新田真剣佑インタビュー「とにかく走っていた」俳優としての滾る想い、強い信頼と愛情を寄せる存在とは
新田真剣佑 撮影=岩間辰徳
デビュー以降、新田真剣佑の快進撃が続いている。その名が全国区に知れ渡ったのは『仰げば尊し』だったか。「キンパツの、あの子は誰?」と注目を一身に集め、その後出演した『ちはやふる 上の句 / 下の句』、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』などで、さらに人々の心を奪った。およそ2年前、新田がまだ10代のときに撮影された最新出演作『不能犯』では、松坂桃李演じる数々の変死事件に関わる宇相吹正のしっぽを掴もうと、躍起になる多田友子(沢尻エリカ)と共に追う、新人刑事・百々瀬麻雄をフレッシュに体現。当時の記憶を呼び起こしてもらえば「とにかく走っていた!」と白い歯を見せて微笑む。奇をてらわず、堂々と正直に言葉を発し、つくろわない、気持ちのいい21歳だ。インタビューでは新田の俳優として滾る想い、そして信頼と愛情を強くそそぐ、ある俳優との胸熱エピソードも聞いた。
「原作はあまり読まないんです」
新田真剣佑 撮影=岩間辰徳
――百々瀬は熱血新人刑事でした。撮影のときのことを覚えていますか?
とにかく走っていました!
――確かに、沢尻さんの後を追いかけていた印象です。沢尻さんとは初共演ですよね?
そうです。百々瀬は「多田さんについていきたい」という役なんですけど、役者の先輩としても、沢尻さんがとても「ついていきたい」と思わせてくれる先輩だったんです。役と自分は重ねないので、似ている・似ていないということはないですし、自分はあまり出さないようにしていますけど、そこは百々瀬に共感できました。
――ちなみに、原作を読んでから現場に入られたんですか?
いえ、読んでいません。僕、原作はあまり読まないんです。
――先入観を持たないということが、読まない主な理由でしょうか?
僕は、原作と映画は全く違うものだと思っているんです。もちろん原作ファンの方もいらっしゃいます。どう頑張っても全く同じようにはならないので、僕は全く違うものとして、全く違う役を演じているつもりです。
――そういった意味では、百々瀬に関しても、シナリオから読み取った情報を、ご自分の中で反映させたことになるんですよね。
そうですね。撮影、実は6日間しかなかったんですけど。
――かなりギュッと詰め込まれたスケジュールですね。
ギュギュッと詰め込まれていました。だから、本当に走っていた記憶しかないんです……申し訳ない。あとは、新人っぽくやろうとは思ったんですが、なかなか難しかったです。とにかくできることからしようと思ったんですけど、全力で走るくらいしかキャラ的になかったんです。だから、本当に走りました。
新田真剣佑 撮影=岩間辰徳
――作品を通してご覧になって、印象はいかがでしたか?
「やったことは必ず戻ってくるよ」という怖いメッセージが込められてると思います。一番怖いのは人間だな、と思いました。ちょっとダークですよね。百々瀬的な見どころで言えば、最後……なので詳しくは言えないんですけど、最後に多田さんとの関係性がすごくよく分かります。最後まで席を立たないで、ぜひそこを観ていただきたいです。
――多田さんはいわゆる職場の先輩ですが、新田さんは普段、先輩とどう接していますか?
まず最初に抱きしめます。先輩でも。
――会ったら毎回?
毎回飛びつきます。飛びつかれるのが嫌に思う人は一瞬で分かるので、そういう方には、「おはようございます」と挨拶を。
――いわゆる‟兄貴”みたいな感じの存在と言えば、『ジョジョの奇妙な冒険』で共演された岡田将生さんでしょうか?
そうですね。岡田将生とは必ずスキンシップをします。
――新田さんは先輩にかわいがられるタイプなんですね?
うーん、何だろう?一緒にいる方々が先輩しかいないんです。父がもう78歳で、僕は生まれてからずっとその人たちの周りにいたので、それがなんだか普通になりました。僕、同世代の友だちがあまりいないんです。
同世代俳優の出演作に涙
新田真剣佑 撮影=岩間辰徳
――私は何回か北村匠海さんに取材をさせていただいていますが、そのたびに新田さんのお名前をお聞きしていたんですけど。
ああ!!唯一、同世代だと北村匠海!ひとりしかいないです、僕。あ、この間、(村上)虹郎にも会いましたけど。
――『仰げば尊し』組ですね。
そうです。北村匠海は、本当に。彼が(第42回報知映画賞の)新人賞を獲らなかったら「誰が獲るんだ!?」という感じですよね(※取材日前日に受賞が報道)。
――報知、本当におめでたかったです。
本当に!文章だとちょっと寂しいなと思ったんで、「おめでとう」とボイスメールを送りました。『君の膵臓をたべたい』の北村匠海は、あれはもう素晴らしかった。あの作品は、匠海のためにあるようなものだと思います。
新田真剣佑 撮影=岩間辰徳
匠海で本当によかったなって思っています。(観に行った当時)劇場を出る前に、匠海に電話しましたからね。初めてこうやって(かぶりついて)観ていたんです。そうして観ていたら、初めて涙が肘まで流れてきて……それぐらい泣きました。なんか恥ずかしいですね。
――いえいえ。すごくいいお話で、じんとしました。よく映画は劇場で御覧になるんですか?
はい。お芝居をちゃんと観たいので、ヒューマン系が好きなんです。映画はいろいろな見方をしていて、例えば「今のワンカット、長いな」と思ったりとか。ずっと集中しているので、ちょっと疲れますけどね。
――息抜きの時間は、どう過ごしていますか?
おいしいご飯を食べたり、友だちとカフェに行くことが好きなんです。撮影が終わった後にのんびりしたりとか。でも、ひとりでは行きたくないです。寂しいから。そういう時に友だちを呼びます。北村匠海は必ず入っていますね。匠海とは本当にいろいろな話をします。『OVER DRIVE-オーバードライブ-』という映画を一緒にやったんですけど、その時に北九州に1カ月いたんです。匠海は毎晩、僕の部屋に来て、ずっとしゃべっていましたね。1カ月いたからもっと近くなれたんですよ。『僕たちがやりました』のときも、DISH//が主題歌をやってくれたりして。
新田真剣佑 撮影=岩間辰徳
――北村さんとは、演技の話とかもされるんですか?
します。僕が一方的に「あの芝居!」、「匠海の芝居!」、「芝居!」と言っていて、匠海は若干ひいているんですよ(笑)。変わった人ですけど、僕は大好きな同世代の役者です。
――ちなみに『不能犯』のこともお話をしたり、お勧めもしましたか?
もちろん!もちろんじゃないですか!『不能犯』、よろしくお願いします。
新田真剣佑 撮影=岩間辰徳
映画『不能犯』は2月1日(木)より、全国公開。
インタビュー・文=赤山恭子 撮影=岩間辰徳
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2018年2月12日(月)22:00
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・応募時の内容に記載不備がある場合。
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出演:松坂桃李 沢尻エリカ
新田真剣佑 間宮祥太朗 テット・ワダ 菅谷哲也 岡崎紗絵 真野恵里菜 忍成修吾
水上剣星 水上京香 今野浩喜 堀田茜 芦名星 矢田亜希子 安田顕 小林稔侍
原作:『不能犯』(集英社「グランドジャンプ」連載 原作:宮月新/画:神崎裕也)
監督:白石晃士
脚本:山岡潤平、白石晃士
配給:ショウゲート
公式サイト:http://funohan.jp/
(C)宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会