劇団「地蔵中毒」主宰・大谷皿屋敷、初インタビュー! ~罪の意識、人生の支柱、そして現在の仲間

インタビュー
舞台
2018.2.18
劇団「地蔵中毒」主宰・大谷皿屋敷

劇団「地蔵中毒」主宰・大谷皿屋敷

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いま東京の尖鋭的な小劇場マニアが最も注目しているとされる劇団「地蔵中毒」は、作・演出の大谷皿屋敷が2014年に旗揚げした劇団だ。「無教訓意味なし演劇」と冠する作品を発表し続け、恐る恐る足を運ぶ演劇ファンの心に尾をひくものを残してきた。個性的な役者たちが繰り広げる、シュールでエロでゲスでカオスなネタを機関銃のように掃射し続ける彼らの芝居には開いた口が塞がらなくなる。とりわけ最近の勢いには目を見張るものがある。2017年11月の番外公演『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』は、東池袋・アートスペースサンライズホールでの全4回公演が早々に完売し、2018年1月の渋谷・テアトロコントでは会場が大いに沸いた。そして2018年3月8日より王子スタジオ1にて、佐藤佐吉演劇祭参加作品『無教訓意味なし演劇vol.7 「淫乱和尚の水色腹筋地獄」改め「西口直結!阿闍梨餅展示ブース」』が上演される。

劇団「地蔵中毒」集合写真

劇団「地蔵中毒」集合写真

劇団「地蔵中毒」を知るために

劇団「地蔵中毒」は、「思いついてはみたものの、社会に発表するにしては見せられる側が迷惑な、くだらない思いつきの供養の場として発足された“無責任エンターテイメント集団”」を自称している。まだ彼らの舞台を観たことがない方のご参考までに、『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』の際の小道具リストを紹介する。

衣装(ハムレット、喪服、市長っぽい、八百屋、ロング目のスカート、おじさん風、少年風、果物屋風、大学生風、チーマー風、スカート、虫取り名人、運転手、ネズミ人間、昆虫人間、墓いじり君、ボブスレー、参列者、医者、受付、妊婦、店員、IHさん、右腕銀河さん)、ウェストポーチ16個、椅子、テーブル、生魚、ペンチ、目隠し、ハムレット一朗太めくり、遺影、喪服、塩辛、鶏ささみ(小分け用容器付き)、チンポ2本、朝刊(三部?)、はんだごて、焦げ目、マウス、デスクトップみたいなタトゥー、行者にんにく、財布、卵x2、エジプトの王様がかぶっているやつ、お弁当、右心房、尿瓶、み●らじゅんっぽい父の衣装、ぴーぽくん人形、クワガタ、アットマーク、牛の舌、注射器、携帯ゲーム機、とんとん相撲、メモとペン、ペッツ、ザボン、女性セブンのクリームソース掛け、料理用お盆、浅●美代子のプロマイド、湯●弁護士、セブンプレミアムのシュークリーム、包み紙、アイコ●ックの剃った毛(エクステ?)、首から下げる健康保険証、瞬間移動用布、手袋、マグカップx2、プラレール、朝刊、酢豚、おっぱいにくくりつける紐(2人分)、かつおぶし、かつおぶし削り機、ブブゼラ、ヌメヌメの卵x2、アザ用メイク、輪ゴム、ハンドル、金の延べ棒、宙に浮かぶ膣、卵一個、お茶碗と箸、DVD、コーヒーカップ、試験管、ボブスレー、磁石、うごくおもちゃ、ナイフ、ジャンプの束(30冊くらい)、ス●ムダンクが表紙のジャンプ、石●防衛大臣のキャラ弁、ほぼミイラのお母さん、ケンタッキーの骨、メカチンポ、三脚、ボコボコさん(水泳帽と消しゴムとか?)、プラスチック、さとこパンツ、テトリス、通行人チンポ2本、ホチキス、男前ジョッキ、色相環図、レックスのチラシ、土用の布、回覧板、日経新聞、朝刊、フォーク、充電機がついたスマホ、ネズミの入った箱、かける布、血統用コップ、歯、ナイフ、体から生える大麻、体から生える大麻(ハムレット)、切る用のチンポ、昆虫人間卵(ビニール)。
以上、『ハムレッット(ウエストポーチ着用ver.)』2017年11月25日・26日の小道具リストより

 

