森山良子「70歳という年齢を迎え、いちばん最高の状態で最高の歌唱をお届けするのが私の日々のお約束」

なんでこんなに清々しさに溢れているのか、と、森山良子の最新アルバム『Ryoko ClassicsⅡ』を聴きながら不思議に思う。

あまりに麗しい歌声に溢れていて、彼女のなかに棲んでいる天使がいつもより活発に動き回っているような印象すら湧いてくる。ひとつには新しいことにチャレンジする喜び、高いハードルを設定することの楽しさを噛みしめている点だ。

「今回オペラにチャレンジしたんです。いままでに出したことのない音域を出すことに向き合ってみて好きだってことと実際にやってみることはこんなに違うものだと痛感しました。でも引き出しが増えたということでは得したなと思うんです」と彼女。

ここには良子さんが心から歌いたい!という気持ちで選んだという楽曲が並んでいる。“乾杯の歌”といったオペラ歌曲やアメリカ音楽の父であるスティーヴン・フォスターの名曲など彼女が聴き慣れた曲であるが、それらを確実に自身のものにするのだと果敢な取り組みを繰り返した結果、素晴らしい成果を生み出している。そういった苦労の甲斐あってか、いつもに増して彼女の笑顔が大きく浮かぶアルバムでもある。

「やり続けている限りは少しでも伸びしろを埋めていきたいと思っているんです。それはライブも同じで、70歳という年齢を迎えたいま、いちばん最高の状態でいちばん最高の歌唱を皆さんにお届けするのが私の日々のお約束になっていますから」

今年も精力的にツアーを行っている良子さんだが、2019年1月16日（水）には恒例のBunkamuraオーチャードホールが控えている。今回はいったいどんなライブになるのだろう?

「デビュー当時の歌から時代を彩ったヒット曲、今まであまり採り上げてこなかったレパートリー、そしてクラシックの曲などいろいろと取り混ぜた多彩な内容になります。懐かしいと思えるところもあり、新しい発見もありといろんな面を楽しんでいただけるではないかと。私自身も楽しめるライブになるに違いないと待ち遠しく感じています」

取材・文＝桑原シロー