CHAIの発想力の飛び方が尋常じゃないという事が顕著に表れた2ndアルバム『PUNK』

2019.3.20
インタビュー
音楽

CHAI 撮影=渡邉一生

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一昨年10月に1stアルバム『PINK』をリリースして、今年2月に2ndアルバム『PUNK』をリリースしたCHAI。初インタビューとなった昨年5月リリースの3rdEP「わがまマニア」の時以来、二度目のインタビュー。東京を中心に既にたくさんのインタビューを受けた後なので、まずはインタビューそのものについて話してみた。後、CHAIは洋楽の香りがして、明るく自由に楽しく活動してるイメージが大半な気がするが、個人的にはしっかりと悩みや悲しみ怒りと向き合った上で、ポップな表現に消化してる誠実な人たちというイメージが強い。自然な流れで自問自答という話題になったので、改めて、その意味合いについても掘り下げてみている。収録楽曲「カーリー・アドベンチャー」に顕著に表れているが、今まで以上にコンプレックスの肯定からの飛んだ発想が凄すぎる。前述の流れではないが、もちろん能天気な訳でも無く、しっかりと自分たちの中で消化した上での事である。個人的には、CHAIの未来予想図についても気になっていたので、そのあたりの話が聴けたのも興味深かった。是非とも読んで頂きたい。

CHAI 撮影=渡邉一生

――アルバムがリリースされると、こういうインタビューが本当に多くなりますよね。たくさん東京でインタビューを受けてきたと思いますけど、今日は大阪でたくさん取材を受けますよね。僕が言うのも変ですけど、大変じゃないですか?

マナ・ユウキ:ありがたや~(笑)。

ユウキ:でも、大阪の人はキャラが濃いいから、明るくておもしろい!

――ハハハ(笑)。ただ、どうしても、同じ質問が多くなるじゃないですか? それは仕方ない事ですけど、こちらも同じ質問を受けてきただろうなって思いながら、質問してるんですよ。

ユウキ:「同じ質問になるよね~」と思いながら答える(笑)。こっちも段々、答えるのが上手になる。

マナ:うんうん、一緒だね。

ユウキ:予想外の質問は特にないよね。

マナ:だから、インタビューを受けていく内に、ちょっとずつ自分の中でまとまってくる。

――これを言っちゃお終いですが、伝えたい事はアルバムに全て詰まってるわけじゃないですか。

マナ・ユウキ:そうだよ(笑)。

ユウキ:全部詰まってるよ。

マナ:今でも、そんなに取材に慣れてないしね。

ユウキ:(取材は)得意ではない。(アルバムを)聴いてもらって、わかってもらえるなら、それが一番かな。

――そうですよね。でも、直接会って聞けるなら、聞きたい事は、やはりあるんですよ。例えば、1stアルバムは『PINK』で、今回の2ndアルバムは『PUNK』ですよね。「I」が「U」に変わったとか思うんですよ、もしかしたら深読みかも知れないし、インタビュアーはみんな感じたと想うんですけど。

マナ:「I」と「U」! 今回、インタビューの人が凄く言ってくれた! みんな頭いい~!

ユウキ:凄い~! 感激した! でも、そこまでは考えてない(笑)。

CHAI 撮影=渡邉一生

――やっぱり(笑)。「I」=私、「U」=YOU=あなたみたいな事も我々インタビューする側は考える訳ですよ。

マナ:私からあなたへみたいなね! それも言われた(笑)。

ユウキ:凄いよね! でも、そこまでは考えてない(笑)。

――そこまで言われたら気持ちいいです(笑)。『PUNK』も音楽性ではなく、精神性での『PUNK』ですもんね。

マナ:そうそう、マインドのパンク。生き方をパンクにするのが、2019年の目標だから。もっとわがままに生きて、なりたい自分になりたいなって。

ユウキSUPERORGANISMの海外ツアーの前座をした時に、そう思ったんだよね。

――『PUNK』と決まるまでの、アルバムタイトル案ってありましたか?