「意味分からない。話が想像できない。穏やかではなさそうだ。でも気になる」

そんなを印象をもっていただけただろうか。しかし興味をもったところで2018年2月現在、公式サイトに彼らの(信用に値する)情報はほとんど見受けられない。そこでSPICEは、劇団主宰の大谷皿屋敷(おおたに・さらやしき)に初の単独インタビューを行った。左右不揃いの靴下で現れた大谷は、隙あらば靴を半分脱ぎながら、劇団やメンバー、自身や家族について語ってくれた。

グチャグチャでも許容する空気に、昔と今をみたテアトロコント

――本日は、伺いたいことがふんだんにあります。よろしくお願いします。

大谷皿屋敷(以下、大谷) スカスカな話しかできないかもしれませんが、よろしくお願いします。

――「テアトロコント」(2018年1月27日。渋谷のユーロライブでお笑い芸人2組と劇団2組が競演する定期開催のコントライブ)は、大変な盛り上がりでしたね。奥田民生の曲に乗せてヤンチャ坊主が二人、めちゃくちゃ楽しそうに仏壇の扉を開け閉めする冒頭から心を鷲掴みにされました。反響はいかがでしたか?

大谷 人づてに、主催であるユーロスペースの社長さんが「いい感じ」と言ってくださっていたと聞きました。あの公演では、一人の役者が台詞を派手に飛ばしたんですね。

テアトロコント『森』舞台写真

テアトロコント『森』舞台写真

――演技を中断し、役者さんが舞台から一度はけて、戻ってきて少し考えてから再開しましたね。

大谷 シーンがまるごとひとつ飛んだんです。芝居が一回崩れた後は、客席は“次の失敗待ち”みたいな雰囲気もありましたよね。でも立て直してからは、逆に“らしさ”が出て良かった気がします。グチャグチャでも、それすら許容する空気。「そういえば旗揚げの時って、こんな感じだったな」と思い出しました。地蔵中毒って、演技が上手いかって言ったらかなりアレなんですけど(笑)。それでも旗揚げの頃と比べたら、だいぶ上手くなっていて、上手くなって今の状態なんです。テアトロコントでは、昔と今、両方の地蔵中毒をお見せできた気がします。その日の打ち上げでは、台詞を飛ばした役者、関口オーディンまさおが英雄的な扱いを受けていました。

全公演完売した『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)

――『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』(2017年11月25-26日)は、全4回の公演が早々に完売。を買えない人が続出しました。

大谷 小さな劇場でしたから(笑)。でも、ありがとうございます。

――一般的に、演劇の客席には女性の方が多いものですが、地蔵中毒さんの客層は男性が多い印象があります。実際のところはいかがですか?

大谷 最近、よく分からないんです。高校生もいればカップルもいて。「大人計画を初期から観ていた」というおじさんも観に来てくれるようになりました。『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』の初日は、顕著に年齢層が高かったので、「シェイクスピアの(真面目な)ハムレットと間違えてきたんじゃないか? 大丈夫か?」と焦ったくらいです。

『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』

『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』

――ウエストポーチ着用ver.と言いながらも、けっこう原作をふまえた内容でしたね。もっとも主人公の名前が「ハムレット一朗太」というところから、笑いっぱなしでしたが。『ハムレット』という古典的題材を選んだ理由が知りたいです。大谷さんは、もともとシェイクスピア劇に触れる機会が多かったのでしょうか?

大谷 シェイクスピアのこと、全然知らないです。あの公演をきっかけに、シェイクスピアをWikipediaで調べて、初めて内容を知りました。シェイクスピアの中でも『ハムレット』を選んだのは、悲劇だったからです。悲しい方が僕の好きなタイプの笑いにしやすいし、地蔵中毒の劇は、だいたい最後にみんな死ぬので『ハムレット』が一番なぞりやすい物語だなと。

僕、大学時代は落研(落語研究会)だったんです。当時も古典落語を1回だけ聞いて、あとは古典の“古”の字もなくなるくらいメタメタに自分の脚本に変える作り方をしていました。『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』でやったことは、それと同じなんです。

