青木玄徳が赤面「キスシーンは、根性試しみたいな感じでした」 舞台「パタリロ!」★スターダスト計画★インタビュー第2弾
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バンコラン役:青木玄徳
加藤 諒がパタリロ。その唯一無二のキャスティングで話題を呼んだ舞台「パタリロ!」。だが、実は目の肥えたファンはキャスト発表の段階から気づいていた。このバンコランはパタリロに勝るとも劣らぬ神キャストではないか、と。端正な顔立ち。射るような目力。そして全体から漂うエキゾチックな男の色気。そう青木玄徳もまた、バンコランを演じるために俳優になったのではないかというような完璧なビジュアルで観客の前に現れ、一大センセーションを巻き起こした。1年以上の空白を経て、いよいよあのバンコランが劇場に帰ってくる! 2018年3月15日(木)から上演の舞台「パタリロ!」★スターダスト計画★に向けて、青木玄徳に意気込みを聞いた。
佐奈くんには普段から女性として接するように意識しました
――個人的な話ですが、最初の情報発表のとき、青木さんがバンコランを演じると聞いた瞬間、喝采を上げてしまいました。青木さんは世代的には『パタリロ!』ストライクというわけではないですよね。
そうですね。お話をいただくまで『パタリロ!』のことはまったく知らなくて。バンコランを演じると決まってから、マライヒ役の佐奈(宏紀)くんに借りて、初めて原作を読ませていただきました。
――原作からはどんな印象を受けましたか?
すごく"昭和"の感じがする作品だな、と。台詞回しだったり絵柄だったり、いろんなところから"昭和"の匂いが感じられて。『パタリロ!』の連載開始は1978年。アニメの放映も僕が生まれるより前の話。そういう作品を、今、こうして実写化して、そこに自分が参加させていただけるというのが何だか不思議な感じがしましたね。
――バンコランはどんな男だと思いましたか?
バンコランは「MI6」という諜報機関の一員で。僕は映画『007』が好きなんですけど、その主人公のジェームズ・ボンドも「MI6」の工作官という設定なんですね。だからまずそこに親しみを感じたというか。スパイとか諜報員という設定は僕も好きなので、そういう自分の好きな要素を盛り込みながら演じられたらなと思いました。
――面白いキャラクターですよね。スゴ腕のエージェントなんだけど、美少年好きという(笑)。
たぶんそういう一筋縄ではいかないキャラクターだからこそ、多くの人に支持してもらえたんじゃないかなという気がしました。
――ここはやはりぜひ聞かせていただきたいのですが、初演では何と言ってもマライヒとのキスシーンが強烈でした。あれは演じる側としてはどういう気持ちで臨まれていたのでしょうか。
まあ、同性愛ものを積極的にやりたいかと言われれば、決してそういうわけではないんですけど(笑)。こういう世界もあるんだな、と。それこそ役者をやっていなければ絶対に向き合うことのなかった世界ですからね。僕は男性とキスをした経験はないけれど、バンコランを演じるにあたっては乗り越えなければいけないシーン。そのためにもまずは佐奈(宏紀)くんに女性になってもらうことが大事だなと思ったので、むしろ僕よりも彼にいろいろと苦労をかけたんじゃないかなと思います。
――関係性をつめていく上で、佐奈さんとどんなことを意識されたのですか?
『ドラゴンボール』という漫画の中に「精神と時の部屋」というのが出てくるじゃないですか。あそこで修行をした結果、悟空と悟飯は常に超サイヤ人になれる状態で出てきた。あれと同じです。素の状態でキスをするのは難しいので、常日頃から佐奈くんにはマライヒとして接しようと心がけていました。
――と言うと?
たとえばなんですけど、僕はわりと性格が体育会系なので、男同士の共演者だったら、挨拶代わりに意味もなく肩を殴ったり、そういうコミュニケーションが普通なんですね。でも、佐奈くんには絶対そういうことはしないとか。佐奈くんが困っているときも、できるだけ優しく教えてあげようとか。そういう普段の接し方から意識していくことで、役に入ったときに、それが上手くプラスになればいいな、と。
――稽古の序盤はキスシーンもフリだったと聞きました。こんなことを聞くのも大変忍びないのですが(笑)、そこから実際に生チューに変わるときというのは、どんな気持ちだったのでしょうか?
ええっと……恥ずかしいですね、これは(笑)。本気でキスをするには、思い切りが必要というか。感覚としては、根性試しみたいな感じです。男同士って、目の前の川をジャンプで飛び越えられるか、みたいな根性試しをゲーム感覚でやるじゃないですか。最初は、その感じでした。このままずっとビビッていても埒が明かないし、とりあえずやってみよう、と。
――そうやって川を飛び越えた先には、何か変化がありましたか?