マナ:正直、韻を踏む事しか考えてなかった。

ユウキ:『PINK』の後だから、『FUNK』とか『WINK』とか。

マナ:いっぱい案は出たけどね。まぁ、いつも絶対最後に(アルバム)タイトルを付ける。(メンバーで)よく喋ってからね。

――結果、『PUNK』って良いタイトルになりましたよね。

マナ:『PUNK』というタイトルって事より、パンクな生き方をするって事がかっこいいね~ってなって。人間らしいしね。

ユウキ:海外のインタビューの人に「CHAIはパンクバンド」と言われて。やっぱ、インタビューの人は凄い! で、それを(アルバムタイトルに)もらった! 吸収して吐き出す(笑)。

――SUPERORGANISMとの海外ツアーは、色々と考える本当に良い機会になったんですね。

マナ:(SUPERORGANISMの)オロノを観て、凄く想った、そういう事を。その感じは音楽にも出ているし、かっこいい。

――でも、僕は、そういうパンクでわがままな生き方をCHAIは出来てると思ってたんですよ。

ユウキ:うん、確かにちゃんと出来てると思ってたけど、まだ足りてない。ありのままで生きてるのがオロノ。実現できてるというか、そのままで生きてるのがかっこよすぎる。叶わない。

マナ:そんな事を人を観て感じたのは初めてだった。

ユウキSUPERORGANISMは、生活の中から(音楽を)自然に表現しているから。CHAIはステージでは衣装だったり、真逆なんだよね。

CHAI 撮影=渡邉一生

――確かにSUPERORGANISMと比べると、CHAIは生活と音楽の切り替えはあるかもですね。

マナ:私たちは音楽をする時に一番したい事がライブだから。でも、SUPERORGANISMは朝ごはんを食べたりとかっていう、生活の流れに自然に音楽が、ライブがある。

ユウキ:ツアーの最中でも、ツアーバスの中で音楽を作り始めたりするから。今思いついた事は、今やるみたいな。CHAIだと、そうはならないから。スタジオも取らないといけないしね。

――そら、そうですよね。実際にライブを一緒にやってみて、前座とは言え、勝ち負けは意識しますよね?

ユウキ:(勝ち負けは)両方あるかな。

マナ:悔しいと想った方が(自分たちも)影響を受けられるしね。

ユウキ:悔しいくらいに(相手を)好きって良い事だから。

マナ:その感情はあった方がいい。凄い悔しかったしね。でも、落ち込んでもしょうがないよね。

ユウキ:そんな時は食べるよね! 「焼肉だ!!」って。で、寝る(笑)。そしたら、次の日から「よし!」ってなる。

マナ:食べながら、4人で凄い状態の愚痴を言うよね(笑)。

ユウキ:ストレスというか、悔しさを吐き出す!

マナ:その消化力は凄い! ひとりで抱え込むと崩れるから。

ユウキ:「めっちゃわかる!」、「だよね~!」とか言いながらね。4人で良かった!

マナ:最初、東京に住んだ頃は深夜に松屋でお持ち帰りしたのを、泣きながら食べたりしてから(笑)。

ユウキ:誰にも聴かせられない内容だよね(笑)。

――4人で悔しさ悲しさを共有できるって素晴らしいですよね。喧嘩も無いって事ですもんね。

マナ:喧嘩は本当に無い。

ユウキ:思ってる事は言い合うけど、「そうだね~」って受け入れられるから。

マナ:言い合っても、あっさりしてる。

――自分たちの表現を作品にして、その上、人の前に立つって凄い事だと想うんです、本当に。そりゃストレスだって、たくさんあるでしょうし。

マナ:人の前に立つって事は凄い良い経験だけど、色々あるよね。みんな、どうしてるのかな?

――CHAIみたいに吐き出して消化して前へ向けなかったら、休止したり、解散をするんでしょうね。

マナCHAIは解散する事は無い。表現していく事が今は音楽だけど、例えば遊園地を建てたいとか、そういう経営者的な事になったりはするかもだけど、このチームとしてやるから。

ユウキ:動物の愛護団体とかね。

マナ:ファッションの事とかね。ユウキは絵も描けるから!

――今回のアルバムもケースを開けて、中を見たら、ハートがあったりとか、本当に可愛くて。

マナ:可愛いよね!

――メンバーに相談したりしますか?

ユウキ:終わってから見せる。そしたら、みんな「可愛い!」と言ってくれて、満足する(笑)。

マナ:自問自答を繰り返している。

ユウキ:研究熱心なのかな?

