有吉佐和子が描く女の闘い、開幕! 檀れい、高橋惠子ら出演の舞台『仮縫』
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(左から)葛山信吾、高橋惠子、檀れい、古谷一行、山本陽子
2018年5月6日(日)、東京・明治座にて有吉佐和子原作の舞台『仮縫』が開幕した。公演終了後、初日の熱冷めやらぬ上気した顔で、檀れい、高橋惠子、古谷一行、葛山信吾、山本陽子が会見に臨んだ。
本作はファッション業界で繰り広げられる女同士の闘いを描いた物語。洋裁学校の学生・清家龍子(檀)が、オートクチュール専門店「パルファン」の経営者であり一流デザイナーの松平ユキ(高橋)にお針子としてスカウトされ、店でデザインの腕を磨く。ユキの弟であり、運転手兼ドアボーイの信彦(葛山)と、謎の家政婦たつ(山本)、さらにはユキの恋人ではないかと思われる、銀座で画廊を営む相島昌平(古谷)との間で、龍子はいつしか「パルファン」を率いる代表代理の位置まで上り詰めるが―
高橋惠子、檀れいのドレス姿に会見場からため息が!
会見では本作のポスターにも使われている白のドレス姿の檀と、紫がかった黒のドレス姿の高橋の姿に会見場からはため息が漏れていた。ファッション業界で生きるデザイナーという設定もあって、二人が芝居中に様々な衣裳に身を包む点も見どころとなっている。劇中では檀が11着、高橋は9着に袖を通すが、檀は「こんなにたくさんの衣裳を着させていただいてとても嬉しいです。特にこの白いドレスがいちばん綺麗です」と喜びを表す。
檀れい
高橋も同じく、とばかりにうなずくが、舞台中、早替えが必要となる場面もあることに触れる。「いちばん短い時間で着替えるのはパリから帰国してまた登場する場面。20秒ぐらいしかないので、実は前の衣裳の下に次の衣裳を着ているんです」と明かす。実際の舞台ではスレンダーな高橋ゆえに、重ね着しているとはとても思えないくらい自然な着こなしを見せていた。衣裳の早替えについて、檀にも質問が寄せられると「得意中の得意ですよ!宝塚歌劇団時代もやっていましたから」と胸を張った。
高橋惠子
そんな二人のドレス談義に古谷は「ところで、(檀さんの)このドレス、いつ着たの?」と素で問いかける。「カーテンコールですよ!」と周りが驚きながら返すと「僕はその場面にいないから(※舞台上では檀とすれ違いで登場する)知らなかったよ。そうだったのかー。いやあ美しいですね」と改めてまじまじと眺め、檀が照れた表情を見せていた。
古谷一行
檀としては早替えよりも龍子を演じることが大変と話し出す。「龍子は若いお針子さん。元気いっぱいなところが演じていてしんどいんです。私は普段静かな方なので、龍子のようにテンション高く、元気いっぱいな状態をキープするのが本当に大変なんです」と笑った。
高橋惠子、檀れい
初日ならではのハプニングもあったようだ。「お客様は気付いていないかもしれないけれど…なんで俺がこの場面で眼鏡をかけているんだ、とか(笑)」と古谷が語り始めると、高橋も思い出し「スカーフを取るときに私のイアリングがひっかかって落ちてしまって。それを(古谷が)ちゃんとフォローして、自然な感じで拾ってくださって」と感謝していた。
葛山信吾
葛山は「とにかく緊張しっぱなしの公演。初日のいい緊張、心地よい緊張でした。これが変な緊張にならないよう頑張りたいですね」とコメント。そして山本は「(山本が演じるたつは)原作では少ししか出番がない人物。この役が少し複雑な役なのでお客様がどのような反応をして、どう受け止めてくださっているのかが非常に気になりますね」と語っていた。
山本陽子
有吉佐和子の特徴でもある、女同士の愛憎交えた闘いがどう舞台上で描かれるかが注目された本作。龍子であれば先輩お針子たちからの嫉妬や嫌がらせ、ユキであれば相島との人間関係など、人物の背景を膨らますこともきっと可能だったと思われるが、そういったものをあえて最小限にしたことで、実力とそこから生まれた野心を力に急速にのし上がっていく龍子と、それを迎え撃つユキとの対立の構図が強調され、非常に観やすい作品となっていた。三部構成の最後には明治座の花道を使った華やかなファッションショーも。また、ファッションの街パリを彷彿とさせるアコーディオンの調べやオートクチュールという高級感を引き立たせるクラシック、一方で当時の日本を感じさせる歌謡曲など、目からも耳からも楽しませる趣向が満載だ。
取材・文・撮影=こむらさき
公演情報
■日時:2018年5月6日(日)~28日(月)
■会場:明治座
■原作:有吉佐和子『仮縫』(集英社文庫)
■脚本:堀越 真
■演出:西川信廣
■出演:
檀 れい 高橋惠子
古谷一行
山本陽子 葛山信吾 ほか
■公式サイト:http://www.meijiza.co.jp/news/180221/