LAMP IN TERRENがGOOD ON THE REELを迎えたツアー最終公演、彼らがみせた“本当の姿”

レポート
音楽
2017.12.4
LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

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TOUR "FOR TRUTH" 2017.11.26 渋谷CLUB QUATTRO

9月から11月にかけて、対バンツアー『FOR TRUTH』を行なったLAMP IN TERREN。松本大曰く、「本当の自分たちの姿を探す」「本当の自分たちをみんなに見てもらう」というテーマの下、様々なゲストを迎えて全国各地を廻ってきた4人が、刺激と実りの多いツアーの最終公演に招いたのは、GOOD ON THE REEL。どちらも“光”を感じさせるドラマティックな音楽を奏でる両バンドの共演となった。

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

青色の照明がステージを薄暗く照らす中、伊丸岡亮太と岡﨑広平のギター陣がフィードバックノイズをけたたましく響かせ、高橋誠が力強いビートが刻み出すと、「こんばんは、GOOD ON THE REELです。どうぞよろしく!」と「ペトリコール」からライブはスタートした。美しくて雄大なバンドアンサンブルと、力強い歌声をフロアに放つと、そのまま「雨天決行」へ。爆発力のあるサウンドで一気に走り出したかと思えば、続く「迷子ごっこ」ではグルーヴィーにフロアを揺らしていく。また、身体に訴えかける楽曲を畳み掛けるだけでなく、ミラーボールが美しく回るなかで繰り広げられた「さよならポラリス」や、千野隆尋が泣き叫ぶかのように歌い上げた「つぼみ」では、強烈なまでに感傷的な空気でフロアを埋め尽くし、楽曲の世界にオーディエンスをどっぷりと浸らせていた。

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

MCでは宇佐美友啓がLAMP IN TERRENとの出会いについて話す場面も。初めて会ったのは奇しくもここ渋谷クアトロだったそうなのだが、「いつぐらいだっけな……」と思い出しているところに、「3年前!」と舞台袖で見ていた松本が、フロアにも届く声で答える。また、今回ツーマンに誘われたことに対して、「好きな子から告白されるというのは、きっとこういう気分なんだと思う」と宇佐美が話すと、袖から再び「愛してるぞ宇佐美ー!」と松本。それに感謝を伝えながらも、「ただ、大ちゃんには申し訳ないけど、もしLAMP IN TERRENの中で付き合うなら(中原)健仁なんだよな」と返すと、客席からは笑い声があがっていた。そんな和やかな光景からも、両者の関係性やその相思相愛ぶりが伝わってくる。

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

ラストに向けて「202」「シャボン玉」と3拍子を用いた軽やかさを感じさせる楽曲を奏でていく5人。そのなかで、ときに飛び跳ねたり、ときにぐるりと回ったりと、全身で楽曲を表現していた千野だったが、この日はステージ下手側に歩いていって歌う場面が多々あった。というのも、渋谷クアトロはビルの構造上フロアに大きな柱があり、その後ろにいるオーディエンスはステージ全体を見渡せない造りになっている。ゆえに彼は、柱の後ろにいる観客が見える場所まで何度も移動していた。以前、当サイトで千野にインタビューをさせてもらったときに、ライブでは「そこにいるひとりひとりに伝えたいっていう意識でずっとやってきた」と話していたのだが、まさにその発言通り。気持ちだけでなく、ソールドアウトで満員のフロアにいるひとりひとりに直接歌いかけていた。

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

「何かひとつの言葉に対しての受け取り方はその人次第だし、それを受けてどうしていくかは、結局その人しか決めれらないから。何かを言われて、散々叩かれて、たくさん迷って、たくさん悩んだとしても、いつか終わりがくるときに、笑っていれたらいいなと俺は思います。あなたたちが選んだ今日この場所です。“自分らしく”でいいから、思いっきり楽しんで、感動して帰ってください!」(千野)

ラストは「ハッピーエンド」。曲の最後ではメンバー一丸となって歌い、優しくも力強い光で場内を満たしていた。ちなみに、GOOD ON THE REELが来年1月10日に発表する8枚目のミニアルバムのタイトルは『光にまみれて』である。しかし、これまではイラストが描かれていたCDジャケットには、どこか猥雑さや孤独を感じさせるネオン街の写真が使われている。そして“まみれて”という、ともすればネガティブな響きを持つ言葉を名付けているのも気になるところ。彼らがそこでどんな光を高鳴らすのか楽しみだ。

