国宝や重要文化財の刀剣が展示される、春日大社御創建1250年記念展Ⅰ『伝説の名刀たち』が開催中
国宝「沃懸地酢漿平文兵庫鎖太刀」(鎌倉時代)春日大社所蔵
春日大社(奈良市春日野町)の御創建1250年記念展として、『伝説の名刀たち』が、2017年12月22日(金)~2018年3月26日(月)まで開催中だ。
春日大社の刀剣は、歴史を動かした人々から神様へ奉納され、神殿や宝庫の中で 600 年~1000年の間、守り伝えられてきたもの。平安時代から鎌倉・南北朝時代に至る時代を代表する、伝説の名刀を紹介する。
国宝「金地螺鈿毛抜形太刀(きんじらでんけぬきがたたち)」平安時代
国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」(平安時代)春日大社所蔵
金無垢の金具、超絶技巧の装飾、奇抜なデザイン。猫好きで知られる藤原頼長の太刀と想定される。拵(こしらえ)の柄に大きな透かしが空いており、それが古代の毛抜きに似ていることから「毛抜形太刀」といわれる。
国宝「金装花押散兵庫鎖太刀(きんそうかおうちらしひょうごぐさりたち)」南北朝時代
国宝「金装花押散兵庫鎖太刀」(南北朝時代)春日大社所蔵
備前長船兼光の作と鑑定。貞治四年(1365)の年紀銘のみなのは奉納用に作られたためとも考えられる。足利義満が奉納したと伝えられ、足利一門の花押をデザインとする珍しい太刀。尊氏以下、足利将軍家は春日社を崇敬し、式年造替も執り行った。
国宝「菱作打刀(ひしづくりうちがたな)」(外装:南北朝時代、刀身:平安時代
国宝「菱作打刀(刀身)」(外装:南北朝時代、刀身:平安時代) 春日大社所蔵
「菱作打刀」と箱書きにあり、至徳2年(1384)正月22日に葉室長宗(藤原氏)が春日社に奉納したとも記される。確認できる最も古い打刀拵(うちがたなこしらえ)。同門の万里小路時房の日記『建内記』には、葉室家の始祖光頼(1124~73)以来相伝の刀でもあった。
重要美術品「太刀(古備前)」平安時代
重要美術品「太刀(古備前)」(黒漆皮包太刀拵が附属)(平安時代)春日大社所蔵
宝庫の天井裏から昭和14年8月に発見された黒漆塗太刀の刀身は錆に覆われていたが、平成28年度人間国宝の本阿弥光洲氏の研磨により、2点が平安末~鎌倉時代の古備前、1点が延寿国吉の名刀であることが明らかになった。神官の日記に「弘安六年(1283)六波羅探題・北条時村が夢のお告げ奉納した」とあるものに該当するものと考えられる。
ほかにも、 国宝「沃懸地獅子文毛抜形太刀」、重要文化財「金銅柏文兵庫鎖太刀銘康次」などが展示される。
日時:2017年12月22日(金)~2018年3月26日(月)
※1月29日は展示替えにつき休館
会場:春日大社(奈良市春日野町)
時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
入館料:一般500円 大学生・高校生300円 中学生・小学生200円
※団体は20名以上で一般400円
公式サイト:http://www.kasugataisha.or.jp/