佐渡裕&トーンキュンストラー管、2016年5月「凱旋」
ウィーンデビューから半年、早くも実現
先日、佐渡裕から五嶋龍へと司会者が代替わりした「題名のない音楽会」を見た。
番組を取り仕切る人が変わったのだから当然印象は変わるのだけれど、今回の変化は事前の想像以上の大きい変化を番組にもたらしたように思われる。「自らは音を出さない音楽家」である指揮者らしく共演者への聞き手につとめてきた指揮者・佐渡裕から、「自ら演奏して音楽を視聴者に届けよう」というヴァイオリニスト・五嶋龍へ。
もちろん、これはどちらが良いの悪いのということではない(もっとも、視聴される各位の好い悪いの反応はあるだろうけれど)。五嶋龍の「カラー」は番組冒頭のコメントから強く前面に出ていたので、こなれてくればより「演奏」そのものに踏み込んだ番組へ進化していくことだろう。若き司会者の成長を見守ろうではないか。
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さて今日の本題は「卒業生」である佐渡裕である。以前にもご案内したとおり、佐渡裕は9月からウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団の首席指揮者に就任した。10月1日にはウィーンのニューイヤーコンサートでもおなじみのあの「黄金のホール」、ウィーン楽友協会大ホールで、そしてグラフェネッグほかオーケストラの本拠地で就任演奏会を指揮し、かつて指揮者のタマゴとして留学したウィーンへ、「一本立ちのマエストロ」として凱旋を飾ったかっこうだ。その模様は先日NHK BS1の番組「国際報道2015」などでも部分的に放送されたが、個人的には「コンサート全体も収録されているのでは」と期待しているのだが、実際のところ如何であろうか(と、渋谷区神南の空に問合せてみた)。
オーケストラのサイトで見られる佐渡が編んだ最初のシーズンプログラムは、「ハイドンの交響曲を多く取り上げる中でオーケストラと共通の基盤を作り上げ、彼自身はドイツ・ロマン派の大作を取り上げる中でオーケストラが持つウィーンの伝統を学ぼうとしている」ように見受けられる。そこに彼が得意とする「タルカス」を取り上げる公演(しかもそのコンサートのソリストはなんと山下洋輔だ)などを入れることで、彼のカラーも上手く織り込んである目配りの良さは好感のもてるところだ。
また、彼以外の客演陣にも注目したい。山田和樹(2015年11月 ハイドン、アデス、メンデルスゾーン)や鈴木雅明(2015年12月 クリスマスコンサート/モーツァルト、ハイドン、チャイコフスキー、ストラヴィンスキー!)ら日本の指揮者たちが招かれているほか、日本フィルの次期首席指揮者ピエタリ・インキネンやフィンランドのヨン・ストゥールゴールズ(ストルゴー)が並ぶラインナップはなかなか魅力的だ。シーズンのはじめには東京都交響楽団の首席客演指揮者ヤクブ・フルシャも登場しており、このオーケストラが日本のクラシック音楽ファンには馴染み深い存在になるのにそんなに時間はかからないかもしれない。
さて、10月13日には噂されていた佐渡裕とウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団2016年5月の来日公演詳細が発表された。12県で全14公演と日本各地を回る、新しいコンビネーションのお披露目であり、また今度は佐渡が日本へと「凱旋」するツアーとなる。プログラムは2つ用意され、ひとつは就任コンサートと同じハイドン、ベートーヴェン、そしてブラームス(ベートーヴェンのソリストにはアリス=紗良・オットが招かれる)、そしてベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲とR.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」と、どちらもウィーンの伝統の力を感じさせてくれる選曲となっている。の一般発売は12月に予定されているが、その辺りも含めて最新最速の情報は「佐渡裕 オフィシャルファンサイト」でチェックしていただきたい。戦いはもう始まろうとしている、そしてそこでは情報こそが力なのだ(何の話であろうか)。
なお、24日(土)には<BSフジサタデースペシャル>『辻井伸行×オーストリア』が放送される。佐渡の指揮するトーンキュンストラー管弦楽団殿共演でウィーンにデビューした辻井伸行のドキュメンタリとのことなので、辻井伸行のファンのかたもぜひ。
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佐渡裕の国内での活動ももちろん続いていく。今月はこれからシエナ・ウインド・オーケストラとのツアーが行われ、12月には恒例の「サントリー1万人の第九」、そして兵庫芸術文化センター管弦楽団との演奏会が予定されている。ほんとうに多忙なマエストロである。
