小澤雄太、森田桐矢、八神蓮が描く日本の誕生とは!? 舞台『暁の帝~壬申の乱編~』 インタビュー

インタビュー
舞台
2018.6.12
(右から)八神蓮、小澤雄太、森田桐矢

(右から)八神蓮、小澤雄太、森田桐矢

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2018年6月27日(水)から、東京・シアターグリーン BIG TREE THEATERにて舞台『暁の帝~壬申の乱編~』が上演される。

シアターグリーン50周年記念公演として上演される本作は、CoRich舞台芸術まつり!2016春の準グランプリ受賞の脚本・演出家である伊藤靖朗が、日本史上最大のタブーとも言える「壬申の乱(じんしんのらん)」をモチーフにした物語を描く、いわば“古典エンターテイメント”。

飛鳥時代の倭国。中央集権型の国づくりを進める天智天皇と、自分たちの支配力を奪われると抵抗する豪族たち。日本の政治体制が大きく変わろうとしていたその時に、中大兄皇子の弟である大海人皇子が立ち上がる。それまでは兄の補佐をしてきた大海人王子は、やがて兄を裏切り王位をめぐる壬申の乱を引き起こす。一体彼に何があったのだろうか―。

大海人皇子役を演じる劇団EXILEの小澤雄太、中大兄皇子役の八神蓮、中大兄皇子の息子・大友皇子役を演じる森田桐矢に話を聞いた。


ーーまず、今回の物語で描かれる「壬申の乱」や登場人物の事をご存知でしたか?

小澤:僕、知らなかったんですよ。

八神:一応名前だけはね。詳しくは知らなかったけれど。

森田:名前だけは知ってました。

八神:中大兄皇子はね、テストの問題としてはいちばん出てきた方じゃないかな? でも天智天皇と中大兄皇子をイコールでは結んでいなかったです。

小澤:確かにね。

森田:それはあるかも。

八神:確か中学生の頃に社会の授業で習うレベルだったかなあ。でも高校で世界史、日本史……って選択教科が分かれるじゃない? 僕は世界史だったからそれ以上踏み込むことがなかったんです。

森田:僕も世界史でした。

小澤:どっちも勉強してなかったかも……なんで記憶がないんだろう。当時はほかに好きなことをやりすぎていたからかもしれない。いいのかな、こんな自分が演じることになって(笑)。

小澤雄太

小澤雄太

ーーで、あるならば、これから役作りをしながら人物を知っていくということで……。

小澤:そうですね。じゃあ役作りとしては『ドラゴンボール』の孫悟空みたいな立ち位置で。

八神:じゃあ俺はベジータをイメージして……。

森田:僕はトランクス(笑)?

全員:(笑)。

ーー(笑)。このお仕事をいただいたときの率直な感想を教えてください。まずは「座長」小澤さんからお願いします!

小澤:正直この役を受けるべきか悩みました。自分がこの時代の事について無知すぎて。幕末とか江戸時代よりもっと前って本当に知らないので、今の僕でそれが務まるのかな、って。しかも座長として。その場では「ちょっと時間をください」と言ったんですが、その夜「どうして今、悩んでいるんだろう。『考える暇があるならやります』って前から言っていたのに、なに大人になってしまっているんだろう……」、その一方で「いやでもこれ、今の自分には難しい役なのでは?」とも思っていて……。

八神:自分の頭の中で天使と悪魔みたいなのが戦っていたんだ(笑)。

小澤:そう。そして翌日。改めて「やります。昨日『時間をください』って言ったことを取り消してください」って返事をしたんです。ちゃんと勉強してがんばります、って言いました。ある意味、この仕事は自分が初心に戻れるきっかけとなりました。もう一度自分の人生を見つめなおして取り組んでみようって思えたんです。
特に今回は僕が30代になって初の主演舞台作品。30代って自分にとっても未知の世界なので、それにちょっとビビっていたかもしれないです。そこに気づくことができたな、と感じました。だから、より一層気合いを入れて頑張ろうと思います。

八神:……そんなちゃんとした話をされた後って喋りづらいよ~。

小澤:だって「座長」って言うから~ちゃんと喋らないと思って(笑)!

