展覧会『エキゾティック×モダン アール・デコと異境への眼差し』が、東京都庭園美術館で開催

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2018.9.21
ルイ・ブーケ《ブラック・アフリカ》1931年、Ville de Boulogne-Billancourt, Musée des Années 30  (C) Musées de la Ville de Boulogne-Billancourt Photo : Philippe Fuzeau

ルイ・ブーケ《ブラック・アフリカ》1931年、Ville de Boulogne-Billancourt, Musée des Années 30 (C) Musées de la Ville de Boulogne-Billancourt Photo : Philippe Fuzeau

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展覧会『エキゾティック×モダン アール・デコと異境への眼差し』が、2018年10月6日(土)〜2019年1月14日(月・祝)まで、東京都庭園美術館で開催される。

両大戦間期のフランスに花開いたアール・デコ。この時期に盛んとなった非ヨーロッパ圏の文化・美術との出会いは、アール・デコの美意識と造形に大きな影響を与えた。1909年の登場から、瞬く間にパリを席巻したロシア・バレエと1925年にアメリカから渡り、時代のアイコンとなったダンサー、ジョゼフィン・ベイカー、1922年のツタンカーメン王墓の発見、自動車メーカーのシトロエンが行ったアフリカ縦断プロジェクト「クロワジエール・ノワール」とアジア横断プロジェクト「クロワジエール・ジョーヌ」、そして1931年開催のパリ国際植民地博覧会など。様々なトピックが、両大戦間期のパリを賑わせた。

フランソワ・ポンポン《シロクマ》1923-33年、群馬県立館林美術館蔵

フランソワ・ポンポン《シロクマ》1923-33年、群馬県立館林美術館蔵

この時代に美術家やデザイナーたちは、遠い地のどのような造形に注目したのだろうか。いち早くその価値に目を向けたのはファッションの分野だった。パリ随一のファッション・デザイナーだったジャック・ドゥーセは、ピカソら前衛美術家たちのパトロンだったが、同時にアフリカ美術の造形にも革新的価値を見いだした。ポール・ポワレは中近東風の衣装による夜会「千二夜」を開くなど、その非日常性に着目し、色彩やスタイルの刷新につなげた。

ジャポニスム、あるいはより広くアジアへの関心は、あらたにモダニティーへの触媒として、再解釈された。そこには、建築家で、デザイナーのアイリーン・グレイや装飾美術家ジャン・デュナンらに漆を教えた菅原精造や象牙彫刻家ウジェーヌ・オキンら日本人美術家の存在もあった。

展覧会では、アフリカやアジアに取材したダイナミックな絵画、彫刻を含め、30年代美術館、装飾美術館、モビリエ・ナショナルなど、フランスの美術館所蔵の国内初公開作品を中心にした約85点を紹介する。

アール・デコの多様なイメージソースを探る、第2弾

ポール・ポワレ《ローブ》藤田真理子・ポール・ジュリアン・アレキサンダー蔵

ポール・ポワレ《ローブ》藤田真理子・ポール・ジュリアン・アレキサンダー蔵

2015年に開催した『幻想絶佳:アール・デコと古典主義』展では、朝香宮邸の内装デザインを手がけたアンリ・ラパンのスタイルを出発点に、両大戦間期のフランスにおける「伝統への回帰」の潮流、博覧会や豪華客船の内装で活躍した美術家たちを紹介することで、従来のアール・デコのイメージとは異なる視点を投じた。

本展では、アール・デコのイメージソースに着目するというアイデアを継承し、当時のフランスであらゆる分野において美意識や造形に大きな影響を与えた「エグゾティスム」をテーマとする。絵画、彫刻からファッションまで、フランスの美術館所蔵の国内初公開作品を中心にした約85点により、知られざるアール・デコの魅力を紹介する。

未知との出合い、当時のパリの熱気を感じる

ヴィクトル・デムール《1931年パリ国際植民地博覧会》1931年、×△◯ BA-TSU ART GALLERY

ヴィクトル・デムール《1931年パリ国際植民地博覧会》1931年、×△◯ BA-TSU ART GALLERY

創作のインスピレーションとなった同時代の関心や熱気はどこからきたのだろうか。アメリカからパリに渡り、魅惑的な肢体とダンスで瞬く間に時代のアイコンとなったジョゼフィン・ベイカー、1922年のツタンカーメン王墓の発見、シトロエンが主宰したアフリカとアジアふたつの横断プロジェクト、そして1931年に開催されたパリ国際植民地博覧会……。

当時のパリを大いに賑わせたこれらの“エキゾティック”なトピックは、多くの人々にとって初めて、異なる文化圏の人々や文化と出合うきっかけとなった。

EXOTIC×MODERN モダニティーへの触媒

エミール=アドルフ・モニエ《ゴンベレ》1930年頃 Centre national des arts plastiques Musée des années 30 / Espace Landowski  (C) droits réservés / CNAP / photo : Musée des années 30 / Espace Landowski/Mairie de Boulogne-Billancourt

エミール=アドルフ・モニエ《ゴンベレ》1930年頃 Centre national des arts plastiques Musée des années 30 / Espace Landowski (C) droits réservés / CNAP / photo : Musée des années 30 / Espace Landowski/Mairie de Boulogne-Billancourt

既存のイメージにとらわれない自由な造形、色彩、様々な美意識のハイブリディティには、多くのデザイナーや美術家たちが革新的な価値を見出した。その発見こそ、当時のモダニティへの触媒となったといえる。これらの表現や他者に対する同時代の人々の関心は、現代に生きる私たちの目にもまた、新鮮に映ることだろう。

イベント情報

エキゾティック×モダン アール・デコと異境への眼差し
会期:2018年10月6日(土)–2019年1月14日(月・祝)
開館時間:10:00–18:00 (入館は閉館の30分前まで)
11/23、11/24、11/30、12/1、12/7、12/8は、夜間開館のため20:00まで開館(入館は19:30まで)
休館日:第2・第4水曜日(10/10、10/24、11/14、11/28、12/12、12/26、1/9)および年末年始(12/28-1/4)
会場:東京都庭園美術館 本館+新館ギャラリー1
入館料:一般=1,200(960)円/大学生(専修・各種専門学校含む)=960(760)円
中・高校生=600(480)円/65歳以上=600(480)円
※( )内は前売りおよび20名以上の団体料金
 
【関連プログラム】
2018年10月20日(土)14:00- 講演会
登壇者:ドミニク・ジャラセ(美術史家、ミシェル・ド・モンテーニュ=
ボルドー第3大学教授)
会場:ギャラリー2 定員:120名
仏語・逐次通訳あり

2018年11月3日(土)14:00- トーク
登壇者:フローラン・ダバディー(スポーツ&文化ジャーナリスト)
会場:ギャラリー2 定員:120名
 
2018年11月10日(土)講演会
登壇者:天野知香(お茶の水女子大学教授 西洋美術史)
会場:ギャラリー2 定員:120名
ギャラリートーク
当館インターンによるギャラリートーク
 
2018 年11月9日(金)、11月19日(月)、12月7日(金)
15:00 -
無料・事前予約不要
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