コンテンポラリーダンス×能楽堂 異なるジャンルが創るあたらしい舞台、伝統と創造シリーズ『老松 -OIMATSU』出演者インタビュー

インタビュー
舞台
アート
2017.12.26

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渋谷にあるセルリアンタワー能楽堂が、伝統を尊重しつつも新しい挑戦をしているのをご存知でしょうか。“THE・日本の伝統”というイメージの強い能と、異なるジャンルのコラボレーションで毎回新しい試みに取り組んでいる「伝統と創造シリーズ」。9回目となる今回は、ダンスカンパニーBATIKを主宰している黒田育世さんと、能楽師・津村禮次郎さん、バレエダンサーの酒井はなさんが出演します。能とコンテンポラリーダンスは果たしてどのように融合するのか!? 興味津々で公演リハーサルにお邪魔してきました。

能楽堂は独特の空気感。入った瞬間から何故か気持ちが引き締まりました。

能楽堂は独特の空気感。入った瞬間から何故か気持ちが引き締まりました。

 

今回の演目は古典能「老松」を元にアレンジしたものなのですが、そもそも「老松」とはどのような作品なのでしょうか。

古典能「老松」は、菅原道真の「飛梅伝説」を題材にした、大変めでたい作品。夢のお告げに導かれた旅人の前に、松の精、梅の精やウグイスなどが現れて、この世を祝福し、幸運を祈るというストーリーです。松の精や梅の精と、登場人物の設定がメルヘンなのも興味深いポイントです。

今回は、能舞台の上で能を舞うのではなく、黒田育世さんの振付でコンテンポラリーダンスが繰り広げられます。音楽もシューベルトの「死と乙女」が使われているなど、普段の能とはまったく異なった新しい空気感を演出しています。永い永い眠りから目覚めた松の精と梅の精……。コミカルな動きもあって思わずクスッと笑ってしまうような可愛らしい演出も見どころのひとつ。

出演者の方々からのお話は、ぜひ動画で御覧ください!

左から 津村禮次郎先生、酒井はなさん、黒田育世さん

左から 津村禮次郎先生、酒井はなさん、黒田育世さん

津村禮次郎×酒井はな×黒田育世

酒井はな

津村禮次郎

黒田育世

取材・文=新井まる 動画=池谷友秀 協力=セルリアンタワー能楽堂、スタジオアーキタンツ

出演者プロフィール

津村禮次郎


能楽師シテ方観世流。大学在学中に一橋観世会に所属し、津村紀三子の指導を受け、その後先代観世喜之師に師事。1969年観世流師範(現準職分)。74年に緑泉会会主。91年重要無形文化財保持者に認定。79年より毎年小金井薪能を企画制作。古典能の公演のほか指導者として若手の育成にも務める。また新作能、創作活動、海外公演も多数。2010年度文化庁文化交流使。 著作に「能狂言図典」「能がわかる100のキーワード」「舞幻-BUGEN」など。15年ドキュメンタリー映画『躍る旅人 能楽師・津村禮次郎の肖像』が公開される。
 

酒井はな

畑佐俊明に師事。橘バレエ学校、牧阿佐美バレエ団出身。新国立劇場バレエ団設立と共に移籍。こけら落としより主役を務める。クラシック・バレエを中心に活動しているが、コンテンポラリー・ダンスやミュージカルにも積極的に挑戦、新境地を拓く。村松賞、橘秋子優秀賞、舞踊評論家協会賞、中川鋭之助賞、服部智恵子賞、ニムラ舞踊賞、2008年芸術選奨文部科学大臣賞等受賞歴多数。2017年紫綬褒章受章。13年、島地保武と共にダンス・ユニットAltneu(アルトノイ)を立ち上げる。
 

黒田 育世


BATIK主宰。振付家・ダンサー。6歳よりクラシックバレエを始め、97年渡英、コンテンポラリーダンスを学ぶ。02年 BATIK を設立。バレエテクニックを基礎に、身体を極限まで追いつめる過激でダイナミックな振付は、踊りが持つ本来的な衝動と結びつき、ジャンルを超えて支持されている。BATIKでの活動に加え、金森穣率いるNoism05、飴屋法水、古川日出男、笠井叡、野田秀樹など様々なアーティストとのクリエーションも多い。 http://batik.jp/

 

 

イベント情報
伝統と創造シリーズ vol.9『老松 -OIMATSU』
 
会場:セルリアンタワー能楽堂
公演日程:2017年12月10日(日)、11日(月)、12日(火)※終了
演出・振付:黒田育世 出演:津村禮次郎、酒井はな、黒田育世
セルリアンタワー能楽堂公式サイト:http://www.ceruleantower-noh.com/
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