――さっきの悔しさや悲しさの話もそうですけど、CHAIって良い意味で、そういう悩んだりして自問自答してるところが、こちらには見えないじゃないですか。

マナ:(悩んだり、自問自答する事が)無い訳ないから。でも、自然な流れだし、そういう事は。

ユウキ:やっぱりダークに見られるよりはポップに見らるれ方が良いから。でも、ポップに見られるためには自問自答をする。だけど、わざわざ言う事でもないから。

CHAI 撮影=渡邉一生

――曲単位の話もしたいのですが、僕は8曲目の「カーリー・アドベンチャー」が大好きでした。このかっこいいサウンドに、くせ毛がテーマの歌詞が載るというのも凄くて……。

ユウキ:CHAIは全部曲が先なんだけど、この曲は凄くCHAIの中で新しいし、クールだし洋楽チックでかっこいい曲だと思っていて。だから、かっこつけやすい壮大な曲だけど、歌詞はピンポイントの事を広めたくて。私の言いたいテーマにくせ毛があったんだけど、メンバーの中では私だけくせ毛じゃないので、そのコンプレックスに憧れてた。私からしたら、そのクネクネや湿気をキャッチ出来る事がかっこいいから! だから、トレジャーハンターじゃんって! あっけらかんとしてる! 歌詞に「すごい」って入れるのも、他には無いなって(笑)。

――確かに、そんな歌詞は無いですね(笑)。僕もくせ毛ですが、梅雨の時期にクネクネになる事をすごいと思った事ないし、何もキャッチした覚えも無いし、トレジャーハンター扱いされる事に正直驚きましたね(笑)。

マナ:くせ毛チームからしたら、「よく言ってくれた!」って! 私たちハンターなんだなって。アドベンチャーも広がっているんだなって(笑)。一番励まされたかな!

ユウキ:誰も思いつかない目線にしたくて。「ここまでのポジティブな解釈は無いだろ?!」と。「ドヤ!」みたいな。

マナ:果てしない世界にビックリした!!

ユウキ:一番笑いながら書いた。

マナ:主人公になった気分だよ!

――今までコンプレックスを肯定する楽曲はあったけど、ここま飛ばす楽曲は無かったんですよ。こんな応援歌は聴いた事ないですから。

ユウキ:応援はしたくないと思ってるから。聴いて、感じたままでいいから。後は、自分で選択して欲しい。ぶっきらぼうなんだよね。でも、押し付けたくないから。

――押し付けない応援歌だから、聴く側も信用できるんですよ。今日も本当にたくさん話が出来て嬉しかったです。ありがとうございました。

マナ・ユウキ:ありがとう!!

取材・文=鈴木淳史 撮影=渡邉一生

ツアー情報

CHAI ワールドツアー「PUNK」
<US>
2019年3月25日(月)アメリカ ロサンゼルス Moroccan Lounge
2019年3月27日(水)アメリカ サンフランシスコ Rickshaw Stop
2019年3月29日(金)アメリカ シアトル The Vera Project
2019年3月30日(土)アメリカ ポートランド Holocene
<UK / EU>
2019年5月9日(木)イギリス ブライトン「The Great Escape」
2019年5月12日(日)イギリス ノッティンガム The Bodega
2019年5月13日(月)イギリス バーミンガム Hare & Hounds
2019年5月15日(水)イギリス グラスゴー Stereo
2019年5月17日(金)イギリス ロンドン Moth Club
2019年5月18日(土)イギリス リーズ Headrow House
2019年5月20日(月)イギリス マンチェスター YES
2019年5月23日(木)ベルギー アントウェルペン Kavka
2019年5月24日(金)オランダ アムステルダム「London Calling Festival」
2019年5月26日(日)ドイツ ベルリン Kantine am Berghain
2019年5月28日(火)フランス パリ Supersonic
2019年5月30日(木)フランス ニーム「This Is Not A Love Song Festival」
2019年5月31日(金)スペイン バルセロナ「Primavera Sound 2019」
CHAI JAPAN TOUR 2019「PINKなPUNKがプンプンプン トゥアー!」
2019年6月8日(土)愛知県 DIAMOND HALL
2019年6月9日(日)大阪府 なんばHatch
2019年6月13日(木)北海道 札幌PENNY LANE24
2019年6月15日(土)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
2019年6月16日(日)宮城県 Rensa
2019年6月21日(金)岡山県 YEBISU YA PRO
2019年6月23日(日)福岡県 DRUM LOGOS
2019年6月29日(土)東京都 新木場STUDIO COAST
 
イープラス先行受付期間
3/19(火)12:00〜3/24(日)23:59
専用受付URL:http://eplus.jp/chai/