『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』

『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』

――『ハムレット』は、これまでにも数えきれないほど、様々なアプローチで上演されてきましたが、出演者全員がウエストポーチを着用するという発想は斬新でした(笑)。

大谷 誰も得しないふざけをしたいんですよね。やってる方も見てる方も、言いだしっぺの僕も、なんだかよくわかんない。過去の公演では、お客さんに入口でジャガイモを配り、それを握ったまま観てもらったこともあります。お客さんは「最後には劇に関係するところでじゃがいもを使うのだろう」と思いながら観て、結局何も起こらないま終わるっていう(笑)。

――(笑)。公演が近づくとTwitter(@zizouchudoku)では、色々な割引サービスが紹介されますね。上演時間のラスト3分だけを観る「ラスト3分割引」や「80人団体割引」「自宅待機割引」「観劇辞退割引」「半チャーハン割引」「平将門割引」「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウイズ・ダイアモンズ割引」等など。実際に適用された割引はありますか?

大谷 「VLOOKUP関数割引」という、目の前でエクセルの関数を組めたら割引というサービスを適用したことがあります。劇場の受付にノートパソコンを持ちこんで、主要牛丼屋チェーン3店の売り上げ比較の関数を組んでみせてくれました。それをやったのが「日本のラジオ」の屋代秀樹さんだったので、二重にビックリです(笑)。

『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』

『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』

劇団「地蔵中毒」によく出る人

――3月8日より上演される、佐藤佐吉大演劇祭2018参加作品「無教訓意味なし演劇vol.7『淫乱和尚の水色腹筋地獄』改め『西口直結!阿闍梨餅展示ブース』」の、稽古状況はいかがですか? 

大谷 脚本を書きながらの稽古で、毎週の稽古当日に、3ページとか5ページずつ渡して進めています。よく出るメンバーたちは、今では台本を渡せば意図をパッと分かってくれます。演出でも「ひきのアーで斜め上に進めながらポンと置いてバツっと切ってダーのパターンでお願いします」と言えば、みんなできちゃう。外部の人には何のことかサッパリわからない地蔵専門用語ですよね。そして、役者たちが色々意見も出してくれます。セッションの過程で「なんだそれ!」と笑いながら作ったら変なものができた。それが「地蔵中毒」という感じです。

――役者の皆さんは一人一人個性的で、危ない感じもありつつ魅力的です。ただ、誰が劇団員で誰が客演なのかがよくわかりません。あらためて劇団「地蔵中毒」の正式メンバーを教えていただけますか?

大谷 「地蔵中毒」は自己申告制で、正式メンバーは決めていません。

――では、先ほどおっしゃった“よく出るメンバー” をご紹介ください。どのように集まった方々なのでしょうか?

大谷 「地蔵中毒」は、僕が北海道の大学を卒業してから単身上京後に旗揚げした劇団なのですが、それまで演劇をやったことが全くなかったので、劇団の作り方、仲間の集め方もわかりませんでした。東京に知り合いはほとんどいなかったので、まず劇団のホームページとTwitterアカウントを作り、「何だこれ!」と思ってもらえるように変なことをたくさん載せました。拡散のためにこちらからTwitterでいっぱいフォローしていけば、そこから仲間が増えるはずという作戦です。

――その成果は? 

大谷 何も起きませんでした(笑)。フォローした人に「上滑りしている劇団にフォローされた」とつぶやかれて心が折れ、1年半ほど間があき、その後、学生時代の知り合いだった栗原三葉虫と再会し2014年に旗揚げしました。旗揚げ公演の来場者数は13人だけでしたが、それを観た関口オーディンまさお立川がじらが、第2回公演から参加。第2回を観たかませけんたが、第3回から参加してくれました。初期からの男性メンバーは皆、学生時代の落研関係の知り合いです。

『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』の稽古風景

『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』の稽古風景

――大谷さんはどちらの大学の落研だったのですか?

大谷 僕は北海道大学ですが、皆、出身大学はばらばらです。それぞれが別の学生落語大会で優勝や準優勝を経験していたので、お互いの存在はよく知っていたのですが、中でも「面白いことをしてやろう」と意気込んでアウトサイドにずれていってしまった人たちが、卒業後に地蔵中毒で集まった感じです。

旗揚げと第二回公演の間にあった1.5回公演に出てもらったのをきっかけに、鈴木理子武内慧東京にこにこちゃん)がよく出るメンバーに加わりました。第3回を観て出演希望の連絡をくれたのがフルサワミオ。「アラサー、バツイチ、タトゥーありですが大丈夫ですか?」とメールをくれまして、「全然問題ない。タトゥーも見せていこうや」と(笑)。

