OSK日本歌劇団新トップスター桐生麻耶お披露目公演 『レビュー 春のおどり』囲み会見&開幕レポート
劇団創立97周年を迎え、栄光の100周年への道を歩むOSK日本歌劇団の新トップスター桐生麻耶お披露目公演、『レビュー 春のおどり』が28日新橋演舞場で開幕した(31日まで。のち、4月13日~21日まで大阪松竹座でも上演)。
1997年にOSKに入団した桐生麻耶は、劇団解散の危機も乗り越え、175cmの抜群のプロポーションと、大きな存在感を発揮する男役スターとして成長。2022年に控えた劇団創立100周年の節目に向け、伝統のレビューに挑戦を重ねていく新トップスターとして、楊琳、舞美りらをはじめとした劇団員一同と共に、歩みを進めている。
そんな桐生のお披露目公演『レビュー 春のおどり』開幕を前にした、28日昼、囲み取材が行われ、第1部開幕のの若衆姿で登場した桐生から公演への抱負が語られた。
桐生麻耶
初日を控えた心境を「出演者41名一丸となって、楽しみに待っていてくださるお客様が、笑顔になって帰っていただけるようにという想いのみです」と語った桐生は、新トップスターとしての心境も「自分が舞台に立つという上では、客様にOSKを観に来て良かったと言っていただく為に存在していたいし、そこが一番大きいところなので、これまでと実はあまり変わりません」とした上で、「皆をまとめていくという意味では、初めての経験なので難しいところもありましたし、自分が下級生の頃は上の人が『こうだ』と言ったことに対してはただ従うという選択肢しかなかった分、ある意味で楽だったけれども、今の下級生には『でも自分がこうしたい』というものがあるので、そこをどうしてそうして欲しいのか? を理解してもらうディスカッションが必要です。もちろんそこに葛藤することもあるけれども、私にとっても新しい気づきを与えてくれることも多くありがたいと思っている」と伝統をつないでいき、さらに発展させていく立場としての実感を語った。
また、100周年が近づいていることについては解散危機の荒波をくぐった人だけに「当たり前のものは何もないと学び、多くの方に助けられていることを実感したので、その想いあっての100周年に向かって、日々の努力を怠らず、また舞台には普段の生活の姿勢も出てしまうので、そうした日常の大切さも下級生に伝えていき、一つひとつの舞台を懸命に務めることで、100周年が迎えられるのだと思っている」と深い想いを吐露した。
桐生麻耶
さらにお披露目公演の見どころを「第1部『春爛漫桐生祝祭』では、賑やかなお祭り場面の中詰めと共に、自分としてはシックな場面に登場しているので、大人の男性を表現して踊れるかが勝負だと思っています。第2部の『STORM of APPLAUSE』は、嵐を巻き起こして、そこで拍手喝采が起きるというような形で踊りまくっています。初舞台生がラインダンスで出演するのですが、今までに観たことのない小道具を使っているラインダンスなので、観ていて面白いです」と、桐生から観ても新鮮だったというラインダンスに言及。初めて作・演出を手掛けた平澤智が「一人ひとりのモチベーションをすごく大事にしてくださって、個々の力が発揮されれば、それがひとつの団体として届くはずなので、下級生という立場でも、1番上の私でも同じような気持ちで挑みましょうということをずっと言ってくださった」と感謝をのべ、開幕するレビューへの期待を高めていた。
ここで第1部『春爛漫桐生祝祭』のラストシーンが、群馬県桐生市の「桐生八木節」で締めくくられることにちなんで、群馬県のゆるキャラ“ぐんまちゃん”がお祝いに駆けつけるというサプライズが! 登場したぐんまちゃんは、「祭り半纏」に鉢巻姿という、公演に合わせた完璧なスタイル。そんなぐんまちゃんから新トップスター桐生にお祝いの花束が贈呈され、桐生が「駆けつけてくださって本当に幸せです。しかも、ぐんまちゃんの今日のお衣装はお祭りバージョンということで、とっても嬉しいです。ありがとう、ぐんまちゃん!!」と揃っての記念撮影に。お祭りポーズも繰り出すぐんまちゃんとの和やかな時間に拍手が贈られた。
ぐんまちゃんがお祝いに!
