平均年齢16歳!驚異のメタルインスト3ピースバンドASTERISMを知っているか?
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平均年齢16歳!驚異のメタルインスト3ピースバンドASTERISMが日本のラウドミュージックに切り込んできた。その見た目からは考えられないテクニックと、その年からは考えられない音楽のバックボーンを持ち、クリエイティビティもパフォーマンスもこの年では他に類をみないクオリティの3人組に、1st full albumとなる「IGNITION」のリリースと彼らについて直撃した。
――平均年齢16歳ということで、ここまで上手くてステージングができるのかとびっくりしました。若い子でも上手い人は増えてきていますが、パフォーマンスがすごく格好良かったです。もともと音楽を好きになったきっかけ、どのあたりから聴き始めたんですか。
HAL-CA:親が音楽好きで、常にオジー・オズボーンとか、家や車の中で流れていました。そういう環境で育ったのが一番大きいと思います。
――趣味の良いご両親で。小さい頃から「ブリザード・オブ・オズ」を聴いていたと。
HAL-CA:そうですね。
――それはよくないですねー(笑)。小さい頃にランディー・ローズ聴いちゃだめだね。僕らみたいな人生になっちゃいますよ。
一同:(笑)。
――ふたりはどんなところから。
MIO:やっぱり親が。もちろんオジー・オズボーンも流れていたんですけど。ヴァン・ヘイレンとかも全時代のものをきいてましたね。一番好きなのはデイヴィッド・リー・ロスと言いたいところなんですけど、サミー・ヘイガーの曲も結構好きなんです。
MIYU:僕も二人と一緒の部分が多いですが、やはりMR.BIGですね。ベースを始めるきっかけになりました。ビリー・シーンにはとても影響受けてますね。
――メタルインストバンドということになっていますが、3人が出会ったというか、この3人でASTERISMを結成しようと思ったのはどういうきっかけだったんでしょう。
HAL-CA:もともと別々で、私はソロでやっていて、MIOとMIYUは兄弟ふたりだけでやってたんです。それで別々にヤマハの音楽コンテストに出てきていたのがきっかけですね。見つけてくれたスタッフさんがこの二組を合わせたら面白いことになるんじゃないか、ということで会わせてもらいました。
――会った時はどうだったの、お互いのプレイを見たりとかして。
MIO:DVDを見せてもらったんですけど、やるじゃんと。
MIYU:最初、知らない頃は、俺たちと同じ歳で同じレベルのやついるのかなー、とかとても偉そうなことを思っていたんですが(笑)。でも実際HAL-CAを見たらすごいなと思いましたし、一緒に演りたいなと思いましたね。
HAL-CA:私は本当に頑張らないとやばいなと思いました。すごい二人ともテクニックあるし、私が想像してる以上に、という言い方だとあれですけど、すごいなとおもった。本当にバンドとしてやるとなったら、もっと頑張らないといけないなと。
――謙虚なHAL-CAさんとイケイケな二人という感じだったんですか。
MIYU:そういうわけでもないんですよ。最初会った時は、お互いに緊張しまくって一切喋らなかったんです。シャイなので。最近になって喋り始めたというか。
HAL-CA:そうですね。
MIO:音楽のこと以外はあまり喋らなかったです(笑)。
HAL-CA:最近は全然問題ないんですけどね。
――音楽の話をしたりとか。趣味は似てるんですか。
MIO:離れてはいないですね。
HAL-CA:共通してるところもあれば、それぞれの範囲も。
――共通してるのはどのへん。
MIYU:オジー・オズボーン?