『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』

『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』

やがて、同じ大学の落研仲間で東京に出てきた東野良平も加わりました。そして、普段は制作ですが外部公演の時には出演するのが、宇都宮みどりちゃん。また、第4回公演の打ち上げに、フラっと現れて知り合ったのがhocoten。彼女が主催するイベント「オルギア視聴覚室」にも呼んでもらったりして、最近では「地蔵中毒」のよく出るメンバーにもなってくれました。あとは礒村 夬……。僕がやってほしい“やばいおじさん”の完成形を作ってくれた人です。

テアトロコント『森』舞台写真

テアトロコント『森』舞台写真

――ある種暴力的な作風とは対照的に、皆さん仲が良さそうですね。

大谷 けんかをしたこともあります。先ほどお話した、ジャガイモを配る公演の時です。大量に購入した土つきのジャガイモをそのまま配るか洗うかで、おっさん同士のけんかになりました。かませさんが「土から、生命を感じ取ってほしいんだよ!」って大声を上げたりして。

――(笑)。大谷さんが怒ることもありますか? たとえば役者さんが暴走して……、など。

大谷 暴走というか、がじらさんだけは毎回違う芝居をします。でも、それについては何も言いません。どちらかというと稽古場でまず怒られるのは、僕です。思いついたことをそのまま脚本を書くので、「ト書きに『ここで宙に浮く』とあるけれど浮けません。どうするの?」とか「『ここで口から米が出る』とありますが、直前まで台詞があります。どうするの?」とか。

AVは、人生の支柱です

――落語や演劇は小さい時からお好きだったのですか?

大谷 お笑いは、好きでした。小学校5年生くらいからハガキ職人をやっていました。有名ではありませんでしたが、少年ジャンプやファミ通、SPA!などにハガキを出していました。言葉を研ぎ澄ますというか、ネタを考えることが好きなんです。当時から今でも継続していることって、ネタを書くこととオナニーをすることだけです。落研に入ったのは、大学にお笑い研究会がなかったからです。見学に行ったら「1年生はおごってあげる」「誕生日が近いんだって? AVを買ってあげる」と勧誘されまして、AVをもらったら辞めるつもりが、なかなか約束が果たされぬままどっぷりと……。

――落語の道に進もうとは思いませんでしたか? 同じ劇団のがじらさんは、立川志らく師匠に入門されていますよね。

大谷 僕は思いませんでした。落研時代に、てんしき杯という学生落語の大会で優勝したこともあったのですが。

――先ほどおっしゃっていた、古典を解体するような落語で?

大谷 はい。勝ち上がるつもりもなく、胎児を溶かしてにがりを入れて、ところてんにして食べる婆ァが出てくる噺をしました。それで優勝させていただいた時、審査をされていたプロの噺家の師匠に「プロの落語家になろうと思うなよ」と言われました。

――きびしいコメントですね。

大谷 いや。そう悪い感じではなく「落語は趣味に、別のフィールドで戦う方があっているよ」というニュアンスでした。僕自身も「そうだよな」と思いました。タテ社会も苦手ですし(笑)、こういうふざけたことができるのは演劇だなと思ったんです。

――ときに、劇団名の由来が気になります。

大谷 劇団名に意味はないのですが、「蛸地蔵」というバンドがあるんです。数曲しか知らないのですが、すごくカッコいい名前だと思っていて、劇団を作る時に「地蔵」と入れました。そこに足すと気持ち悪い言葉を探して、「地蔵中毒」にしました。

――影響を受けた人はいますか? 演劇に限らず。

大谷 もともと電気グルーヴやダウンタウンなどが好きだったのですが、高校の時に友達から『ふくすけ』の戯曲を借りて読んで以来、松尾スズキも好きになりました。でも、これを記事にされるのは恥ずかしいですね。「地蔵中毒」を観た方から「初期の大人計画の影響を受けすぎだ」と言われることがあるので(笑)。あと、かなりAVが好きです。AVから着想を得ることも多いです。カンパニー松尾やバクシーシ山下の影響も強く受けています。AVは人生の支柱です。

――先日の『ハムレット』の冒頭などにも、AVの影響を色濃く感じるシーンがありました(笑)。

大谷 幼稚園のころ、クレヨンで女の人の裸の絵を描いていたんです。僕がクレヨンで陰毛まで描きこんでいたので、やめさせようとした母は、怒るかわりにそれとなく「裸の絵をかいたら警察に捕まるんだよ」と言いました。その「捕まるんだよ」という言葉がずっと頭から消えなかったんです。小学校にあがって、教室でTVの真似をする陽気な子ではありましたが、「僕はもう裸の絵を描いてしまった。僕は捕まるんだ。だからあまり楽しんではいけないんだ」という意識も常にどこかにあって……。

――罪の意識?

