満島ひかり、坂口健太郎らが混沌の森で性的欲望をぶつけ合う 舞台『お気に召すまま』フォトコールレポート

レポート
舞台
2019.7.30
満島ひかり、坂口健太郎 舞台『お気に召すまま』

満島ひかり、坂口健太郎 舞台『お気に召すまま』

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満島ひかり、坂口健太郎らが出演する舞台『お気に召すまま』が、2019年7月30日 (火) ~8月18日 (日)にかけて、東京芸術劇場・プレイハウスで上演される。29日、関係者に向けたフォトコールが行われ、第1幕1場から2場まで公開された。シェイクスピアの四大喜劇に数えられる本作、演出を手掛けるのは、熊林弘高。

キャストは満島と坂口の他、中嶋朋子、山路和弘、小林勝也、満島真之介、中村蒼、さらに熊林作品には初出演となる温水洋一、広岡由里子、萩原利久、碓井将大たちが名を連ねる。満島ひかりと坂口健太郎、そして熊林弘高からのコメントと、それぞれの役どころ、そしてフォトコールの模様を紹介する。

どきっとして欲しい

(左から)中嶋朋子、山路和弘、満島ひかり、碓井将大 劇の冒頭で人間関係を軽妙に解説中。

(左から)中嶋朋子、山路和弘、満島ひかり、碓井将大 劇の冒頭で人間関係を軽妙に解説中。

満島ひかりが演じるのは、ロザリンド。

「これだけ永く愛され、たくさんの国で上演されている戯曲の言葉には、霊感が宿っているのを感じます。自分の内側からのエネルギーが、私たちを刺激している毎日です。劇中ではかなり明け透けに、性的なことや恋することが語られますが、見て聞いている方それぞれにもきっと、違ったどきどきがあると思います(どきっとして欲しい)」(満島ひかり)

ロザリンドは、おじのフレデリック公爵(山路)の娘シーリア(中嶋)と、極めて親しい間柄のよう。ある時突然、公爵に追放されてしまう。ロザリンドは、旅路で身を守るため男装しギャニミードと名乗り、アーデンの森へ向かうことになった。そこには、同じく公爵に追放された、旧公爵の父が身を隠しているはずなのだ。

肉体を性的に純粋に駆使しながら

三男オーランド(坂口)は、父を失い、長男オリバー(満島)とは不仲

三男オーランド(坂口)は、父を失い、長男オリバー(満島)とは不仲

オーランド役は、坂口健太郎。公爵が主催するレスリング大会に出場し、ロザリンドと出会い恋に落ちる。

「3年ぶり2度目の舞台に、再び熊林さんの演出で立てることをとても嬉しく思います。『かもめ』は初舞台で、何も持たぬまま無邪気に飛び込んでいけましたが、『お気に召すまま』は3年分の変化や成長も見せなければと思っています。性差を超えて様々な愛の形が描かれる今作、混沌としたアーデンの森で、自分が持っている肉体を、性的に純粋に駆使しながら、オーランドとして生まれてくる感情を大切に演じています。」(坂口)

実の兄オリバー(満島真之介)から命を狙われ、アーデンの森へ逃げ込む。そこでギャミニードとなったロザリンドと再会を果たすのだが…。

森の混沌を味わっていただければ

熊林弘高は、本作が初のシェイクスピア作品。東京芸術劇場で上演した『おそるべき親たち』『かもめ』などの過去の作品は、いずれも高い評価を受けている。

「僕が演出を考える前提には、“役者の肉体”が大きくあり、作品と役に正しくはまる役者があって初めてスタートが切れるんです。シェイクスピアを演出するのは初めてです。シェイクスピアは、プロテスタントの時代に、カトリックのうまれなうえ、ゲイだったと言う説もある、つまり仮面をかぶって生きていた人なんですよね。だからこそ、作中で幾度も「自分とは何者か」と登場人物たちに自問させる。シェイクスピアのどこまでも続く問いかけに、今我々が何を感じたかを提示し、後は見てくださる方々に委ねるしかありません。お客様には存分に(舞台となっているアーデンの)森の混沌を味わっていただければと思っています。」(熊林)



