英国発!鬼才ウェイン・マクレガーの舞踊団出身の男性二名が『Elevation―昇華―』を披露
『Elevation-昇華-』メインビジュアル
英国からとびきりイキのいい奴らがやってくる! 鬼才ウェイン・マクレガー(英国ロイヤル・バレエ団常任振付家)の舞踊団出身のジェームズ・ペット(James Pett)とトラビス・クローセン・ナイト(Travis Clausen-Knight)が、2019年5月21日(火)、セルリアンタワー能楽堂(東京)で上演する『Elevation―昇華―』は見逃したくない。
際立つ個性、二人の組み合わせの妙
ジェームズ・ペットは体操選手として世界体操競技選手権英国代表にもなった変わり種で、柔軟性に優れ技量抜群だ。トラビス・クローセン・ナイトは南アフリカのケープタウン出身で、マシュー・ボーンの『白鳥の湖ースワン・レイクー』世界ツアーに参加し同舞台の映画版にも出演するなど実力派として鳴らす。麗しくもある二人だが、変幻自在な動きが高密度で続くマクレガー作品のクリエイションを経験しているので、心身ともにタフなのは疑いない。そうした背景を持ちながら彼らの個性と創造性が反映された作品を今まさに発信せんとしている。
(左)ジェームズ・ペット(C)RABI DEEPRES (右)トラビス・クローセン・ナイト(C)LARS STEPHAN
あのサドラーズ・ウェルズで高評!
公演は3部構成。二人の共作共演『Informal Between』は2018年12月、英国を代表する舞台芸術の殿堂サドラーズ・ウェルズで世界初演された。プロデュースは本公演を主催するファビュラ・コレクティブ(Fabula Collective)代表で舞台デザイナーの塚本行子(Yukiko Tsukamoto)である。彼らの卓抜した才能に着目した塚本の言葉(リリースより・以下同様)を借りると「二人の言葉では言い表せない関係性が、光が影となり影が光となるように交差する」という。英国最大級のフェスティバル「Latitude Festival 2019」への招聘も決まっているホットな舞台だ。
世界初演のソロ二作品にも要注目!
世界初演の二作品は、それぞれの自作ソロ。ジェームズ・ペットの『掟の門』はフランツ・カフカの同題小説を基に社会という「掟」と向き合う。トラビス・クローセン・ナイトの『塩と水』は日本の神道から着想を得た儀式のような雰囲気のある作品になるとのこと。本公演は各自が自身と向き合うソロを見せた後に共作デュオ『Informal Between』が上演される趣向で、卓越した個と個が合わさって「昇華」され、彼らにしか創りえない独自の世界に満たされるだろう。
『Elevation―昇華―』プロモーション動画
英日の舞台芸術プラットフォーム構築へ
塚本は英国を中心に幅広い分野の舞台デザインを手がけ、ダンスではカサ・パンチョ(バレエ・ブラック芸術監督)、リアム・スカーレット(英国ロイヤル・バレエ団アーティスト・イン・レジデンス)らと組んできた。その経験を踏まえ「現代社会において必要性のあるテーマを新進気鋭のアーティストたちと共有し革新的に上演していく基盤を持ちたくなった」ために創設したのがファビュラ・コレクティブだ。「ファビュラとはラテン語で物語、ドラマ、寓話といった意味です。人は誰にでも人生のストーリーがあります。その「物語」 を通して感覚に訴えかける舞台創りがしたい。また同時に観客の方々の反応を受け止めながら新たに創作していく循環を求めたいという思いをこめて名付けました」と明かす。そして本公演の上演に際し能楽堂を会場に選んだのは「演者の実力を間近で魅せられること、そして能という素晴らしい伝統が息づく空間でお客様と「物語」を交感したいと考えたから」だと説明する。「英国と日本の両国が交流し、若き俊英たちが育つ場所を提供していきたい」という塚本の想いが実を結ぶことを願いたい。
文=高橋森彦
公演情報
・作品2* 『塩と水』(振付・出演:トラビス・クローセン・ナイト)
・作品3 『Informal Between』(振付・出演:ジェームズ・ペット&トラビス・クローセン・ナイト)
・上演時間 約60分(幕間休憩有)
・終演後、アフタートーク、Q&Aを実施(通訳有)
【会場】セルリアンタワー能楽堂(渋谷 セルリアンタワー東急ホテル地下2階)
【主催】ファビュラ・コレクティブ(Fabula Collective)
【構成】塚本行子
【振付・出演】ジェームズ・ペット トラビス・クローセン・ナイト