『チームラボ かみさまがすまう森』、九州・武雄の御船山楽園で今年も開催 大庭園がデジタルアート空間に
夏桜と夏もみじの呼応する森 / Resonating Forest - Cherry Blossoms and Maple teamLab, 2017, Interactive Digitized Nature, Sound: Hideaki Takahashi
チームラボが毎年夏、御船山楽園(九州・武雄)で開催しているアート展『チームラボ かみさまがすまう森』が、今年も2018年7月20日~10月28日の期間に開催される。
昨年は、世界最大のアート・デザイン・建築のデジタルメディアdesignboom(デザインブーム)で、「2017年のアートインスタレーション(TOP 10 art installations of 2017)」の世界1位に選ばれた他、CNNなど、世界中のメディアに多く取り上げられた本展。
『チームラボ かみさまがすまう森』が開催される御船山楽園は、九州・武雄に1845年に開園した、国登録記念物の名勝地。今年の『チームラボ かみさまがすまう森』では、50万平米の大庭園内に「自然が自然のままアートになる」プロジェクトの新作や、「呼応するランプの森」などが加わり、全18作品を展示予定。大庭園が、人々の存在によって変化するデジタルアート空間になる。
展覧会コンセプトは、「連続する生命の形」
小舟と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング / Drawing on the Water Surface Created by the Dance of Koi and Boats - Mifuneyama Rakuen Pond teamLab, 2015, Interactive Digitized Nature, 13min 24sec, Sound: Hideaki Takahashi
今から172年前、1845年(江戸後期)に50万平米にも及ぶ敷地に創られた御船山楽園。敷地の境界線上には、日本の巨木7位、樹齢3000年以上の武雄神社の神木である大楠があり、庭園の中心には樹齢300年の大楠がある。そのことからわかるように、御船山を中心とした素晴らしい森の一部を、森の木々を生かしながら造った庭園であることが想像できる。庭園と自然の森との境界線は極めて曖昧で、回遊していく中で森を通ったり、けもの道に出くわしたりする。森には、素晴らしい自然の巨石に囲まれた稲荷大明神がまつられ、洞窟には、名僧行基が約1300年前に岩壁に直接彫ったと伝えられる仏や五百羅漢がある。
呼応するランプの森 / Forest of Resonating Lamps teamLab, 2016, Interactive Installation, Murano Glass, LED, Endless, Sound: Hideaki Takahashi
そう、何百万年もの時間の中で形作られた森や巨石や洞窟、そしてそこに千年以上もの時間をかけて人々が意味を見出してきた上に御船山楽園はあるのだろう。そして、今なお続く自然と人との営みが、庭園と森の境界が曖昧な、この居心地の良く美しい文化的遺産を生んでいるのだ。
生命は連続する光 - ツツジ谷 / Life is Continuous Light - Azalea Valley teamLab, 2017, Interactive Digitized Nature, Sound: Hideaki Takahashi
そして、庭園と森との境界の曖昧な場で道を失ってさまよった時に、長い自然と人との営みの、境界のない連続性の上に自分の存在があることを少し感じた。だからこの広大な庭園と森の中で迷い込んで行くような展覧会をやりたいと思ったのだ。
増殖する生命の巨石 / Ever Blossoming Life Rock teamLab, 2017, Digitized Nature, Sound: Hideaki Takahashi
チームラボは、「Digitized Nature」というアートプロジェクトを行っている。非物質的であるデジタルアートによって「自然が自然のままアートになる」というプロジェクトだ。
自分という存在は、何十億年という圧倒的な時間の長さの、永遠に繰り返されてきた生命の生と死の連続性の上にある。しかし、日常では、なかなかそれを知覚することが難しい。
かみさまの御前なる岩に憑依する滝 / Universe of Water Particles on a Sacred Rock teamLab, 2017, Digitized Nature, Sound: Hideaki Takahashi
森を探索していた時、圧倒的長い年月をかけて形作られた巨石や洞窟、そして森そのものの造形こそが、長い時間の生命の連続性を表す形そのものであると気が付いたのだ。今回は、それらを生かし、デジタルアートによって、連続する生命の塊を創った。