ファイナルファンタジー30周年大規模回顧展『別れの物語展』内覧会レポート 坂口博信、天野喜孝らがFFシリーズの思い出を振り返る
(左から)橋本真司、天野喜孝、坂口博信、松田洋祐
スクウェア・エニックスの人気RPGシリーズ「ファイナルファンタジー」30年の歴史を“別れ”で振り返る大規模回顧展『FINAL FANTASY 30th ANNIVERSARY EXHIBITION -別れの物語展-』。本展のプレス向け発表会と内覧会が、1月19日に森アーツセンターギャラリーで開催され、株式会社スクウェア・エニックス代表取締役社長・松田洋祐、ファイナルファンタジー30周年統括プロデューサー・橋本真司、シリーズの“生みの親”であるゲームクリエイター・坂口博信、シリーズのビジュアルコンセプトデザインを手がける天野喜孝が登壇した。
(左から)坂口博信、天野喜孝
最初にマイクを握った松田は、「『ファイナルファンタジー』は、世界中のファンの皆様、そして関係者の皆様に支えられて、今日までやってくることができました。この場を借りて、改めて社を代表してお礼申し上げます」と挨拶を述べる。今後もシリーズが続いていくということで、「本展でシリーズの歴史を振り返っていただくとともに、これからの『ファイナルファンタジー』の発展、進化に想いを馳せていただければ」と言葉を続けた。
参加型インタラクティブシアター 飛空挺エンタープライズ号に乗り込み、幻獣バハムートと戦う
現在、シリーズ制作には世界中のクリエイターが携わっているともあって、橋本は「全世界のお客様をこちらの会場にお招きしたい」とコメント。“別れ”と聞くと暗い印象を受けるかもしれないが、「別れから新しい出会いが生まれる」ということで、本展の先に待ち受けている、新たな“出会い”を仄めかした。
天野は、「最初に関わったゲームが『ファイナルファンタジー』なので、それが30年も続くのは、やっぱりすごいなと思います。とはいえ、シリーズはまだ続いていくので、今回の展示もその過程にあるもの」と話す。
天野喜孝「BIG BANG - 誕生 - 」
坂口は、シリーズの音楽を手がけた植松伸夫と、ニューヨークのカーネギーホールで先週開催された「ファイナルファンタジー」のコンサートに足を運んだという。「カーネギーホールで自分が作ったシリーズ曲が演奏されるということで、植松さんは『気を張っていないと感動で涙が出てくる』と言っていた」と、その際のエピソードを披露。さらに、「私は“生みの親”ということになっていますが、チームで作っている作品ですから、もちろんスタッフのおかげでもあります。これから40周年、50周年、もしかしたら我々は死んでしまうかもしれませんが(笑)、100周年まで、新しい世代に引き継いでいただきたい」と語気を強めた。
本展のために新しく開発された「音声ARシステム」 展示物の前に立つだけで、作品とシンクロしたBGMやキャラクターボイスなどが自動的に聴こえてくる
FFXエリア ティーダとユウナの会話と映像が再現されるインスタレーション
その後の囲み取材には、坂口と橋本が登場。報道陣からは、シリーズの歴史について様々な質問が飛び交った。
(左から)橋本真司、坂口博信
——「ファイナルファンタジー」は、なぜ30年に渡って人気を集めたのだと思いますか?
坂口:技術的な部分を追求していく姿勢があったからでしょうか。常にチャレンジしていこうと、最先端の技術で最先端のハードウェアを開発していました。
橋本:坂口さんがディレクターを集める力もすごかったです。いい作品を作るための環境には、かなり恵まれていたと思います。
FFXV特別展示『幻の結婚式』
——過去シリーズの中で、特に記憶に残っている作品はありますか?
坂口:FFIはスタート作品とあって、当時雑誌社さんに自分の足で持ち込んだ際に、「ドラクエの対抗馬になるものは扱えない」と門前払いをくらったことなども思い出深いです。あとは、FFVIIですね。そこからCGになったのですが、3DのRPGを手探りで作っていくのには苦労しました。
——ストーリー面では、どういう部分にこだわっていましたか?
坂口:そもそも、ゲームにはストーリーが必要ないんです。だから、ストーリーが全然ないようなゲームもありますよね。ストーリーでゲームのシステムをがんじがらめにしてしまうと、つまらなくもなってしまう。だから、ストーリー自体にこだわるのではなく、ゲームにどう馴染ませるかという部分にとにかく気を遣いました。もちろん、“命”や“出会い”といったテーマも根っこにはありますが、そこを出しすぎないようグッとこらえて作ることで、ストーリーやテーマが自然に入りやすくなるのだと思っています。
FFVII特別展示『エアリスの遺した言葉』
——坂口さんは、今後何か「ファイナルファンタジー」絡みで作りたいものはありますか?
坂口:一度現場を離れた今は、新しいディレクターたちに「君たちの今後のチャレンジが『ファイナルファンタジー』を作っていくんだよ」と話しています。やっぱり、最先端の技術を若くて活きのいいクリエイターに担ってもらうことが大事なので、自分で何かを作るというよりも、新しい力によって「ファイナルファンタジー」がどんどん育っていく方が嬉しいです。
「FINAL FANTASY 30th ANNIVERSARY」×カフェ「THE SUN」コラボメニュー(全10種)
(手前)モー栗のモンブラン 1,480円(税込)
FINAL FANTASY 30周年関連グッズ
『FINAL FANTASY 30th ANNIVERSARY EXHIBITION -別れの物語展-』は、2018年1月22日(月)〜2月28日(水)まで、森アーツセンターギャラリーにて開催。オリジナルグッズが多数販売されるほか、会場と同フロアのカフェ「THE SUN」では本展とのコラボメニューも楽しめる。往年のファンは是非ともチェックしてほしい。
日時:2018年1月22日(月)〜2月28日(水)
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
開催時間:10:00〜20:00(最終入館19:00)
休館日:会期中無休
展覧会公式サイト:http://www.finalfantasy.jp/30th/exhibition/