※以下、冒頭の演出を一部紹介します。前情報なしでご覧になりたい方はご注意ください。

宮廷から離れた混沌の森へ

会場はA列・B列(最前列から2列分)までせり出すように舞台を広げ、さらにF列(実質前から4列目)にもアクティングエリアを設けていた。冒頭からキャストが通路を頻繁に往来する。客席と舞台の境を曖昧にし、本作の名台詞「世界はすべて一つの舞台。男も女も役者にすぎない」を体感させるような演出だ。

レスリング大会の場面では、エモーショナルな音楽の中、坂口が鍛えぬいた身体を披露。その身体美はもちろん、絡み合うような取っ組み合い、獣のような表情からもの悲しさを湛える目まで見逃せない。

レスリングのシーンは絡み合うような取っ組み合いに 手前の客席では、満島、中嶋、温水が歓声をあげている

レスリングのシーンは絡み合うような取っ組み合いに 手前の客席では、満島、中嶋、温水が歓声をあげている

満島ひかりは、ちょっとした掛け合いやリアクションに、喜劇らしさを忍び込ませる。2場の終わりには、オーランドと恋に落ち、倒れこまんばかりの足どり、かと思えば、踊るようなしなやかな身のこなしで客席通路を駆けていく。その息づかいは扇情的。全身からほとばしるエネルギーが、これから始まろうとする愛とタブーに満ちた物語を予感させた。

レスリング大会に優勝したオーランドと、ロザリンドが出会う

レスリング大会に優勝したオーランドと、ロザリンドが出会う

フォトコールでは公開されなかったが、このあと登場する「アーデンの森」は、人間のあらゆる性的欲望がうごめく暗闇として描かれているという。性の多様性に理解が進む今、あえてそこに切り込むことで、熊林は一体何を問いかけようとしているのか。満島、坂口とともに、個性際立つ共演者たちが混沌の森でどのようにぶつかり合い、観る者を酔わせるのか。期待が高まる舞台『お気に召すまま AS YOU LIKE IT』は、東京芸術劇場・プレイハウスで7月30日 (火) ~8月18日 (日)まで上演した後、全国の会場を巡演する。

公演情報

『お気に召すまま』

■作:ウィリアム・シェイクスピア
■翻訳:早船歌江子
■ドラマターグ:田丸一宏
■演出:熊林弘高
■出演:
満島ひかり 坂口健太郎 満島真之介 温水洋一
萩原利久 碓井将大 テイ龍進 Yuqi(UQiYO) 広岡由里子 久保酎吉
山路和弘 小林勝也 中村蒼 中嶋朋子
 
■公式サイト https://www.asyoulikeit.jp
■公式ツイッター @asyoulikeit_jp
 
【東京公演】
■日程:2019年7月30日(火)~8月18日(日)
■会場:東京芸術劇場プレイハウス
※8月14日(水)13:00 追加公演決定
※8月14日(水)13:00公演、18:30公演は収録のため、客席内にカメラが入ります。予めご了承ください。
■料金:
S席 8,500円 A席 7,000円 65歳以上(S席) 7,500円 25歳以下(A席) 4,500円 高校生以下 1,000円
■主催・企画制作:東京芸術劇場(公益財団法人東京都歴史文化財団)
■問い合わせ:東京芸術劇場ボックスオフィス 0570-010-296 (休館日を除く10:00~19:00)
http://www.geigeki.jp
 
<ツアー公演>
【豊橋公演】8月22日(木)~25日(日)穂の国とよはし芸術劇場PLAT主ホール
【新潟公演】8月31日(土)~9月1日(日)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
【兵庫公演】9月4日(水)~8日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【熊本公演】9月11日(水)熊本県立劇場 演劇ホール
【北九州公演】9月14日(土)~15日(日)北九州芸術劇場 中劇場
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