GREMLINS “カッコイイ”より“面白い”と言われたい、その真意と新作に込めた想い
GREMLINS 撮影=大塚秀美
Hits(Vo&Gt)ことNIGHTMAREの柩がKNZ(Dr)と結成したユニット、GREMLINS(グレムリン)が6枚目のシングル「RIN」をリリース、5都市を巡るツアーをスタートした。初の“季節もの”というウィンターソングとなった表題曲「RIN」に込めた想いやレコーディング時の仰天エピソードを訊いた。さらに、HitsとKNZにはナイショでバンドのサポートメンバーである美月(Gt/Sadie、The THIRTEEN)とChiyu(Ba)にアンケート取材を決行。サポメンが明かすGREMLINS の“面白さ”とは?
暗い映画を見てて“この映画面白いな”と思ってから“面白い”という日本語が気になって。それで“俺らは面白いって言われるバンドになろう”と思った。
――今回のアーティスト写真やミュージックビデオでの白いビジュアルって、ある意味チャレンジですよね?
KNZ:ウチらは普通だと黒×赤が多いから、今回の白×青は、いままでとは真逆のところにいってるね。
――でも、白いもふもふGREMLINES、可愛いかったです(微笑)。
KNZ:もふもふなのはこの人(Hits)だけだけどね。
Hits:これ可愛い? ほんと? なんか俺、雪だるまみたいじゃない?
KNZ:いや、あれはイエティっぽいよ。フードの中がファーだから。でもさ、あれだけで寒さの印象って出るもんだね?
Hits:出るね。最初はフードをかぶってなかったんですけど、撮影のときに鏡を見たら、なんか冬っぽさが足りないなと思って。それでフードをかぶってみたら“これ案外いいかも!”と思ってみんなに聞いたら……。
KNZ:「いいじゃん!」って。俺も口元隠れてるだけなんだけど、寒さが伝わるんだよね。
Hits:撮影してるときは全然寒くなかったけどな(笑)。
GREMLINS 「RIN」アーティスト写真
――ニューシングル「RIN」はGREMLINSのウインターソングということでいいですか?
Hits:はい。間違いないです。
KNZ:初の季節モノみたいな感じ?
――前作「FLY AWAY」も海をバックに撮影したMVとか、サマー感はありましたけど。
KNZ:そうだね。急に季節感を出すバンドになってきたのか?(笑)
――「RIN」は冬を意識して作られたバラードなのかなと感じましたが。
KNZ:ああいう曲の雰囲気は、和な感じも含んだミディアムロックという印象なんだよね。僕のなかではバラードではない。ああいうテンポだからバラード調に聴こえるかもしれないんだけど、バラードを作ろうと意図して作った曲ではなくて。そこは、ライブで聴くと僕が意図したところがより分かるんじゃないかなという気がする。“この曲、ライブだとこうなるんだ”っていう化け方をすると思う。
――ミディアムなテンポ感、しかも三連ものがタイトル曲というのは新しいですよね。
KNZ:GREMLINSとしては初めてフックを入れた感じ。ストレートじゃなくて。
――そういうチャレンジがあったからこそ、「RIN」は曲の間口が広がって、GREMLINSファン以外も手に取りやすいシングルになったなという印象を受けました。
Hits:うん。誰でも聴ける感じだし。
KNZ:分かりやすいよね。「RIN」は歌詞と、この白い見た目はすごく“冬”っぽいんだけど。実は曲だけを聴くと、春夏秋冬どこでも当てはまるような曲なんだよね。冬っぽく聴こえるようなギミックを入れて、そういう印象が残るようにしていった感じ。
――なるほど。歌詞は最初から冬を意識して書いていったんですか?
Hits:うん。今回、季節感はむしろ歌詞で引っぱるのがいいなと思ってたから。より冬っぽさを出すためにも、サビだけじゃなく、歌詞全体に冬っぽさを散りばめていったんだよね。
――これはラブソングという意識で書かれたものなんでしょうか?
Hits:そこは聞き手によってどうとらえてもらってもいいんだけど。だいたいの人は、ラブソングに聴こえるでしょう。そういう内容にもなってると思うし。別れなのか、なんなのか。なんかしらのラブソングに聴こえると思う。俺が今回この歌詞書く上でやってみたいなと思ったのが、そういう風に聴こえる曲だけど歌詞には“愛”とか“好き”とか“恋”的な言葉が一切使われてない。そういのをやってみたかったの。歌詞を書くとき、俺は言葉遊びをするが元々好きだから、今回はそういうところで言葉遊びをしてみました。
――レベルの高い言葉遊びですね。なんで、愛や恋にまつわる言葉を使うのを禁止したんですか?
