東京国立博物館の「博物館でアジアの旅」、今年のテーマはインドネシア 『海の道 ジャランジャラン』が開催
東京国立博物館にて、東洋館の作品を紹介する「博物館でアジアの旅」『海の道 ジャランジャラン』が、2018年9月4日(火)~9月30日(日)まで開催される。
2014年からはじまった「博物館でアジアの旅」は、アジアの文化財を様々な切り口で紹介する企画だ。今年のテーマとなるインドネシアは、赤道にまたがる1万以上の島々からなる国。古来、人と物の盛んな往来があり、インドや中国をはじめとする各地に起源をもつ文化と土着の文化とが融合して、活力に満ちた独自の文化を育んできた。
東洋館12・13室では各地との活発な交流によって栄えた多様なインドネシアの作品を紹介する。「ジャランジャラン」とは、インドネシア語で「散歩」のこと。「博物館でアジアの旅」で、東洋の美と多様性を堪能してみてはいかがだろう。
主な展示作品
特集「岡野繁蔵コレクションーインドネシア由来の染織と陶磁器」
岡野繁蔵は大正3年(1914)にスマトラに渡り、大正8年(1919)に貿易商社・大信洋行を設立、昭和8年(1933)以降、ジャワ島の各地に千代田百貨店を開店するなど、スマトラ島、ジャワ島を拠点とした実業家だ。その傍らインドネシアで陶磁器・染織を中心に作品を蒐集した。本特集では、岡野コレクションのなかから、スマトラ島やジャワ島などのバティック、イカットなどの染織と、東南アジア製の陶磁を紹介する。
カイン・パンジャン(腰衣)白地唐草花禽獣文様バティック インドネシア、ジャワ島北岸、プカロガン 20世紀前半 (展示期間:9月4日~11月4日)
赤と青を基調とした華やかな色使いで、様々な海と陸の生き物をデザイン。腰に巻いてスカートとして着用する。
白磁鳳首瓶 中国 北宋時代・11世紀 (展示期間:9月4日~12月25日)
中国南部の広東地方で焼かれ、東南アジアへもたらされた白磁。鋭くはっきりと刻まれた鳳凰の顔が印象的だ。
「東南アジアの金銅像」
独自の美術様式が花開いたインドシナ半島やインドネシアの金銅像を中心に展示する。
ジャムバラあるいはクベーラ坐像 インドネシア、 中部ジャワ時代・8~9世紀 (展示期間:9月4日~12月25日)
ヒンドゥー教でも仏教でも信仰された福徳の神。太鼓腹に、財宝を吐き出すマングースを手にするのが特徴。
「インド・東南アジアの考古」
古来、東南アジアでは青銅製の楽器によるまつりが行われてきた。まつりの中核をなす楽器、銅鼓を展示する。
銅鼓 インドネシア東部出土 初期金属器時代・6~12世紀 (展示期間:9月4日~12月25日)
銅鼓の文化は海をわたり島から島へ。そしてアロール島へと伝わって、モコと呼ばれる細身のドラムになった。
特集「ワヤンーインドネシアの人形芝居ー」
ワヤンとは、約千年前に始まり現在も盛んに上演される伝統芸能。影絵人形を用いるワヤン・クリと木彫りの人形を用いるワヤン・ゴレがある。この特集では、様々なキャラクターをとりあげ、地域による人形のちがいを紹介する。
ワヤン・ゴレ ウマルモヨ インドネシア、中部ジャワ 20世紀 田枝豪氏寄贈 (展示期間:9月4日~12月25日)
木彫りの人形ワヤン・ゴレ。イスラーム教に基づく『アミル・ハムザ物語』で活躍する将軍ウマルモヨを表している。
ワヤン・クリ ブトロ・グル インドネシア、中部ジャワ 20世紀後半 松本亮氏寄贈 (展示期間:9月4日~12月25日)
水牛の革に細かい透かしと鮮やかな彩色を施す。ブトロ・グルはヒンドゥー教の最高神シヴァに当たる。
「インドネシアの染織」
特集「岡野繁蔵コレクション」にあわせて、岡野旧蔵のインドネシア染織を、スマトラ島、ジャワ島、その他の島々の3つのテーマに分けて展示する。
チョッキ 紫地縞文様浮紋織 インドネシア、 スマトラ島 20世紀 (展示期間:9月4日~9月30日)
キラキラと輝く金糸で文様を織り入れたスマトラ島特有の織物でできた衣装。細身の男性が着用した晴れ着。
「クリスー神秘なるインドネシアの武器ー」
神秘的な霊力が宿すとされるクリス(鉄剣)と槍を、地域ごとに展示する。
クリス インドネシア、ジャワ島東部 17~18世紀 J.C.ベイレフェルト氏寄贈 (展示期間:7月18日~10月14日)
クリスは神秘的な霊力をもつと考えられている。現代のインドネシアでも、男性が正装をする際に腰帯に挿す。
ワヤン・クリ上演の様子
ロウケツ染の様子
他にも、ユネスコの無形文化遺産に登録されたインドネシアの影絵芝居「ワヤン・クリ」の上演など、イベントも多数開催される。詳細は公式サイトをチェックしよう。