16日夜に放送された「国際報道2015」で佐渡は、自身のデビューコンサートを「渋い一歩」と評していた。ウィーンへの「凱旋」を手放しで喜ぶどころか、むしろこの先をどう創りあげていくか、もう彼は前を向いている。これから半年の活動の中で、確実に前進した演奏を佐渡裕が日本に持ってきてくれることを期待しよう。
音楽監督就任記念 日本ツアー2016 佐渡裕指揮 トーンキュンストラー管弦楽団
Yutaka Sado & Tonkunstler-Orchester Japan Tour 2016
<東京公演>
プログラム【B】
5月21日(土)14時 ミューザ川崎シンフォニーホール
5月23日(月)19時 サントリーホール
曲目:
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調作品61 (ヴァイオリン:レイ・チェン)
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 作品40
プログラム【A】
5月22日(日)14時 NHKホール
曲目:
ハイドン:交響曲第6番 ニ長調「朝」
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 作品15(ピアノ:アリス=紗良・オット)
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 作品98
■曲目変更のお知らせ
5月22日(日)14時 NHKホール公演(Aプロ)におきまして、当初発表された曲目のうち、
一部変更になりましたので、お知らせいたします。予めご了承くださいますようお願いいたします。
5月22日(日) 14時開演 NHKホール<Aプロ>
(ピアノ: アリス=紗良・オット)
変更前: モーツァルト: ピアノ協奏曲第9番変ホ長調「ジュノム」K.271
↓
変更後: ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 作品15
発売日 2015年12月12日(土)午前10時
お問合せ:スペース03-3234-9999
主催:テレビ朝日/イープラス
佐渡裕オフィシャルファンサイトでは、どこよりも早く先行発売を実施。
良席、佐渡裕や本公演の最新情報が入手できる。
http://yutaka-sado.meetsfan.jp/
※オフィシャルファンサイトへのメール会員登録は無料。
※購入には別途イープラスの会員登録が必要(無料)※未就学児童のご入場不可。
※やむを得ない事情により、出演者、曲目などが変更になる場合あり。
音楽監督就任記念 日本ツアー2016 佐渡裕指揮 トーンキュンストラー管弦楽団
Yutaka Sado & Tonkunstler-Orchester Japan Tour 2016
<公演日程・会場>
5/13(金)19:00 福井県立音楽堂ハーモニーホールふくい【A】
5/14(土)16:00 オーバード・ホール(富山県)【B】
5/15(日)15:00 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館【B】
5/17(火)19:00 長岡市立劇場(新潟県)【A】
5/18(水)19:00 足利市民会館(栃木県)【A】
5/19(木)18:45 愛知県芸術劇場コンサートホール【B】
5/21(土)14:00 ミューザ川崎シンフォニーホール【B】
5/22(日)14:00 NHKホール【A】
5/23(月)19:00 サントリーホール【B】
5/25(水)19:00 アクトシティ浜松 大ホール【A】
5/26(木)18:45 愛知県芸術劇場コンサートホール A】
5/27(金)19:00 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 大ホール【A】
5/28(土)14:00 フェスティバルホール(大阪府)【B】
5/29(日)14:00 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール【A】
<出演>
指揮:佐渡裕 演奏:トーンキュンストラー管弦楽団
ピアノ:アリス=紗良・オット(プログラムA)ヴァイオリン:レイ・チェン(プログラムB)
<プログラム>
【A】
ハイドン:交響曲第6番 ニ長調 「朝」
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 作品15(ピアノ:アリス=紗良・オット)
ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 作品98
【B】
ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61(ヴァイオリン:レイ・チェン)
R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」 作品40
※出演者、曲目は都合により変更になる場合あり。
※一部イープラスで扱いがない公演あり。