一同:(笑)。
何かに向かって戦っている人やこれから戦いに向かう人を奮い立たせるような音楽
5 TRACKS ALBUM 「The Session Vol.1」
5 TRACKS ALBUM 「The Session Vol.2」
――やっぱりオジーなんだ、偉大ですねー(笑)。そんなASTERISMは1stフルアルバム「IGNITION」をリリースしますが、その前に前作「5 TRACKS ALBUM「The Session Vol.1、Vol.2」のことも聞きたいんですが、前作、前々作の、カバー曲を沢山盛り込んだEPはどのように作ったんでしょう。
HAL-CA:ボリューム1ボリューム2と出してきたんですけど、その中のカバー曲とかは結構共通して好きなものをやりました。まず自分たちの好きなバンドさんの曲を集めて、インストアレンジしたら面白そうだと思う曲をスタッフさんと一緒に選んでいく感じでした。
――結構面白いバラバラな選曲で、1と2でまた色が違ってますね。1はHR/HMのポピュラーなカバー曲のところで、2枚目はわりとラップコアもあるしプログレもある感じで。1枚目と2枚目を分けようというのはありましたか。
MIYU:1枚目は結構王道のやつで、そういう路線を行って。
――オジー入ってますしね。あとはやはりRUSHの「YYZ」、シンセのところギターでやってるでしょう、あれはとてもよかったです。
HAL-CA:はい。結構凝って作りました。
MIO:制作チームでいろんな曲を出し合ってやった中で、ひと通り出た曲をデモをやるんですけど、その中で格好良かったというものが採用されていく感じだったので。
――そして、バンドの「バトルミュージック」というコンセプトがありますが、これはどういう意図があるんでしょう。
HAL-CA:ASTERISMの3人がそれぞれ音とかテクニックをぶつけあって、それぞれのバトル心みたいなものを燃やして演奏する、というのはもちろんなんですけど、聴いてくれた人に対しても、何かに向かって戦っている人やこれから戦いに向かう人を奮い立たせるような音楽を目指してます。そして何か一歩を踏み出す勇気になるような、そんな音楽を作りたいという思いを込めてこのバトルミュージックというのをコンセプトにしています。
――それぞれ曲によってまた違う戦い方というか、バトルみたいなものを意識しているのかなと。
MIYU:そうですね。一曲一曲コンセプトというかテーマを決めてやっているので、思い切りテクニックをぶつける曲もあるんですけど、3人が熱い想いを持って演奏する曲もありますし。
――自分のパートごとによっても出し方が違いますよね。それがベース的には結構戦っているなと思って。
MIYU:めっちゃ戦ってると思います、ぶつけてますね。
――曲はどういうふうに作っていますか。
HAL-CA:曲によってなんですけど、だいたいひとりがまる一曲作ったものをデータとかで送って、それをスタジオで合わせるみたいな作り方です。
MIO:皆作るんですけど、曲数だったらHAL-CAが多いですかね。
――楽曲の話でいくと、インストにこだわる理由ってあったりしますか。
HAL-CA:単純に楽器だけで勝負したい、また新しい音楽を作りたいということですかね。
MIO:歌詞がないぶん国を超えられるのもありますし、色々なボーカリストの方とコラボとかもできるかなと。
メッセージとか想いを曲にして届けたいからオリジナルをたくさん作った
――クリエイターでありながらプレイヤーであることが強いのかもしれませんね。そしていよいよ1stフルアルバムがリリースということで、「IGNITION」というタイトルはどんな意味がありますか。
HAL-CA:「IGNITION」は「点火・燃焼」という意味があるんですけど、やはり聴いてくれた人を熱くするような、ハートとか魂に火を付けるようなアルバムにしたいという意味を込めて、「IGNITION」です。
――メタルっぽい。Tシャツもメタルっぽい。めっちゃ格好良いですよね。HAL-CAさんも今日はKREATORのTシャツという。
HAL-CA:ありがとうございます。このまえはエクソダスのTシャツ着てました。手垂れてるやつありますよね。あれのプリントのしたやつを着ました。あの写真撮る時にデザインの人の顔にピントがいくんですよ(笑)。
EXSODUSのTシャツを着るHAL-CA
――メタルTシャツにはありがちですね(笑)。そして前回はほとんどカバーで、1枚につき1,2曲のオリジナルが入っていましたが、今回は大幅にオリジナル曲で勝負しています。オリジナルでいこうという思いがあったんでしょうか。
HAL-CA:自分たちの作る音楽を聴いて、もちろんカバーを自分たちなりにアレンジして届けるというのも、好きだしアリなんですけど、ASTERISMとして私たち3人が聴いてくれる人に、メッセージとか想いを曲にして届けたいからオリジナルをたくさん作ったという感じですね。
――この曲の中だと今回すごい取り組みをしていますが、1曲目の「BLAZE」と4曲目の「Warning」はBootsy Collins(ブーツィー・コリンズ)のプロデュースですが、これはどんな経緯で。
HAL-CA:Bootsy Collinsさんがどこかしらで私たちの動画を見つけてくださって。その動画をご自身のFacebookでシェアしてくださったのがきっかけです。それから今回のアルバムに参加をお願いしたという感じです。
――彼がこれを良いというのも意外というか。こういうアルバムでプロデュースをするのも意外でした。
MIO:結構ハードロックとか激しいものもプロデュースされているというのを聞いていたので、お願いしました。
――今回もカバーが入っていますが、DIOとTHE BEATLESはどんなことで選んだんでしょう。
HAL-CA:DIOは今まで通りの選び方という感じなんですけど、「Helter Skelter」は、私たち毎月ハードロックカフェ福岡でライブしていて、その中でお客さんみんなが知ってるような曲で盛り上がれる曲をやってみようとなった時に、案として挙がったのがこの曲でした。実際やってみたらお客さんの反応がすごくよかったので、今回のアルバムにもそのまま入れることにしました。
――みんなももともと知っていた。
MIYU:色々な方がカバーもされているし、THE BEATLESの元の曲も知っていました。
――カバーする時に何か意識したことはありますか?
