有村竜太朗 『ACOUSTIC LIVE「Op.」』初日、東京キネマ倶楽部“昼の部”オフィシャルレポート

レポート
音楽
2019.8.29

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有村竜太朗が8月22日に東京キネマ倶楽部で開催した『ACOUSTIC LIVE「Op.」』“昼の部”のオフィシャルレポートが到着した。


Plastic Treeのボーカリストとして活動する傍ら、2016年からソロワークをスタートさせた有村竜太朗。そんな彼がこの夏、アコースティックセットでのソロライブ『ACOUSTIC LIVE「Op.」』を開催(都内2ヶ所&大阪1ヶ所。いずれも昼の部と夜の部の1日2公演)。涼しげなアレンジでしっとりと持ち曲を歌い上げた。

初日となったのは8月22日の東京キネマ倶楽部。ここでは15時開演の“昼の部”の様子をお届けしよう。

会場となった東京キネマ倶楽部だが、ここは有村竜太朗が“大好きなライブハウス”と公言している。レトロなキャバレーの香り漂う独特の雰囲気で、Plastic Treeとしても毎年ハロウィンライブを行っており、ファンにとってもなじみ深い場所である。

この日はフロアに椅子席が設けられ、じっくり音楽が楽める仕様。ステージと客席の距離感も密接で、生音を楽しむには完璧なシチュエーションだ。まずはステージにバンドメンバーの野村慶一郎(Key/Mani)、中条幸一(Acc)、青月泰山(Vc)、emyu(Vn)の4人が登場。ほどなく、開演を告げる上映ブザー音が響き、場内は暗転。舞台下手から白い衣装に身を包んだ有村が現れ、ステージセンターのスツールに、ふわりと腰掛ける。

それからギターを手にして、さりげなく1曲目の「浮融/fuyuu」へ。背景にはサンドアートの映像が映され、温かみのあるサウンドと溶け合いながら進行。サンドアートは大人のような胎児のような、不思議な人物の姿を描き出す。このサンドアートを担当したのはSILT(シルト)というサンドアートパフォーマンス集団。これまでも、アーティストのライブ演出や広告映像に多数参加してきたので、彼らの作品に触れた人も多いはずだ。今回の公演では、非常に重要な役割を果たしていると思う。

2曲目の「猫夢/nekoyume」は、アコースティックながら、弾むようなノリ。有村も左足でリズムを取って曲に入りこんでいく。

ちなみに、セットリストは個人作品集1996-2013「デも/demo」と個人作品集1992-2017「デも/demo #2」の収録曲だ。このあとも「くるおし花/kuruoshibana」や「鍵時計/kagidokei」など、2作品からの曲が次々と演奏されていく。MCも一切ナシ。ゆえに、ライブそのものが、非現実的な世界に感じられた。

中盤ではバンドサウンドの印象が強い「色隷/shikirei」で、躍動感を作り出す。かと思えば、「日没地区/nichibotsuchiku」の出だしにはひぐらしの鳴き声を流し、夕暮れを演出。アコーディオンのイントロが響くと、照明も夕焼け色になってステージを照らした。観客の多くは、それぞれが思い描く懐かしい夕焼けを思い浮かべたはずだ。

後半へのラストスパートは「19罪/jukyusai」。バンドアレンジではノイジーなギターが降り注ぐのだが、ここでは内に秘めた熱がジワジワあふれ出すようなパフォーマンスとなった。さて、残るはあと2曲である。

続いてプレイされた「恋ト幻/rentogen」では、再び冒頭のサンドアートで描かれた人物が背後に浮かんでくる。再び冒頭の緊張感に戻っていくような、不思議な感覚だ。そして、ラストの「憑影と月風/tsukikagetotsukikaze」では、曲に合わせ、サンドアートで様々な月が描かれていく。楽曲の世界観と融合する演出は見事だった。曲が終わり、バンドメンバーがステージを去ると、有村はひとり、深々と一礼。ライブを締めくくった。

暖かい拍手の中、客電が点いたが、観客は急に現実に引き戻されたように、戸惑い気味。ここは、もう少し余韻に浸りたいところだ。誰も席を立たず、アンコールの手拍子が起こる。有村は声援に応え、再びステージへ。しかし、「もう曲がないんです(苦笑)。また同じ曲でいいですか?」と前置きして、弾き語りバージョンで「くるおし花/kuruoshibana」を切々と聴かせた。終演後、会場を出ると、夏の終わりの夕方らしい空気が漂っている。早い時間のライブもまた粋だなと感じた。

ちなみに夜の部では、有村は赤のアジア風衣装にチェンジ。雰囲気を変えるという気配りを見せ、ダブルヘッダー公演を見事に完遂。ノスタルジックなアコースティックサウンドと、記憶や思考を刺激する有村竜太朗の歌詞、そして哀愁漂う東京キネマ倶楽部の空気によって、夏の終わりにピッタリの公演となった。

文=海江敦士

ライブ情報

ACOUSTIC LIVE 「Op.」
2019年8月29日(木) 味園ユニバース(大阪府)
<昼の部> 14:00 / 15:00 
<夜の部> 18:00 / 19:00

2019年9月3日(火) Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE(東京都)
<昼の部> 14:00 / 15:00 
<夜の部> 18:00 / 19:00 (Sold Out)

料金前売り¥5,800(税込)
*3歳以上有料
*全席指定
*1ドリンク代別途

リリース情報

DVD『有村竜太朗 TOUR2019 「デも/demo #2」-Road Show-』 
2019年6月12日発売
価格:¥6,400(税抜き)
発売元:(株)ブロウグロウ
販売元:(株)ソニー・ミュージックソリューションズ
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