声優・諏訪部順一、音声ガイドインタビュー 会場が作品となる『ル・コルビュジエ』展の魅力と家具愛を語る

インタビュー
アート
2019.2.19
 諏訪部順一

諏訪部順一

国立西洋美術館開館60周年を記念して、2019年2月19日より開催される『ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代』(会期:〜2019年5月19日)。本展の音声ガイドを、声優の諏訪部順一が担当することが決定した。今回は、音声ガイドの収録を終えたばかりの諏訪部にインタビュー。収録を通して発見したル・コルビュジエの魅力や、本展の見どころをたっぷり語ってもらった。

濃度の高い聖地巡礼ができる機会

――まずは、音声ガイドを収録された感想を教えてください。

ル・コルビュジエ氏については、近代建築や家具デザインといった側面から存じ上げていましたが、今回の収録を通じて、これまであまり深く知らなかった画家としての彼を知ることができて非常に勉強になりました。

――音声ガイドの収録で感じた、本展の見どころはどのようなものでしょうか?

やはり一番の面白さは、ル・コルビュジエ氏が基本設計に関わっている国立西洋美術館が会場であることではないでしょうか。彼の携わった様々な仕事を、彼が携わった場所で見られる大変貴重な機会です。さながら、非常に濃度の高い「聖地巡礼」といった感じですね。

――諏訪部さんが特に見たいと思った作品はありますか?

これまであまり知らなかった画家としてのル・コルビュジエ氏。絵を描く中で得たインスピレーションを、他の創作へどのように転化していったのか。その変遷を知ることができるのは非常に興味深いです。

――諏訪部さんが担当される音声ガイドだからこそ、心がけたことはありますか?

音声ガイドは鑑賞をアシストするものです。世界観にあった雰囲気を作りながら、きちんと理解していただける解説となるよう心がけ、読ませていただきました。自分としても大変興味深い展覧会だったので、オファーをいただけたことをうれしく思っています。会場となる国立西洋美術館周辺は高校時代によく通った思い出深い場所でもありますので。

諏訪部「LCコレクションの家具を使っています」

――ル・コルビュジエというと「近代建築の巨匠」のイメージがありますが、諏訪部さんはこれまでに、ル・コルビュジエにどのようなイメージを抱いていましたか?

インテリアにハマった時期があり、いろいろ勉強をしたのですが、ル・コルビュジエの名前はモダンなデザインのアイテムと共に必ず登場します。音声ガイドでも紹介している「LC4」と呼ばれるシェーズ・ロング(寝椅子)はその代表格ですね。彼の名を冠した「LCコレクション」と呼ばれる家具たちのひとつを、実は自分も愛用しています。

――諏訪部さんが使っていらっしゃるル・コルビュジエの家具はどのようなものですか?

「LC6」というテーブルです。シンプルながらもスタイリッシュなデザインで、そこそこの大きさがあるのですが、ガラス天板のタイプのものなので圧迫感があまりなくて気に入っています。

作品を通して見えてきた、ル・コルビュジエの温かな人物像

――音声ガイドの収録を終えて、ル・コルビュジエの印象に変化はありましたか?

ル・コルビュジエ氏の人となりに対してはこれまであまり触れてきておらず、特に印象を持っていませんでした。ピュリスムへの傾倒をはじめ、創作におけるスタンスをあらためて知り、改めて彼を「芸術家」と深く認識するに至りました。

――音声ガイドを通じて、ル・コルビュジエはどのような人物だと感じましたか?

建築物に関してですが、彼の作品の中には、そこに住まう、もしくは訪れる人たちの生活や動きをデザインの中にきちんと織り込まれていますよね。人ありきのアート。そこから、ある種の思いやりというか、優しさのようなものを感じ取れる気がします。

――建築だけでなく多方面で活躍していたル・コルビュジエですが、諏訪部さんもDJやラジオ、作詞など幅広くご活躍されています。音声ガイドを通して、ご自身とル・コルビュジエの共通点や共感するような部分はありましたか?

周囲から「建築家」と認識されるようになってからも、彼はずっと絵を描き続け「画家」というスタンスも持ち続けていました。自身の原点をブレることなく、捨てることなく持ち続けるという点は共感でききるところですね。

好きな建築物は東京タワー

――諏訪部さんはプライベートでも美術鑑賞がお好きとのことですが、気に入っている建築があれば教えてください。

東京都心の再開発が進み、その風景が移り行く中、アイコニックな存在として佇む東京タワーが大好きです。地方や海外での仕事から戻り、首都高を走って都心に入ると見えてくるオレンジのタワーは、自分にとって心和ませる存在です。

なくなってしまったものですと、各地に存在していた同潤会アパートの佇まいなども好きでしたね。

――最後に、諏訪部さんの音声ガイドを楽しみにされている方に向けて、メッセージをお願いします。

ル・コルビュジエ氏にゆかりのある国立西洋美術館で開催される、非常に貴重な展覧会です。この機会にぜひ、より多くのみなさんにお越しいただければと思います。音声ガイドをご活用されますと、より一層深くお楽しみいただけるかと。どうぞよろしくお願いいたします。


なお、本展の音声ガイドにはル・コルビュジエが設計した国立西洋美術館本館の解説をつけたボーナストラックを用意。諏訪部順一の説明を聞きながら、美術館を一緒に歩いて回るような気分が味わえるかもしれない。本展と合わせて、ぜひチェックしたい。

※音声ガイド貸出価格550円(税込)

イベント情報

ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代
 
会期:2019年2月19日(火)~5月19日(日)
会場:国立西洋美術館 本館
休館日:毎週月曜日(ただし、3月25日、4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
時間:9:30〜17:30(入館は閉館の30分前まで)毎週金曜日・土曜日は20:00まで
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