HAL-CA:歌メロを私は弾くわけですけど、ギターソロとかは本物のギターソロをリスペクトしつつも自分の色を出すというので、ちょっと変えさせてもらったところはあります。また原曲はもともと知っていたけど更にやることが決まって聴き込んだので、自然と歌メロを表現するのに、DIOの癖的なものやニュアンスが出たのかなと思います。
――DIOの歌のクセがギターの手癖にちょっと似ている感じになっていて、それが格好良いなと。そういうメタルファンに突き刺さるところが色々あるなと。3人がそれぞれ気に入っている曲はありますか。全部でしょうが。
MIO:ドラムで強いて挙げるなら「DAWN」かな。
――ドラマーとしてリスペクトしている人はいますか。
MIO:始めたきっかけがコージー・パウエルで、結構影響を受けているのがサイモン・フィリップスです。音を聴いたらその人とわかる音を出している人がすきです。またマイク・ポートノイとかも好きなので、タイム感などは課題にしてます。あの正確無比な感じが好きです。
――10代後半となるとライブではショット感とかパワー感ってどうなのかなと、気にされたりするのかなと。
MIO:筋トレしろ、とはよく言われてるんですけど。そこはスナップとかで補ったりできてるんじゃないかなと。でも最近ちょっとパワーが上がってきたと周りから言われます。
MIYU:上がってると思います。結構パワフルに前より、それはすごく良いと思います。
――なるほど。そして次は曲について聞きたいのですが、さっきちょっと話に出た、曲ごとにどんなバトルをテーマにしているのかということで、「Warning」はどんな感じでしたか。
MIO:警告という意味なので、聴いている人にこのままでいいのか、現状に満足してないか、言いたいことが言えずにそのままでいいのかというような、そういう現状に危機感を持てという警告をするような意味で、前に進もうという曲です。
――では「DAWN」はどんなイメージですか。
HAL-CA:Aメロとかのオリエンタルな雰囲気って、今回のアルバムでそういう曲がないと思ったんです、ちょっと怪しい雰囲気の音とかをする曲が。だからそれをやりたかったというのと、「DAWN」って夜明けって意味なんですけど、どんなに長くて暗い夜だったとしても必ず夜明けは来る、その時に希望が見える、というメッセージを構築していった曲です。なので最初はちょっとマイナーな怪しい感じから入って、サビが最後に出てくる展開では夜明けというイメージを。
――インストにあるべきストーリー性がありますね。あとの「OVERDRIVE」のMIYUさんのベースフレーズが気になってるんですが。
MIYU:「OVERDRIVE」は初期からの曲で、最初もともとふたりでやっていたんです。あの頃はとにかくフレーズで暴れていたので。これは3人のテクニックのぶつけあいというか、3人でバトルしているという感じが強いとおもいます。
――逆に「God Speed You!」はどういうイメージでした?