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

GOOD ON THE REEL (c)浜野カズシ

GOOD ON THE REELの熱演を受け、この日のホストであるLAMP IN TERRENが登場。緑、黄、赤、青と4色の灯りがともるステージに、メンバーがひとりひとり姿を現わし、最後に大屋が登場すると、彼には一際大きな拍手と歓声が送られていた。

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

なぜ彼だけ一際大きなものだったかというと、この日のリハーサル終了後、大屋が体調不良を訴え急遽病院へ行くという緊急事態が発生。状況を鑑みて「80%ぐらいの確率で戻ってこれないかもしれない」と、開演前に松本がアナウンスしていたのだ。もしかしたら3人編成でのライブなるかもしれない状況だったのだが、GOOD ON THE REELのステージ中になんとか間に合いそうなことが判明し、無事ステージに登場――というのが事の顛末。申し訳なさそうに、それでいて間に合ったことに安堵しながら手をあげて応える大屋の姿が印象的だった。

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

4人でステージに立っている姿を見て一安心しているところに彼らが鳴らしたのは、「NEW CLOTHES」という新曲だった。中原と川口大喜のリズム隊が生み出す躍動的なグルーヴの心地よさと、彼ららしい叙情性がうまく融合されていて、曲を聴くだけで今バンドが良い状態であることを感じ取れる。そこから途切れることなく「涙星群の夜」へ。「最高の1日にしようぜ、渋谷よろしく!」と松本が叫ぶと、オーディエンスの手がフロアいっぱいに広がる。続く「キャラバン」では歌詞の通り、まさに4人で音を鳴らせる喜びを噛み締め、それをオーディエンスと共有しながら、豪快にアンサンブルを走らせていた。

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

今回のツアーを通して「いろいろ見つけてきたし、いろいろ掴んだと思うし、歌い続けてすごく開けた自分がいる」とMCで話していた松本。アルバム『fantasia』を掲げた前回のツアーでは、今まさにバンドが変わろうとしていることをはっきりと感じさせられたが、その変化が逞しさとなって表れてきている。そこに到るまでには大きな葛藤があったことをこの日も話していたが、「いろいろ立ち返ったときに、自分の曲の先にいるみなさんがはっきり見えるようになってから、親友とか恋人、兄弟とか家族と話すような感じと変わらなくなってきた」そうだ。

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

そんな気持ちをそのまま書いたという新曲「花と詩人」は、優しくて、穏やかで、心にそっと寄り添うスロウナンバー。大屋の奏でるリードギターも包み込むような優しさがあり、フロアに心地よい空気が満ちていく。そしてその優しさは、やはり深すぎる葛藤をくぐり抜けてきたからこそ滲み出てきたものだろう。自分の理想に近づくために自分自身を否定し続けたこと、そのことを今は後悔していること、ぐちゃぐちゃな気持ちを抱えながら走り続けて気づいたのは、結局自分は自分以外の誰にもなれないということ。それならば、自分は自分だと胸を張り、自分だからこそ歌えるものを歌おうと思ったこと──。そんな決意と共に、4人は「メイ」を届ける。途中、ノーマイクで振り絞るように届けられた松本の歌声は、熱唱を超えて、絶唱という言葉がふさわしい熱量があり、激しく胸を打ち振るわせられた。

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

アンコールでは、まず松本がひとりでステージに登場。「やりたいことがあるんですけど、付き合ってもらっていいですか?」と、GOOD ON THE REELの千野を呼び込み、アコースティック形式で曲を披露することに。曲はGOOD ON THE REELの「せい歌」だ。千野としては「まさか大ちゃんがこの曲を歌いたいって言うとは思わなかった」そうなのだが、松本としては「今の気持ちにぴったりな面もあるし、すごくポジティブな理由でこの曲を選んだ」とのこと。松本がアコースティックギターを奏で、千野と2人で声を重ねていく極上な時間に、オーディエンスは深く酔いしれていた。

