片平里菜 「誤解のないように自分が表現していかなきゃいけない」ーー覚悟を決め進み出した彼女の想いとは
片平里菜 撮影=森好弘
片平里菜にとって2018年は変化の年になった。2013年8月シングル「夏の夜」でメジャーデビューし、5周年を迎えた彼女は自分自身と向き合っていたーー。そして彼女の出した答えはデビューから所属していた事務所を離れ、個人事務所「BUCHI.」を設立し、自分の足で前へと進もうとしていた。彼女が何を想い、感じていたのかーー何かが終わる時、何かは始まる。今の彼女は覚悟を決め、最高にカッコよく、愛に溢れている。今回のインタビューでは心境の変化、これからの展望を語ってもらった。
片平里菜 撮影=森好弘
ーー前回のインタビューからちょうど1年が経ちました。いろんな状況が変わりましたね。
早いですよね。前回のインタビュー具体的に答えられてなかったですよね。言えないことが多すぎた時期で……。もう本当に霧の中にいるような、何が原因でこういう気持ちになって楽しくなくなって、うまくいってないのかというのも分からない状態でした。それが一体何なのかというのを探る時期だった気がしますね。その頃は。
ーー自分自身と向き合ってた時期でもあったんですね。
ひとつひとつ向き合って分かってきて、ちょっとずつ明快になっていきましたね。去年の前半はすごくもがいていろいろ戦って、まずは自分がこのままじゃいけないと思って、環境も変えないと甘えきってしまうし。気持ちが入らない状況が続いてやっていく中で、成長できた感じはあります。
ーーそんな中でもライブはコンスタントにされてましたよね。ライブに対するモチベーションなどはいかがでしたか。
ライブ自体は私が大事にしているものでした。ただ、一昨年はやる意味を自分で見出せてなかったんですよね。ライブに対してとか。なんでこのライブに出て、誰に向かって歌うのかというところに、自分が向き合えていなかったんですよね。だから迷いみたいなものも、もしかしたらわかる人には「どうしたのかな?」と思われてたかもしれないですね。それが今はなくなったという感じですね。
ーーそれは環境を変えたからでしょうか。
今までの環境が悪かったとも全く思わないし、ここまで一緒に成長させてもらって助けてもらって、その中で自分が甘えきってたところもありました。そうじゃなくて自分が意思をもって決断するということをしなきゃいけないと思ってから変わったと思います。
片平里菜 撮影=森好弘
ーー何かを決断することって、ただ単純に“前向きな気持ち”だけじゃなくて、いろんな思いがあると思うんです。このままじゃいけないと感じる時期があって、ここから抜けないと変われないし、このままだと不満ばかりが募っていったり……。変えたいと思うことは簡単でも気持ちに行動がついていかなったり、決めたことに対してこれで良かったのかな?と思うことって誰にでも経験があると思うんです。だからこそ片平さんの決断はすごく覚悟を決めての決断だったと思うので、同じ女性としてもすごく応援したいと思いました。
そうですね。複雑な気持ちはありましたね。デビュー前からそもそもキッカケをくれて私を引っ張り上げて、この業界に連れてきてくれて、ずっとお世話になってて。人を変えるとか環境を変えるとか自分にはないと思っていたんですけど、申し訳ない気持ちと、ありがとうと進まなきゃって想いと……。
ーー昨年、5月に行われた『愛のせい』アルバム全曲再現ライブ&シングル全曲ライブは観ていても胸に迫ってくるものがありました。あのライブが片平さんにとって、ひとつの区切りにもなったのではないでしょうか。
自分自身は昨年の年明けからちょっとずつ変わり始めていて。あのライブを境にそこでバスっと「もう旅立たなきゃいけない」って。変わらなきゃいけないタイミングだったから名残惜しさもありましたね。大事な3daysでしたね。なんか私の中では卒業ライブ的な感じだったんです。でもお客さんには伝えられないっていうモヤモヤもありつつでしたけど、旅立ちのライブでした。
片平里菜 撮影=森好弘
ーーそして11月にはベスト盤『fragment』がリリースになりました。
私は元々ベスト盤反対派じゃなくて出したいなと思ってたので、昨年はデビュー5周年という節目だし、そういう状況で新譜を出したり、曲を作れる心境ではなかったのでタイミング的にベスト盤は今かなと思いました。出すタイミングも所属事務所を離れたことを発表した後だったので深読みされたり、マイナスに捉えられるものは絶対に作りたくないなと思っていて。アートワークもベスト盤に対する気持ちの入れ方も曲順、選曲もそうだし、ポジティブに作りたいなというのがありました。選曲に関してはレーベルのスタッフとも話しながら意思決定は全部自分で決めましたね。2枚組にしようと思ったのも豪華な方が良いし、シングルコレクションでも良かったんですけど、せっかくなら今までカップリングも豪華にやってきたから、そういう曲たちも拾って、シングル曲もアルバム曲もカップリングも全部ひっくるめて、ひとつひとつ選んで良いアルバムを2枚作りたいと思って2枚組にしました。
ーーやっぱりベスト盤は当時のことを思い出したりして当時の自分の気持ちに戻りますよね。
なりますね。戻った時の自分が今の自分に教えてくれることもいっぱいあるなと思って。自分の部屋で1人で作ったままの状態のときは、その曲をそんなに好いてなかった。どうなのかなって思うこともあったけど、自分の手元を離れて、いろんな人に聴かれて、たくさん思い入れを入れてもらって、人に伝わってから曲がどんどん成長していって。その時は思い入れがなかった曲も、今になるとすごく受け入れられるというか愛おしく感じられるというか。むしろ好きになってたりする曲もあります。
片平里菜 撮影=森好弘
ーーその中でもTHE BACK HORNを迎え再収録した「最高の仕打ち(New Recording)」はすごく印象的でした。
2016年の時に2マンでご一緒した時に、この曲をアレンジしてもらって一緒に演奏したことがあって。歌い方も変わるし、バンドサウンドの方が厚みもあるし、パワーアップした感じがあって、弾き語りよりもスッと入ってくるというか軽くなった印象を受けて。歌とギターだけの時って、結構、底力でウワーっと丸裸な気持ちでやってて、聴く人も固唾を飲んで聴き終わったあとも食らったような感じになってたと思うんです。なのでバンドバージョンの方がリズムがあって、歌を中心にいろんな音が聞こえてくるし、スッと入ってくる感じはして聴きやすくなったんじゃないかなと思ってます。
ーー今の片平さんのモードはバンドをやりたいですか?