HAL-CA:「God Speed You!」って、あなたに幸運がありますように、という意味なんですよ。基本的にバトルという線はアルバムにあるんで、サビは結構明るいながらも、背中を強く押されるような、負けるな、というようなイメージがあります。
――ゲーム音楽的なバトルが思い浮かんで、これをバックに戦いたいような。まくしたてられる感じがあってよかったです。あと最後の「Disperse」も非常に良いですね。和風で切なさとか日本人の琴線に触れるようなフレーズになっています。
MIO:これはもともと作家さんに提供してもらっているんですけど、僕たちASTERISMがやるなら、ということでやはり激しい部分じゃないですけど、強い部分が必要かなと思ったので、和の世界観というものも入れようと。
HAL-CA:Dispereseって散らすって意味なんです。そして私たちのバンド名ASTERISMは星群という意味で、ASTERISMという輝く星の集合体から放たれた「音」や「想い」一つ一つがこのアルバムを聴いてくれた人一人ひとりに届いてほしい、という意味が込められてます。だからアルバムの最後の曲にしたというのもあるんですけど。
歪ませた時にコードの一音一音が聴こえてくる音だとか
――3人が音楽に出会って変わったから、人に音楽で変わってもらいたい、届けたいと思うのかなと。
HAL-CA:そうですね。
――他のことをやってたかもしれないと今思ったりしないですか?それ以外の人生の選択はなかったと思う?
MIYU:あんまり想像つかない(笑)。
一同:(笑)。
――ナチュラル・ボーンですねー。あとは機材やギターでもこだわっているのかなと。例えばMIYUさんは七弦弾いていたり。でも今回の「BLAZE」では四弦を弾いていたりしますが、それってこだわりがあったりするのかな。
MIYU:結構こだわってるところはあるんですけど、七弦四弦の選択は曲によってというか、曲の雰囲気とかそういうのを感じ取って、これはちょっと高音弦使ったら絶対格好良くなるな、みたいな感じで七弦ベースの高音とか使ってみたりとかしてます。あとは七弦は結構ネックが太いので、四弦のほうが暴れやすいんです。なので「OVERDRIVE」とかも四弦使って暴れてます、アームもついてるので。アームがついてるというのは結構でかいですね。さすがにまだ七弦にはついてないので。
――七弦ベース弾いてる人もなかなかいないので。いつから弾いてましたか。
MIYU:七弦は二年前ぐらいからかな。それまでは四弦で、最近になって五弦とかも弾いてみましたけど、七弦のほうが好きだったんですよね、五絃ベースより。
――HAL-CAさんはギターのチョイスが、この音楽にしてはストラトタイプというのが意外でしたが、こだわりがあったり。
HAL-CA:ヤマハのパシフィカ使ってるんですけど、ピックアップとか結構変えてカスタムしてもらっています。インストなのでメロディも弾くけどバッキングももちろん弾くので、歪ませた時にコードの一音一音が聴こえてくる音だとか、あとメロディにしてもバッキングとかリフにしても私好みの音になるように、というのは結構考えています。
――逆に足元とかアンプとかでこだわっていることは。
HAL-CA:私は基本マーシャルで。マーシャルでクリーンを作って、歪みはエフェクターのSUHRのRiotで歪ませてます。
MIO:僕はペダルはDW9000でビーターを変えてます。マルコ・ミネマンが使ってるやつなんですけど、芯の部分はプラスチックで、周りがフェルトみたいなやつで。あとスネアはふたつ付けて、メインでDWを使っていて、もうひとつは13インチの小さめのやつをつかっています。
――ここから先目指す場所、具体的に目指す場所はあったりしますか。
HAL-CA:具体的な所では、まずはやっぱりワンマンライブを成功させたいなと。そして最終的には私はワールドツアーですね。ASTERISMでワールドツアーをやりたい。
MIYU:あまり具体的なことを考えるのは得意じゃないんですけど、やっぱり小さい頃から世界的なベーシストになるのが夢で、今まで頑張ってきたので、ASTERISMで世界を周って最高の人生を送りたい。
MIO:今福岡のハードロックカフェで毎月ライブをしていて、その様子をFacebookで生配信しているんですけど、海外の人たちからのリアクションがすごく多いので、外国のハードロックカフェとかでやっていって、外国の方の反応をいただいてどんどん大きいところでやっていけるようになりたいなと思います。
取材・文=秤谷建一郎