GOOD ON THE REEL・千野隆尋 / LAMP IN TERREN・松本大 (c)浜野カズシ

GOOD ON THE REEL・千野隆尋 / LAMP IN TERREN・松本大 (c)浜野カズシ

そこから再び4人体制に戻り、「地球儀」を披露。アルバムでは新機軸だったこの曲も、今や完全に彼らのアンセムとなった。大合唱が巻き起こる中、間奏では「そんなもんじゃ足んねえんだよ!」と松本がフロアに降りて、オーディエンスと共にぐちゃぐちゃになって飛び跳ねる。それでも飽き足らなかったようで、フロア後方でレポートをしている関係者席まで歩いてきて、「すみません」と軽く一礼した後、机の上に立ちあがり、フロア全体に向けて声を張り上げるという熱い一幕も飛び出した。そのままこの日一番の熱狂で終わるかと思いきや、「ダブルアンコールをなしにする代わりに、もう一曲歌って帰っていいですか!? やる! 俺はやりたい!」と松本。急に決めた模様で、3人はやや戸惑い気味な感じもあったが(笑)、溢れ出る感情を抑えることなく、松本は話を続ける。

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

「「地球儀」は、日常に帰っていったときに、今日という日が勇気に変わるように願いを込めて歌いました。「メイ」は自分たちの覚悟をみなさんに届けるために歌いました。次の曲は、身勝手な気持ちで歌います。自分たちの新たな決意として、自分たちに刻みつけるように歌います。そんな自分たちの儀式みたいなもんに付き合ってもらえますか!?」

そう叫ぶと、ギターをかき鳴らしながら「L-R」を歌い始めた。LAMP IN TERRENの原点ともいえる曲を力強くフロアに放つと、それに呼応するようにオーディエンスは拳をあげ、4人と共に大声を張り上げて歌うという、なんとも感動的なエンディングとなった。

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

既報の通り、LAMP IN TERRENは2018年1月26日に渋谷Star loungeにて『SEARCH #001』というワンマンライブを行なうことを、この日発表した。「#001」と銘打たれているように、これから1年間、毎月26日に200名限定の定期公演を開催するというもので、「SEARCH」というタイトルには、「自分たちを探求していくという意味もあるけど、自分たちが成長していく過程をみんなで共有したい」という想いがあるそうだ。

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

LAMP IN TERREN (c)浜野カズシ

また、この発表については「とりあえず第一弾」とのこと。まだまだ様々な発表が控えているようで、「2018年はマジではっちゃけようと思うし、マジで大きく羽ばたいてやろうと思います!」と松本は宣言していた。そして、「俺は本当に覚悟決めたんで。俺は絶対にみんなが誇りに思うようなバンドになってみせる」とも。2018年、彼らが放ち始めた光は、より力強く輝いていく。そう確信させられる一夜だった。


取材・文=山口哲生 撮影=浜野カズシ

LAMP IN TERREN 情報
LAMP IN TERREN  MONTHLY ONE MAN LIVE「SEARCH」
■「SEARCH #001」
1月26日(金) 18:30 OPEN / 19:00 START
■「SEARCH #002」
2月26日(月) 18:30 OPEN / 19:00 START
■「SEARCH #003」
3月26日(月) 18:30 OPEN / 19:00 START
すべて200名限定ワンマン
会場:渋谷Star lounge
〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町47 トウセン宇多川ビル1F

 

GOOD ON THE REEL 情報
8th mini album『光にまみれて』
2018年1月10日発売
1.ショーベタ
2.モラトリアム
3.かくれんぼ
4.WORLDEND
5.光
6.Marble
7.私へ~光にまみれたver.~
FSAR-1116/¥1800(+TAX)

HAVE A "GOOD" NIGHT vol.74~83「ネオンにまぎれて」
2018.02.24…さいたま新都心 VJ-3
2018.03.02…名古屋 CLUB QUATTRO
2018.03.03…岡山 YEBISU YA PRO
2018.03.09…仙台 darwin
2018.03.10…新潟 NEXS
2018.03.14…福岡 BEAT STATION
2018.03.16…広島 セカンドクラッチ
2018.03.21…東京 六本木 EX THEATER
2018.03.24…札幌 cube garden
2018.03.28…大阪 BIGCAT
各公演¥3700(+D代)
 
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