美術館を擬人化してみた~「東京都美術館」編~ 【SPICEコラム連載「アートぐらし」】vol.7 とに~(アートテラー)

コラム
アート
2017.11.21

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美術家やアーティスト、ライターなど、様々な視点からアートを切り取っていくSPICEコラム連載「アートぐらし」。毎回、“アートがすこし身近になる”ようなエッセイや豆知識などをお届けしていきます。
今回は、アートを発信する「アートテラー」のとに~さんによる『【美男化プロジェクト】Mr.ミュージアム』第一弾です。


軍艦、刀剣、城、お米……さまざまなモノが擬人化されている昨今。本企画は、日本全国の美術館・ミュージアムを擬人化していく『【美男化プロジェクト】Mr.ミュージアム』です。毎回イケメン男子の姿となったミュージアムたちが、自己紹介をしながらその館の魅力や展示をお伝えします。今回は「東京都美術館」編です。

イラスト=yukimone

イラスト=yukimone

こんにちは、東京都美術館です。愛称は「トビカン」だよ。

僕が上野の地に誕生して、今年で91年。実は、こう見えて結構歴史があるんだ。何を隠そう、日本で最初の公立美術館なんだよ。

美術館が自己紹介するっていう前代未聞の企画のトップバッターを飾らせてもらえるのは光栄なんだけど、本当に僕でイイのかなぁ?? 

他の美術館と比べると、個性があまり無いっていうか……(笑)。印象派の展覧会を開催したと思ったら、次には、日本美術の展覧会を開催して、その次にはルネサンスの展覧会を開催して。

しかも、現代美術の展覧会や書道、生け花の展覧会なんかも開催してるからね。

ここまで幅広いジャンルの展覧会を開催している美術館は、国内では僕と国立新美術館君くらいじゃないかな。

ちなみに、今はゴッホの展覧会が開催中だけど、この後は、ブリューゲル展、プーシキン美術館展、藤田嗣治展、ムンク展と続く予定だよ。

う~ん、我ながら、何でもアリな感じがするなぁ(笑)。

でも、ここまでストライクゾーンが広いのは、みんなの「アートへの入口」になりたいって使命があるからなんだ!

世界と日本の名品に出会える美術館をモットーに、これからも美術館を訪れるのが初めての方に楽しんでもらえる展覧会をいっぱい開催していくから、よろしくね。

もちろん、リピーターさんも大歓迎だよ! いろんな展覧会を観に来てね。

◆◆◆◆◆

あ、そうそう。

もし次に来るときには、展覧会だけじゃなくて、僕の建物のことも観てもらえると嬉しいな。僕って建物そのもののイメージが薄い美術館なんだよね。

えっ、そんなことない? いやいや、意外とそうなんだって。

他の美術館と違って、僕のところには「美術館」でなく「展覧会」を観に来てるからね。結局、展覧会のイメージしか残らないんだよ……。

じゃあ、聞くけど、みんな、僕の外観写真って撮ったことある?

……ね。

無いでしょ(笑)?

だいたい、みんなが撮影するのは、銀色の球体。

《my sky hole 85-2 光と影》っていう井上武吉さんの彫刻作品のところだよね。

大切な所蔵作品だから写真に撮ってもらえるのは嬉しいけど、僕の全体写真も撮って欲しいなぁ。

実は、今の建物は1975年に完成した2代目。日本を代表するモダニズム建築家の前川國男さんの設計によるものなんだ。

建物の中央にみんなが自由に行き来できる広場を設けていたり、同じ形の建物を通路で繋いだり、ズラしたりすることで、建物に動きや変化を取り入れていたり。建築的にも見どころの多い建物なんだよ。

あと、よくレンガの壁と間違えられるけど、建物の外観はタイルだからね! 全部で8万5000個のタイルが使われているんだよ。一般的な工法でなくて、前川さんが独自に編み出した「打込タイル」って工法が用いられているだって。

ん? どんな工法かって?

え~っと、それは僕よりも、定期的に開催されている「建築ツアー」でガイドさんに聞いたほうがいいよ(汗)。

http://www.tobikan.jp/learn/architecturaltour.html

それか、「トビカンみどころマップ」に詳しく書いてあるから、そっちを見てね。

http://www.tobikan.jp/media/pdf/h25/architecture_midokoro.pdf

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最後に、もう一つ、どうしてもみんなに伝えたいことが。

僕って、「いつも混んでる美術館」っていうイメージがあるみたいなんだけど、常にそういうわけじゃないからね(笑)。

ここ最近でいうと、たぶん2012年のフェルメール展とか、2015年のモネ展、あと、最大4時間待ちが話題になった去年の若冲展のイメージが広まってるんじゃないかな。

「混んでるだろうから、東京都美術館の展覧会に行くのやめた」って話をよく耳にするけど、悲しくなっちゃうよ。

もちろん、「閑古鳥が鳴いてる美術館」って思われるよりは嬉しいけどね。

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ここだけの話。

人気のある展覧会でも、会期の前半は意外とスムーズに観られるよ。それと、狙い目は金曜の夜間開館。

20時まで延長して開館しているのを知らない人も結構多いから、運が良ければ、名画を独り占めできちゃうときもあるよ。

それじゃ、これからも上野の森で、みんなが会いに来てくれるのを楽しみにしています!

パンダもいいけど、アートもね。

 

東京都美術館公式サイト:http://www.tobikan.jp/

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