八神:(笑)。さて、僕はというと、最近舞台をやってなかったんです。事務所でやっている年イチの舞台には出ていましたが、それ以外はほとんどやってなかったんです。何故ここでやろうかと思ったのは……メンバーですかね。今回の出演者ってあまり舞台のイメージがない人たちばかり。その顔ぶれで時代物をやると。僕は顔つきとしても時代物に合っている気がするので、そういう点でも興味を持ったんです。

八神蓮

八神蓮

ーー常日頃「王子」と呼ばれているから皇子役に……という訳ではない、と(笑)。

八神:そう呼ばれていますが(笑)、実は王子役ってあまりやってないんです。どちらかというと悪役のほうが多いんです。今回の中大兄皇子役ですが、自分がこの年齢になったからこそ、国を治める人物をやることができるようになったんだと感じます。若すぎて、訳もわからず王子をやっていて、その結果、国を治めたという人もいるとは思いますが、中大兄皇子はそういう人ではないですから、ある程度の年齢があるほうが説得力がありますしね。

小澤:役者としてはやりがいがありそうな役どころだよね。

ーーそして森田さんは、八神さん演じる中大兄皇子の息子・大友皇子役ということですが……八神さんと10歳くらいしか離れてないのに、ずいぶん大きな息子さんが(笑)!

森田:実は今回お母さん役の青山さん(額田王役の青山倫子)が、僕の母と年齢が近いんです。それもあって、すでに八神さんをお父さん目線で見ています。

八神:でもこの時代だったらこういう年齢差の親子がいてもおかしくないだろうね。

森田:大友皇子は、はかない人生を送る事となるので、どういった気持ちでそのような決断をしたのか、研究して臨みたいと思っています。

ーーちょうど役づくりの話が出たところで、もっと詳しくお伺いしたいのですが、今回ご自身が演じる役をどのように作っていこうと考えていらっしゃいますか?

小澤:僕らはまだ台本をいただいてないんですが、その前に、この時代のニュアンスや背景などを勉強する会を開いていただいたんです。キャストもスタッフも一緒になって、この時代だけでなくそれよりずっと前、日本という土地に人が生まれた神話の時代から勉強する機会をいただきました。これによってよりチーム感が生まれ、最初からテンションが高い状態でスタートすることができました。この後もやりやすい環境ができたと思います。

八神:こういう環境を整えてくれるカンパニーってなかなかないですね。普通はもっと別の場であれこれと事前に決まったあと、キャストにパスされるじゃないですか。でもここは事前の話し合いから僕らを入れてくださったんです。

小澤:キャストと演出家で作品を作る、というのではなくスタッフさんも含めカンパニー全体で一つの物を届けていこうぜ! という「熱」を受け取りました。だから、僕らも普通のお芝居よりさらに底上げされたところからスタートできるだろうと感じています。

(左から)小澤雄太、八神蓮、森田桐矢

(左から)小澤雄太、八神蓮、森田桐矢

ーーこの物語は中大兄皇子と大海人皇子の兄弟が対立しながら倭国の覇権を競っていくことになりますが、一人の男として上を目指そう、という彼らの姿に共感できる部分はありますか?

小澤:共感できるといえばそうなんですが、でもその当時彼らがどんな思いで上を目指していたかは誰も知らないので、演じる場合は僕たちの今の気持ちに役を寄せていくしかないなと思っています。彼らは最初から王家に生まれてきた人物、放っておいてもいずれ政治をつかさどる立場となっていく身分ですから、僕らがこの時代において上を目指すのとはちょっと立ち位置が違うんですよ。

八神:俳優としてもっと売れていこう、お金が欲しい、とか、皆それぞれに何か思っているかもしれないですし、それにやや近いのかもな。中大兄皇子は目標の為に真っ直ぐで、野心があるかどうか、と言うとまだわかりかねるところですが……でも頭はいい人でしょうね。自分が天皇になろうと思えばなれたと思うのに、あえて他に天皇の座を譲って裏で牛耳っていたわけですから。

森田:大友皇子はちょっと二人とは違っていて、上を目指すというよりは、親の期待に応えたいというのが強くある人物なんです。親が息子に後を継がせたい、と敷いたレールの上から落っこちないように頑張って登っていき、親に認めてもらいたい、ほめてもらいたい、というシンプルな動機を持っている人物だと思うんです。でも後半は親に認めてもらいたい、という「欲」に自分自身の「意地」が混ざって混乱してしまい、本来慕っていた叔父(大海人皇子)と対立する……「欲」に「意地」が混ざったのが大友皇子なのでは、と考えています。

