劇団鹿殺し・丸尾丸一郎×悪い芝居・山崎彬が初タッグ!怪奇幻想歌劇『笑う吸血鬼』東京公演ゲネプロレポート
『笑う吸血鬼』ゲネプロの様子
劇団鹿殺しの丸尾丸一郎と悪い芝居の山崎彬による初タッグ作品、怪奇幻想歌劇『笑う吸血鬼』が2018年4月19日よりスペース・ゼロ(東京都渋谷区)で始まった。開幕を前に行われた総通し稽古(=ゲネプロ)の様子をお伝えする。
『笑う吸血鬼』ゲネプロの様子
『笑う吸血鬼』ゲネプロの様子
「地元出身クリエイターによる地元初の舞台」を掲げた「based on origin」projectの第一弾として企画された本作品。丸尾末広による漫画『笑う吸血鬼』(ビームコミックス/KADOKAWA刊)を原作として、共に関西出身の丸尾丸一郎と山崎彬がタッグを組み、昨年末に大阪で上演された。
メインキャストは大阪公演に引き続き、大原海輝(毛利耿之助役)、飛鳥凛(宮脇留奈役)、ゆうたろう(橘マコト役)、柄谷吾史(駱駝女役)がつとめ、今回の東京公演に際し、辺見外男役として新たに千綿勇平が加わった。
『笑う吸血鬼』ゲネプロの様子
『笑う吸血鬼』ゲネプロの様子
謎の駱駝女から血を受け、吸血鬼となった十四歳の美少年・毛利耿之助と、第二の吸血鬼となった同級生の森脇留奈らを軸に物語は進む。
「原作が持つ耽美なイメージも大事にしつつ、思春期の少年少女の普遍的な『青春群像劇』だとも感じていて、脚本にもそっちの要素を強く抽出してもらいました」と、演出の山崎がパンフレットで語っている通り、確かに全体的におどろおどろしい場面が多く、目を背けたくなるようなバイオレンスな部分も目立つが、その奥にある一つひとつの「欲望」に目を向けると、不思議と「美」が感じられ、同時に自らの残酷性に気付かされるような舞台だった。
『笑う吸血鬼』ゲネプロの様子
『笑う吸血鬼』ゲネプロの様子
出演している役者は若い役者が多く、その眩しいほどのエネルギッシュさと、ひたむきさやまっすぐなパワーは感じた。また、舞台中央に浮かぶ月とそれを見下ろす骸骨が印象的な舞台美術は、第45回伊藤熹朔賞新人賞を受賞したが、中劇場を異空間へと作り変える大事な要素を担っており、見応えがある。
上演時間はおよそ2時間(休憩なし)。芝居の合間合間にアクセントとして入れ込まれるダンスと歌の効果も相まって、「怪奇幻想歌劇」と銘打つだけの異色の舞台になっていることは間違いないと思う。
『笑う吸血鬼』ゲネプロの様子
『笑う吸血鬼』ゲネプロの様子
最後に、ゲネプロを終えたキャストコメント(抜粋)を紹介したい。
柄谷吾史
「舞台は総合芸術なんだと改めて感じる舞台です。何一つ欠けても成り立たないのです。そんな舞台、怪奇幻想歌劇『笑う吸血鬼』を是非ご覧下さい。そして、感じて下さい。劇場でお待ちしております。」
千綿勇平
「外男を大阪公演から引き継ぎ、ただなぞるだけでなく、僕が入ったことで新しい外男としていい変化をもたらせるように努力してまいりました。『笑う吸血鬼』、この世界観を多くの人に感じて、浸ってもらいたいです!」
ゆうたろう
「お芝居は勿論、歌、ダンス、殺陣と盛り沢山でこの作品の世界観にのめりこめる舞台になっているので出来るだけ瞬きしないでご観劇いただきたいです!僕個人としてもこの世界観で美しく生きたいなと思っていますので是非楽しみにしていてください。」
『笑う吸血鬼』ゲネプロの様子
飛鳥凛
「いよいよ東京公演はじまります!大阪でたくさんのパワーを吸い込んだ作品……東京公演を迎えるにあたり新たなキャストも加わり、同じ作品とは思えない空気感になりました。泣いても笑っても最後! 全力で皆様にお届けします。千秋楽まで走り続けます。たくさんの方々に笑う吸血鬼が届きますように」
大原海輝
「毛利耿之助として、今の僕にできる全てを注ぎます。『笑う吸血鬼』こそが今の僕にとっての今のハライソです。生きていて、考えていても中々言えないことって多いって思います。それが誰かにとっての醜さでも。卑しさでも構わない。誰かにとっての最高と最悪で、ありたい。そして皆さんにとっての渇望とハライソを願って。」
取材・文・写真:五月女菜穂
公演情報
日程:2018年4月19日(木)~22日(日)
会場:全労済ホール/スペース・ゼロ
原作:丸尾末広『笑う吸血鬼』(ビームコミックス/KADOKAWA 刊)
◆キャスト
毛利耿之助役:大原海輝、宮脇留奈役:飛鳥凛、橘マコト役:ゆうたろう、
辺見外男役:千綿勇平、駱駝女役:柄谷吾史、
橘和子役:幸田尚子、沼夫人役:野村麻衣(悪い芝居)、バヤカン役:森田真和、
中山知美役:中西柚貴(悪い芝居)、永田悟役:池田謙信、
近藤哲也役:浅野康之(劇団鹿殺し)、カン役:近藤茶(劇団鹿殺し)
町田尚規、新津昭江、増本優子
◆
料金:全席指定 7,900円(税込)