【RUSH BALL 2018 クイックレポ】ユアネス 『RUSH BALL』初出演で見事に描いた始まりのドラマ

RUSH BALL 2018【ATMC】　ユアネス

風そよぐATMCに少女のナレーションが溶け込む「雨の通り道」から、その物語は始まった。優しく覆い包むようなメランコリーなギターが鳴り響く「虹の形」でも、黒川（Vo/Gt）の透き通る歌声が晴天の泉大津フェニックスにどこまでも広がり吸い込まれていく。イントロから静かなる衝動を躍動に変えた「あの子が横に座る」では、きめ細やかな感情のひだを撫でるようなフレーズが丹念にメロディに編み込まれていくよう。

MCでは、「『RUSH BALL』、出られてめちゃめちゃ嬉しいです。この夏、我々ユアネスはいろいろとイベントに出させてもらったんですけど、『RUSH BALL』が最後です。昨日は窓の外の月を見ながら、ノスタルジックな気持ちになりました」(黒川、以下同)と、時折、人懐っこい福岡弁を交えながら場を和ませ、そのまま「Bathroom」へ。この曲の歌詞に《欠けた月を見てた》という一節があるのもまるでMCの伏線を回収しているかのようで、ライブ＝ドラマなユアネスの魅力が存分に発揮されていく。強烈な暑さを忘れさせるような切ないストーリーにオーディエンスを誘いつつ、「最後の曲です。ありがとうございました、ユアネスでした」と、ラストは「pop」を披露。

ライブハウスだろうが、野外だろうが、楽曲の世界に心地よく引きずり込むユアネスのライブは、初出演となった『RUSH BALL』でも見事に機能。今後が楽しみな新星が、ATMCのトップバッターとして『RUSH BALL』の歴史に新たに名を刻んだ。
 

文＝奥“ボウイ”昌史　撮影＝森好弘

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