ぐんまちゃんと一緒にポーズ
桐生麻耶とぐんまちゃん
引き続いて、公演の公開ゲネプロが行われ、和洋レビューの全容が明らかに。
山村友五郎 作・演出・振付による和物レビューの第1部『春爛漫桐生祝祭(はるらんまんきりゅうのまつり)』は、「春のおどりは、よーいやさー~」の「チョンパ」と呼ばれる、暗転の中で緞帳があがり、拍子木の「チョン」という音に続いて「パ」と照明がカットインする、和物レビューに長く伝わる幕開けの手法の「さくらまつり」からスタート。上方落語からの「笑い」を取り入れた場面、桐生の道真と、楊琳の時平の争いの場面、大阪の天神祭、沖縄のエイサーまつり、青森のねぶた祭と日本全国の「夏まつり」が綴られる賑やかな、桐生がおススメポイントとして挙げた中詰め、富山の祭り「風の盆」そして桐生が「ちょいとでました」から自らがトップスターに就任した報告と、100周年に向かって進んでいくOSKの意気込みまでが歌詞に織り込まれた「桐生八木節」の華やかな総踊りで、緩急のメリハリがハッキリした祝いムードたっぷりの和ものレビューが展開された。
第1部「春爛漫桐生祝祭」のゲネプロ模様
第1部「春爛漫桐生祝祭」のゲネプロ模様
第1部「春爛漫桐生祝祭」のゲネプロ模様
第1部「春爛漫桐生祝祭」のゲネプロ模様
第1部「春爛漫桐生祝祭」のゲネプロ模様
休憩を挟んだ第2部は、平澤智 作・演出・振付による洋物レビュー『STORM of APPLAUSE』。振付家として優れた仕事を続けている平澤初の作・演出作品で、「桐生=STORM=嵐」に、お披露目の「喝采=APPLAUSE」をイメージしたという平澤が特段に力を込めたと聞くプロローグが、絶品のカッコよさとスピード感を示し、クラシック音楽を主体に、またドラマ性のある場面、舞台人としてのステージ讃歌など、多彩な場面がテンポよく続く、桐生の言葉通りの踊りまくるレビューが展開。
第2部「STORM of APPLAUSE」ゲネプロ模様
第2部「STORM of APPLAUSE」ゲネプロ模様
中でも、新トップスター桐生と対を為せる男役として楊が大きな存在感を発揮したのをはじめ、虹架路万、愛瀬光、舞美りら、白藤麗華などの、実績あるスターたちだけでなく、千咲えみ、城月れい、華月奏、翼和希など、若手スターたちが重要な場面を担っていることが目を引き、OSK日本歌劇団が新トップスター桐生のもと、100年に向かうスター創りに重点を置いていることが頼もしい。話題のラインダンスには翼の一人ひとりの芸名、チャームポイントの紹介つきという、贅沢な初舞台生のお披露目もあって楽しめる。
第2部「STORM of APPLAUSE」ゲネプロ模様
第2部「STORM of APPLAUSE」ゲネプロ模様
何より平澤が個々の長所をよく把握して、より魅力が引き出される起用をしていることも効果的で、娘役筆頭の舞美とだけではなく、桐生が娘役たちそれぞれと個性的なペアダンスを展開する終幕にも新味があり、新時代を迎えたOSKの力強さを感じさせる豪華な二本立てレビューとなっていた。
公演情報
<東京公演>
日程:2019年3月28日(木) ~31日(日)
場所:新橋演舞場
■スペシャルトークイベント
3月30日(土)夜の部(16:00の回)終演後
出演者:
桐生麻耶・楊 琳・虹架路万・舞美りら・愛瀬 光・白藤麗華・遥花ここ・
華月 奏・翼 和希・千咲えみ・城月れい
<大阪公演>
日程:4月13日(土)~21日(日)
場所:大阪松竹座
作・演出・振付:山村友五郎
第2部 STORM of APPLAUSE
作・演出・振付:平澤智
出演
桐生麻耶
楊琳
虹架路万
舞美りら
愛瀬光
白藤麗華
遥花ここ
華月奏
翼和希
千咲えみ
城月れい
他、OSK日本歌劇団
公式サイト:http://www.osk-revue.com/