平成中村座『十一月大歌舞伎』七之助は「熱い1カ月勤める所存」 一番太鼓を響かせ浅草で開幕!

レポート
舞台
2018.11.1
平成中村座『十一月大歌舞伎』中村七之助

平成中村座『十一月大歌舞伎』中村七之助

画像を全て表示(12件)

平成中村座『十一月大歌舞伎』が、本日1日に初日を迎えた。台東区浅草寺の本堂裏に設えられた仮設劇場では、開場初日の儀式として「一番太鼓」が行われ、中村七之助と田中傳次郎が登場した。

(左から)田中傳次郎、中村七之助

(左から)田中傳次郎、中村七之助

清々しい空のもとに幟が立ち並び、入口の上には櫓が上がる。黒、白、柿の幕に、中村屋のちょうちん。一番太鼓がはじまる直前の束の間、雲の一部に虹がかかり、開場を待つお客さんが一斉に空を見上げ、自然と拍手が沸き起こる一幕も。

「一番太鼓」は、1624(寛永元)年に初世田中傳左衛門がはじめたものとされ、もともとは十一月に行われた顔見世興行の初日未明に、のちに、興行のある日の夜明け前に、うたれるようになったのだそう。平成中村座では、その立ち上げの際に、十八世勘三郎と当代田中伝左衛門によって、古式にのっとり「一番太鼓」を復活させた。

「ばち渡しの儀」では、七之助より傳次郎へ長バチが手渡された。傳次郎はそのバチで空を切るような仕草をすると、まずは太鼓の縁をうつ。傳次郎はカラカラと軽快なリズムを刻んだ後に、大きな音で一体の空気を振動させた。厳かな心持は、威勢の良い太鼓の音は、これから始まる興行への期待感をさらに盛り上げた。

「一番太鼓」の後、「中村屋!」の声がかかるなか、七之助が開幕に向けて挨拶をした。

「(京都南座の新開場にあたり)西の南座でも一番太鼓をうっているとのことです。西と東で一番太鼓というのは、史上初かもしれません。そのおめでたい日に、平成中村座初日を迎えることができました」

関係者への感謝の念を述べたのち、話題は、本興行が、十八世中村勘三郎七回忌追善であることへ。

「父もこんなにはやく、中村座で自分の追善興行が執り行われるとは思ってもいなかったでしょう。"向こう"でビックリしつつも、悔しがっているはずです」

「今回は孫である勘太郎と長三郎が奮闘しますので、父は『自分が出るはずだった』と強く思っていることと思います。その悔しさを消化できるよう、息子、孫、扇雀のお兄様、芝翫のおじ、そして後輩たちの協力のもと、1カ月間熱い熱い舞台を勤める所存です」

入口前には、来場者が名前を書き残せるボードが設置されていた。

入口前には、来場者が名前を書き残せるボードが設置されていた。

さらに平成中村座の魅力として、お弁当屋や、職人さんが店を構える五軒長屋も紹介。七之助の友人であるというバーも出店しているという。

「中村座を充分に楽しんでいただき、また劇場の中では、熱い舞台を楽しんでいただき、千穐楽まで熱いご声援のほど、一重によろしくお願いいたします」

昼の部は『実盛物語』、『近江のお兼』、『狐狸狐狸ばなし』。夜の部は『弥栄芝居賑』、『舞鶴五條橋』、『仮名手本忠臣蔵』「七段目」を上演する。平成中村座『十一月大歌舞伎』は、11月1日(木)より11月26日(月)まで。

平成最後の秋の浅草で、平成中村座が再現する江戸の芝居小屋の風情を楽しんでほしい。

ドリンク名にも、遊び心を感じさせる。

ドリンク名にも、遊び心を感じさせる。


公演情報

平成中村座『十一月大歌舞伎』十八世中村勘三郎七回忌追善
 
■会場:平成中村座(東京・浅草寺境内。本堂裏手)
■日程:2018年11月1日(木)~26日(月)
■出演:中村勘九郎/中村七之助/中村扇雀/中村芝翫 ほか

■演目:
昼の部(11時~)
一、『実盛物語』
二、『近江のお兼』
三、『狐狸狐狸ばなし』
夜の部(16時~)
一、『弥栄芝居賑』
二、『舞鶴五條橋』
三、『仮名手本忠臣蔵』「七段目」
 
※劇場内にクローク、コインロッカーはありません。
※劇場内では履き物をお脱ぎいただきます。座布団等のお持込みはご遠慮ください。
 
シェア / 保存先を選択