意外とできたな、と。特に何か新しい感情が芽生えるということもなく(笑)。やってみたら、ただ唇と唇がふれた、という感じでした。
――加藤さんの話によると公演が終盤に近づくにつれてキスの時間がどんどん長くなっていったとか……。
いや、それは勘違いです(笑)。そこは全否定でお願いします(笑)。
青木玄徳
イケテツさんと顕作さんが組むんだから恐ろしい作品になるのは間違いない
――圧倒的な支持を集めた初演ですが、ここまで観客に愛された理由はどこにあったと思いますか?
受け入れてくれる方たちの懐が広かったんだろうなと、それに尽きると思います。前回は、劇場に来てくださったお客様がみなさん温かくて。そうしたお客様の優しさに救われた部分はあるんじゃないかな。次は公演の規模も大きくなるし、もっといろんな方に観ていただけると思うんですね。だから、懐の広いお客様はもちろんのこと、それ以外の層の方たちにも刺激を与えられたらというのが今回の目標です。
――第2弾に向けて、どんなところをパワーアップさせたいですか?
僕がというよりも、たぶん全体を通して、いろんなところがパワーアップしてくると思います。イケテツ(池田テツヒロ)さんも(小林)顕作さんも、攻撃力というか破壊力が本当すさまじい。このふたりがまたコンビを組むというだけで、恐ろしい作品になるのは間違いないと思います(笑)。
おふたりとも、最初は手探りでいろいろ試されるんですけど、そこから「これだ」というものを見つけてからの強さが半端ないんですよ。何してくるかわからない分、演じる側としてはもうおっかなくて仕方ない。初演で舞台「パタリロ!」がどういうものなのか、おふたりとも手応えを掴んで、そこからの第2弾ですからね。何が出てくるのか、僕自身が楽しみです。
青木玄徳
――前回の稽古場でもいろんな無茶ブリが?
言ってしまうと、この舞台そのものが無茶ブリですからね(笑)。いろいろありましたよ。『パタリロ!』は、ほぼ何でもありの舞台。きっとそのハチャメチャさが、お客様にとっても刺激的だったんだと思います。だって、僕、初めて見ましたから。身をよじらせながら足をバタバタさせて爆笑しているお客様の姿を(笑)。普通、劇場で笑うときって、もう少し周りのこととか気になると思うんですけど、『パタリロ!』はみなさんお茶の間でテレビを観ているような感覚で笑ってくれる。それは、イケテツさんと顕作さんの力だと思います。
ただ、演じる側としては恐怖感でいっぱいです。こっちは真剣ですから、ひとつスベッたらもうパニック。次もスベッたらどうしようという恐怖心を必死にこらえてやらなくちゃいけない。昨日ウケたところが今日はウケなかったっていうだけで、ものすごくヘコみます(笑)。でも、その混沌としている感じがいいんでしょうね。役者はそうしたものすごい負荷を背負いながら舞台に立って。でも、お客様はリラックスして大爆笑している。そのカオスな感じが、顕作さんスタイルなんだなと思います。
――早く客席でその雰囲気を味わいたいです。では、最後にまた蜜月の関係を築くマライヒ役の佐奈くんに向けて、何かメッセージをもらえますか?
前回は役づくりの上で必要だったので、女性として接しましたが、お互いもうそれぞれのキャラクターは掴んでいると思うので、今回はその必要はないかな、と。彼もこの1年の間でいろんな経験をして役者としてパワーアップしているでしょうし、次は体育会系でビシバシいきたいと思います。もう優しく教えるつもりはないので、覚悟しておいてください(笑)。
青木玄徳
インタビュー・文=横川良明 撮影=岩間辰徳
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<東京公演>
日程:2018年3月15日(木)~25日(日)
会場:天王洲 銀河劇場
<大阪公演>
日程:2018年3月30日(金)~4月1日(日)
会場: 森ノ宮ピロティホール
原作:「パタリロ!」魔夜峰央
脚本:池田テツヒロ
演出:小林顕作
<キャスト>
パタリロ:加藤 諒
マライヒ:佐奈宏紀
ビョルン&アンドレセン:小林亮太
タマネギ部隊:細貝 圭、金井成大、石田 隼、吉本恒生、蒼木 陣
魔夜メンズ:佐藤銀平、吉川純広、富岡晃一郎、三上陽永、柴 一平、香取直登
ロビー少尉:三津谷 亮
バンコラン:青木玄徳
プレオーダー受付:2018年1月9日(火)12:00~1月14日(日)23:59