ーーお話を聞いていると現代の親子関係、兄弟関係とも重なりますね。

小澤:人間の根底にあるものは今と変わらないと思います。だから昔の時代背景に今の僕らの想いを載せていけば、この作品のメッセージをお客さんにも伝えることができるんじゃないかな、と思っています。

ーー今回この公演はシアターグリーンの50周年記念公演ということですね。200人くらいのキャパでお客様との距離も相当近い劇場です。

八神:このサイズのハコは久々だね。

小澤:僕も。でも大きなハコのときと気持ちは一緒なんだよね。もちろん動き方は違うけど。すごくライブ感は出そうですね。

八神:お客さんも生で感じるじゃないですか。距離感が近いからこそ、その反応もこっちとしても肌で感じると思うんです。

森田:僕は本当に何も変わらずに劇場に入っていけそうです(笑)。

森田桐矢

森田桐矢

ーーでは、最後に舞台を楽しみにしているお客様に一言メッセージを。

森田:来ていただければいいです……(一呼吸おいて)僕たちがこれから作っていく物語が持つメッセージを皆で伝えていけると思うので、それを劇場で、近い距離で感じ取っていただきたいです。

八神:「来ていただければいいです」で話が終わるかと思った(笑)。

森田:一度その方向で行こうと思ったんだけど、ちょっと違うかなって(笑)。

八神:じゃあ僕から。カンパニーでいいものを一生懸命作って、お客さんに食べていただくことになります。お客様がこの舞台のスパイスになってください。

全員:おおー!

小澤:……以上です(笑)!

全員:えー!

小澤:だってこれ以上言うことないから(笑)。八神くんがおしゃれなことを言ってるから僕がこれ以上続けるのもどうかなって。

ーーいや、そこはぜひ座長からシメのお言葉を。

森田:もっといいことを言ってください(微笑)。

ーーそっとハードル上げられましたよ。

小澤:ええー(笑)。僕が座長と言う立場でやるのが4年ぶりくらい。30代としては初なので、僕の中でのテーマはただ主演ということではなく、カンパニーとしてプライドを持って作っていきたいという意気込みでいます。キャスト、スタッフ全員で一つのメッセージを作り上げていく、その姿が倭国が日本になったその瞬間と繋がっていけばと思います。

八神・森田:おおー!(拍手)

(右から)八神蓮、小澤雄太、森田桐矢

(右から)八神蓮、小澤雄太、森田桐矢

衣装協力/CALEE INC.  ヘアメイク/遠藤一明(ひつじ)  ヘアメイク/菊地弥生(ひつじ)
取材・文=こむらさき 撮影=安西美樹

公演情報

シアターグリーン50周年記念公演『暁の帝~壬申の乱編~』
 
【あらすじ】
飛鳥時代、この国がまだ日本ではなく倭国(わこく)と呼ばれていた頃。
朝鮮半島での戦争に加担し大敗を期した白村江(はくすきのえ)の戦いの後、国は大きく揺れていた。
中央集権型の国づくりを進める天智天皇と、自分たちの支配力を奪われると抵抗する豪族たち。
日本の政治体制が大きく変わろうとしていたその時に、一人の男が立ち上がる。
その名は大海人皇子。
天智天皇の弟として献身的に補佐していた彼だが、後に、天智を裏切り王位をめぐる壬申の乱を引き起こすことに。
一体彼に何があったのか!? 日本史上、最大のクーデターであるこの戦いに秘められた大海人王子の思い、そしてそこに関わる人たちの熱き物語!

■日時:2018年6月27日(水)~7月1日(日)
■会場:シアターグリーン BIG TREE THEATER
■脚本・演出:伊藤靖朗
■出演:小澤雄太、森田桐矢、佐藤美希、青山倫子、八神蓮 ほか
 
料金 S席:7000円  A席:6000円  B席:5500円
■公式サイト:http://produce-party.com/akatsuki
■お問い合わせはこちら  2018akatsuki@gmail.com
 
■企画:『P』 / Nemeton / マリエエンタープライズ
■主催:「暁の帝」製作委員会
■協力:LDH JAPAN ボックスコーポレーション ルビーパレード ホリプロ BLUE LABEL レプロエンタテインメント MMJ
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