:山下裕二

村上隆、山口晃、奈良美智が表現するドラえもん

会場は大きく二部構成に分かれている。前半は「あなたのドラえもん」がテーマとなり、後半は、映画ドラえもんシリーズと絡めた展示作品が揃っている。海外での活躍も目覚ましいアーティスト達と、国民的キャラクターであるドラえもんの豪華な共演では、作家独自の世界観とドラえもんの普遍的な魅力が見事に調和している。

「アーティストが作るものはその人の鏡である」と考えた村上隆は、作品内に、ドラえもんの生みの親である藤子・F・不二雄の姿を取り入れた。

村上隆「あんなこといいな 出来たらいいな」

村上隆「あんなこといいな 出来たらいいな」

村上隆

村上隆

また、山口晃は、ドラえもんとのび太の日常的な会話シーンを漫画に仕立てている。さらに、奈良美智は前回発表の作品タイトルとリンクしている新作を発表した。

山口晃「ノー・アイアム・デー」

山口晃「ノー・アイアム・デー」

左から:奈良美智「依然としてジャイアンにリボンをとられたままのドラミちゃん@真夜中」、奈良美智「ジャイアンにリボンをとられたドラミちゃん」

左から:奈良美智「依然としてジャイアンにリボンをとられたままのドラミちゃん@真夜中」、奈良美智「ジャイアンにリボンをとられたドラミちゃん」

だまし絵風の作品から、ドラえもんとのデート風景まで

福田美蘭の『波上軍仙図』は、古代中国の仙人達が談笑する様子と、ドラえもんがタケコプターで波の上を飛んでいる姿を、二重映像の手法を用いて描いている。だまし絵のような作り込みは、細部までじっくり鑑賞したい。

福田美蘭「波上郡仙図」

福田美蘭「波上郡仙図」

写真家の蜷川実花は、彼氏になったドラえもんとのデート風景をテーマに作品を制作した。漫画家のしりあがり寿によるアニメ作品は、作家による独特なタッチと、原作アニメの作画が交錯し、作者オリジナルのひみつ道具「劣化防止スプレー」を紹介する奇想天外な物語になっている。

蜷川実花「ドラちゃん1日デートの巻2017」

蜷川実花「ドラちゃん1日デートの巻2017」

しりあがり寿「万事解決!劣化防止スプレーの巻」

しりあがり寿「万事解決!劣化防止スプレーの巻」

コイケジュンコと共同制作した森村泰昌の新作では、原作漫画の台詞を切り貼りした紙のドレスを、森村泰昌が着用したポートレートを発表。ドラえもんと、ドラミ、のび太の台詞がランダムに組み合わされたドレスをみて、どのシーンの台詞が使われているか確認するのも楽しそうだ。

会場風景 左:森村泰昌+コイケジュンコ Ji-Ku-Mo-Koプロジェクト「時を馳けるドラス」中央:同作者 Ji-Ku-Mo-Koプロジェクト 「空を越えるドラス」 右奥:森村泰昌&ザ・モーヤーズ「ドラス」

会場風景 左:森村泰昌+コイケジュンコ Ji-Ku-Mo-Koプロジェクト「時を馳けるドラス」中央:同作者 Ji-Ku-Mo-Koプロジェクト 「空を越えるドラス」 右奥:森村泰昌&ザ・モーヤーズ「ドラス」

プレスツアーに参加した鴻池朋子は、ヒロインのしずかちゃんに着目。作品制作にあたり原作漫画を読み返してみると、「藤子先生が、しずかちゃんに対しては気を遣いながら描いているように感じた」と話す。

鴻池朋子「しずかちゃんの洞窟」

鴻池朋子「しずかちゃんの洞窟」

また、「しずかちゃんのぷりっとした身体を甘噛みしてみたい」という衝動から、一貫したモチーフであるオオカミがしずかちゃんをくわえている姿になったという。キャンバスには牛皮を用いていることから、展示室内にふわりと漂う皮の匂いも感じてみてほしい。

鴻池朋子

鴻池朋子

大人になったしずかちゃん、立体化した架空動物「ペガ」も

展示後半では、子供の頃からドラえもんと共に育った、いわゆる“ドラえもん世代”の現代アーティスト達が、映画37作品のうち1作品を選び、作品制作にあたった。参加アーティストの中で最年少のれなれなは、自身の得意とする黒板アートで映画『のび太の新魔界大冒険〜7人の魔法使い〜』の世界を表現した。

れなれな「静かな決意」

れなれな「静かな決意」

プレスツアーに参加した彫刻家の中里勇太は、映画『のび太の日本誕生』に登場する3匹の架空動物のうちの1匹である「ペガ」を立体化させた。ペガをモチーフに選んだ理由について、「のび太が特に可愛がっているようなイメージがあった」と話し、「爽やかなイメージがあって、ドラえもんの世界観をよく表現している。希望に満ちていて、何かがはじまることを象徴するようなモチーフだと思った」と、説明した。

中里勇太「選んだゆめときぼう」

中里勇太「選んだゆめときぼう」

映画『のび太の宇宙小戦争』を選んだ坂本友由は、巨大なキャンパスに成熟したしずかちゃんの姿を描く。画面下部中央の絶妙な位置に、ドラえもんの頭部が描かれていることも見逃さないでほしい。

坂本友由「僕らはいつごろ大人になるんだろう」

坂本友由「僕らはいつごろ大人になるんだろう」

「Kawaii」をテーマにする増田セバスチャンは、映画『のび太のドラビアンナイト』を題材に、巨大なぬいぐるみを制作した。色鮮やかなマテリアルで装飾されるドラえもんの姿には、大きさだけではない迫力が感じられるだろう。

増田セバスチャン「さいごのウエポン」

増田セバスチャン「さいごのウエポン」

グッズもフードも、ドラえもん一色!

会場内の特設ショップには、300アイテム以上のオリジナルグッズが販売されている。ドラえもんファンにはたまらないラインナップであると同時に、アーティスト作品をあしらったマスキングテープやポーチ、トートバックなど、思わず手に取りたくなるアイテムも揃っている。

会場オリジナルグッズ

会場オリジナルグッズ

さらに、会場に隣接するカフェ「THE SUN」では、本展とのコラボメニューが展開する。期間限定の暗記パンやしずかちゃんのバスシーンをモチーフにしたメニューなども合わせてチェックしたい。

タイムマシンのフルーツタルト

タイムマシンのフルーツタルト

手前:タケコプターバーガー 奥:ライチフローズンカクテル お空のお散歩(11月1日〜12月3日まで)

手前:タケコプターバーガー 奥:ライチフローズンカクテル お空のお散歩(11月1日〜12月3日まで)

『THEドラえもん展 TOKYO 2017』は2018年1月8日まで。今もなお、幅広い世代に愛されるドラえもん。この機会に、ドラえもんとの思い出を振り返ってみてはいかがだろうか。

イベント情報
THE ドラえもん展 TOKYO 2017

会期:2017年11月1日(水)〜2018年1月8日(月・祝)
会場:六本木ヒルズ 森アーツセンターギャラリー
開館時間:10:00〜20:00(火曜日は17:00まで)※入場は閉館の30分前まで
入場料:一般1800円(1600円)中高生1400円(1200円)4歳〜小学生800円(600円)※()名は15名以上の団体料金
http://thedoraemontentokyo2017.jp​
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