沢尻エリカ、6年ぶり主演映画『猫は抱くもの』が公開へ 33歳の元アイドル・スーパーのレジ係を演じる
(C)2018 『猫は抱くもの』製作委員会
沢尻エリカ主演の映画『猫は抱くもの』が2018年6月23日(土)に公開されることが決定した。
『猫は抱くもの』は、大山淳子氏による同名小説(キノブックス刊)の映画化作品。『ジョゼと虎と魚たち』『のぼうの城』などの犬童一心監督がメガホンをとり、『さよなら渓谷』『オーバー・フェンス』の高田亮氏が脚本を担当。かつてアイドルだった30代の女性と、彼女が恋人だと信じて疑わない猫との関係が描かれる。
沢尻が演じるのは、とある地方都市のスーパーマーケットで働く33歳の沙織。かつてはアイドルグループ“サニーズ”のメンバーとして芸能界で活動していたが、歌手としては芽が出ず、すべてに嫌気が差して都会から逃げてきたという役どころ。沢尻は、アイドルとしてのダンス&歌唱シーンも含め、これまで演じてきた“強い女性”とは異なる新境地を見せているという。なお、沢尻と犬童監督は、ドラマ版『グーグーだって猫である』以来2作品目、映画では初のタッグとなる。
撮影を終えた沢尻、犬童監督のコメントは以下のとおり。
沢尻エリカ
──今回、犬童監督から主演のオファーを受けられた際、どのように思われましたか?
監督とは、私が『ヘルタースケルター』(2012年)に出演した翌年、日本アカデミー賞の授賞式で初めてお目に掛かったんです。その際にお話しさせていただいた印象が強く残っていて。いつかお仕事でご一緒できたらいいなと、ずっと思っていました。ですから今回オファーをいただいたときは、ほぼ即決でしたね。自分の中に、犬童監督への絶対的な信頼感みたいなものがあったので、自分の直感を信じようと思いました。
──主人公・大石沙織は元アイドルで、今はスーパーのレジ係をしている女性です。演じるにあたって意識されたこと、準備されたことはありましたか?
事前に準備するというよりは、実際に現場に立ってみて、そこで感じたことをもとに、役を作りあげました。沙織を演じて感じたのは、すごく多面的なキャラクターだなということ。彼女は過去にアイドルとして挫折していて、その経験から逆に、自分というものをうまく出せなくなっている。でも芯の部分には「本当はこういう風に生きたかった」という強い想いも抱えている。沙織が心に抱えているもの自体は、実は多くの人たちと共通してるんじゃないかなとも感じました。
──本作が初タッグとなる犬童監督の演出はいかがでしたか?
すごく、やりがいがありました。全編が今まで経験したこともない撮り方ばかりでした。舞台上で撮るシーンと実景シーンが混在していて、「人の世界」と「猫の世界」が入り混じっていたので、演じ分けが大変でしたけれど、全力投球でやりきるしかないなと(笑)。自分の限界を決めず、監督の演出のもとでどこまでいけるか挑戦できたと思います。
──主人公・沙織にとって、愛猫(良男)はどのような存在だと?
たぶん沙織は、いろんなことに対して不器用な女性だと思うんです。周囲に対して自分をうまく出せないし、そういう自分にもどかしさを感じている。彼女にとって良男は、そういう「好きになれない自分」もすべて引っくるめて受け入れてくれる、最大の理解者なんじゃないかな。人間の恋人とはちょっと違うのかもしれないけれど……なくてはならない存在。
これはペットに限った話ではなく、何かと良い関係で日々を過ごすことって、人にとって大事だと思うんですね。仕事で悩んだとき恋愛で悩んだとき、すべてを受け入れてくれる存在がいてくれること。自分を癒やし、ハッピーにしてくれるものを、心から大切にすることって、素敵だなと。この映画に出演して、考えたりしました。
犬童一心監督
──クランクアップを迎えた、現在の想いを教えてください。
沢尻エリカさんの魅力と実力を実感できました。名作「ヘルタースケルター」を見た私は、その沢尻さんの演技に感じ入り、アカデミー賞の受賞式の日に樋口真嗣監督とともに沢尻さんにその感動を伝えに行きました。いつか一緒に作品をという下心があったのは当然です。沢尻さんはその時のことを覚えていてくれました。自分の下心に感謝です。
──作品に込めた想いを教えてください。
うまくいかないことの輝き、置いてきぼりを食らっている時間の魅惑。
成功への希求ではなく、積極的な諦めを選んだ時にこそ踏み出せる一歩、その爽快さ。
元アイドルの沙織が自分を見つめ、未来への答えを探す最中、揺れる心のダイナミックな動きを、映画の遊びと、演者たちの魅力でエンターテインメントにしていきたい。そして、究極の相棒「猫」、その存在の大きさを表現したい。
世代や年齢に関係なく楽しめる、人生の絵本を描いてみました。
映画『猫は抱くもの』は6月23日(土)、新宿ピカデリー全国ロードショー。