大谷 はい。陰毛の罪の意識(笑)。そのせいでどこかパァっと明るくなりきれない、今でも物事をまっすぐ見られない、どんよりとしたところがある気がします。

――その反動なのでしょうか、いま作品として表出されるものには、そうした内面のほとばしりを感じます。大谷さんという人物がいかにして作られたのか興味深いですね。もし差支えなければ家庭環境についても伺えますか?

大谷 生まれてから東京に出るまで札幌にいました。父さんと母さんと弟の4人家族で仲はいいのですが、死ぬほど貧乏でした。たとえばお風呂が壊れたまま使えなくて、やかんで沸かしたお湯をタライにいれて、という生活を物心ついた時から大学卒業までずっと……。

父さんは公認会計士なので僕が生まれるまでは、月収3桁の生活だったらしいです。でも僕が生まれた年に独立して、なんか残念なことに(笑)。ただ、ものすごく真面目で、勉強好きな人なんです。「塾に行かせてやれないから」と、大学受験まで父さんが勉強を教えてくれました。俺より勉強してました(笑)。

――大学卒業後の進路について、ご家族はどんな反応をされましたか?

大谷 演劇の経験もないのに「東京に出て劇団を作るから」ってなんかバカっぽいじゃないですか。だから「とにかく東京にいく」「へらへらしていたいから就職はしない」と具体的なことは言わず押し切りました。母さんは「なんで就職しないの?」と心配がっていましたが、最後は「じゃあ、勝手にすれば」と。父は「就職するだけが人生じゃない」と言ってくれて、母さんに「あんたが言うんじゃないよ」と怒られてました(笑)。でも、地蔵中毒のTwitterをこの世で一番チェックしてくれているのは父さんだと思います。「フルサワさんって毎朝、料理手作りなんだね」って、僕より詳しい。

『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』

『ハムレット(ウエストポーチ着用ver.)』

――最後に、劇団「地蔵中毒」のこれからのビジョンをお聞かせください。 

大谷 誰にも怒られないで、ずっとふざけていたいですね。それから劇団「地蔵中毒」は、徐々にバンドにしていこうかなと思います。

――は? バンドですか?! ……今日はどうも、ありがとうございました。


大谷皿屋敷 作・演出、劇団「地蔵中毒」の「無教訓意味なし演劇vol.7 『淫乱和尚の水色腹筋地獄』改め『西口直結!阿闍梨餅展示ブース』」は、3月8日(木)~3月11日(日)の全11公演、王子スタジオ1にて上演される。公演回数は『ハムレット』の時より多いが、総キャパシティは『ハムレット』より少ないそうなので、予約は急いだほうがよさそうだ。さらに、その2週間後には、コンプソンズとの合同公演『コンプソンズ×劇団「地蔵中毒」』(於・ステージカフェ 下北沢亭)も3月24 日(土)~3月25 日(日)に控えている。いま、一番ノリにノッテいる小劇場の姿を見逃さないでほしい。

取材・文=塚田史香  取材協力=うにたもみいち

公演情報
劇団「地蔵中毒」無教訓意味なし演劇vol.7
「淫乱和尚の水色腹筋地獄」改め「西口直結!阿闍梨餅展示ブース」

■作・演出:大谷皿屋敷
■出演:劇団「地蔵中毒」
■日程:2017年3月8日(木)~3月11日(日)、全8公演
■会場:王子スタジオ1
■料金:予約1800円 当日2000円、高校生以下1000円(各ステ5枚)
■公式サイト:https://g-chudoku.jimdo.com/

コンプソンズ#3.5 「コンプソンズ×劇団『地蔵中毒』」
■日程:2017年3月24 日(土)~3月25 日(日) 、全4公演
■会場:ステージカフェ 下北沢亭
■料金:前売・当日 1500 円(ドリンク代別)
■公式サイト:https://www.compsons.net/
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