そうですね。「最高の仕打ち(New Recording)」みたいにスッと入ってくる方が良いなと思うんですよ。ビートがあった方が良いし、そこに乗ってくる音もシンプルな音色が装飾されてた方が良いし。なので今はバンドモードですね。
片平里菜 撮影=森好弘
ーー個人事務所「BUCHI.」の設立も発表となりましたが、2019年どうしていきましょう。
より一層、テンポアップして自分の気持ち次第で下がってしまうこともあるから、このベスト盤の明るい感じで邁進していけたらなと思って。一時期、中途半端にメジャーの世界にいるくらいなら、好きなようにインディーズでも何でも良いから路上で歌ってた方が幸せだなと思う瞬間もいっぱいあって、でもそれはいつでも出来るというか……、こじんまりするのはいつでも出来ると思ったんで、26歳にもなったし、今はもう一度メジャーで再デビューみたいな気持ちです。
ーーこれからがますます楽しみです!
人それぞれあると思うけど、私はお兄ちゃんっ子だったから、少年ぽいところも要素として多いし、すごくやんちゃだった。そういう部分があるからギターを持った女の子というレッテルだけで評価されてしまうことは不本意だったし、自分の見せ方もよくなかったなと今は気づいて。だから自己表現を歌の中でしてきたつもりだけど、見た目もそうだし、生き方だったり、考え方をしっかりアウトプットしていかなきゃいけないなと思ってて。“私はこういう人間ですよ”というのを誤解のないように自分が表現していかなきゃいけないという責任は今まで以上に芽生えたましたね。
取材・文=高野有珠 撮影=森好弘
ライブ情報
2019年2月10日(日) 17:00
なんばHatch
¥4320円(ドリンク代別途要)
片平里菜 live 2019『fragment live darling & honey』day2 honey
2019年2月24日(日) 17:00
Zepp DiverCity(TOKYO)
¥4320円(ドリンク代別途必要)
リリース情報
4500円(税別)
PCCA-04719
3000円(税別)
PCCA-04720
《Disc1『darling』》
01. 女の子は泣かない
02. 誰にだってシンデレラストーリー
03. Oh JANE
04. CROSS ROAD
05. 夏の夜
06. この涙を知らない
07. 愛のせい
08. Love takes time
09. 煙たい
010. Come Back Home
011. amazing sky
012. 最高の仕打ち (New Recording)
013. からっぽ
《Disc2『honey』》
01. HIGH FIVE
02. 誰もが
03. baby
04. ラブソング
05. なまえ
06. 小石は蹴飛ばして
07. Party
08. 異例のひと
09. 結露
10. Hey boy!
11. BAD GIRL
12. 心は
13. 始まりに
《DVD収録内容》
01. 子供時代 (Live at EX THEATER ROPPONGI 2018.05.10)
02. 異例のひと (Live at EX THEATER ROPPONGI 2018.05.10)
03. Howling wolf (Live at EX THEATER ROPPONGI 2018.05.10)
04. この涙を知らない (Live at EX THEATER ROPPONGI 2018.05.10)
05. 誰にだってシンデレラストーリー (Live at EX THEATER ROPPONGI 2018.05.10)
06. 夏の夜 (Live at EX THEATER ROPPONGI 2018.05.10)
07. 夏の夜 (Music Clips)
08. Come Back Home (Music Clips)
09. 女の子は泣かない (Music Clips)
10. Oh JANE (Music Clips)
11. HIGH FIVE (Music Clips)
12. amazing sky (Music Clips)
13. 煙たい (Music Clips)
14. 誰にだってシンデレラストーリー (Music Clips)
15. この涙を知らない (Music Clips)
16. Party (Music Clips)
17. 結露 (Music Clips)
18. なまえ (Music Clips)
19. 愛のせい (Music Clips)
20. 異例のひと (Music Clips)