Hits:“愛してる”っていう結論を言ってしまったら、もうそれで終わりな気がして。サビで“愛してる”と歌っちゃったら、そこにいくまでのAメロBメロの歌詞の意味がどんどん薄れていく気がしたんですよ。だから、全体を通してそういう感情を表現しようと思ったの。一番最初に書いたときは“愛”って単語を入れてたんです。だけど、それを自分で読み返したときに、答えがもうサビにドンと書いてあるみたいで“この歌詞深みがないわ”と思っちゃって。それであえて外したの。
――“愛”とダイレクトに表現していないからこそ、ここでは淡いほのかな感情として伝わってきて。それが別れのようにも。
Hits:とれるでしょ?
――はい。しかも、その別れの奥に死も見えて。
KNZ:でしょ?
Hits:KNZもそう言ってたよね。この曲は最初からこういうタイトルにしようと思ってたんだけど。表記を漢字の“凛”にするかどうかって話をKNZとしたとき、英語のほうがいいねってことになって、いまの表記にしたんだけど。たぶんみんな、歌詞に<ときには凛々しく>というワードが出てくるから、それで「RIN」なんだと考えると思うんだ。この曲は別れの歌詞にも聴こえるし、死の歌詞にも聴こえるから「RIN」というタイトルには、実は “輪廻”の輪の意味もあって。英語にするってなったとき、ここも言葉遊びじゃないけど、ダブルミーニングになるから英語がいいなと思ったんだよね。本当は言わないつもりだったんだけど、言っちゃった(笑)。
KNZ:どうせなら、広くお伝えしておくべきだろうと。
――KNZさんは歌詞のどんなところに死を感じたんでしょうか。
KNZ:俺は、死者側からの目線という気がしたんだよね。まだ生きてる側への視線。
――なるほど。視線というところでいうと、冬のツアーのタイトルにも引用された<君の瞳、雨のち雪、時に凛々しく>という一節なんですが。ここの視線の描写にはどんな感情が込められているんでしょうか。
Hitz:涙が流れ出てくるんだけど、その涙も凍っちゃって流れることもなく。でも(涙が)止まっちゃった訳でもなく。それが美しくて凛々しく見えるという。映画みたいなシーンの描写ですね。『 スノーホワイト/氷の王国』っていう映画があるじゃん?
KNZ:うんうん。
Hits:ああいう雪の世界のファンタジーを想像してたら、雪が瞼の下に氷柱みたいになって凍ってるのが見えてきて。感情的には涙が凍るほど悲しいんだけど、それが凛々しくて美しく見えるということです。
――とっても印象に残る美しい描写ですね。
Hits:でも、言い方が天気予報みたいでしょ? <雨のち雪>とか単体で見ると。なのに、それをああいう言葉と組み合わせることで、美しく綺麗な歌詞にできたなと思ってる。「RIN」にとってもそこは大事なワードで。だから、ここをツアータイトルにするのはどうかなという話をKNZにしたら「いいじゃんいいじゃん」と言ってくれてそうなりました。
――「RIN」のMVの見所はどんなところですか?
Hits:曲の後半になると雪が降ってくるんですよ。室内なのに。
KNZ:室内なのに、というところにGREMLINSのファンタジックさがあって。
――絵本みたいなんですよね。
KNZ:そうなればいいかなと思ってた。そのイメージがあったから、ジャケットとか音像も淡い感じにしたかったんですよ。今回のジャケットは、よく見ると色が滲んでるんですね。その滲んでる感じで全体を統一したいなと思って、サウンド的にもバキッと音を出すんじゃなくて、ちょっと気持ちリバービーで。ドカッと響くよりも滲んで届く感じにしてるんだけど。だけど、それがさっき言ったみたいに、ライブで「RIN」を聴いてみると、そんなに淡いものじゃなくて。
Hits:こんなにパワーがあるものなんだなって。
KNZ:なると思うんだよ。まだライブでやってないから分かんないんだけど(笑)。俺のなかではそこを目指したいなと思ってる。