劇団Patch 田中亨×近藤頌利×松井勇歩インタビュー「今度の作品は祭りです! 頭をからっぽにして劇場に来てほしい」 本公演『カーニバル!×13』
(左から)松井勇歩、田中亨、近藤頌利
2019年10月31日(木)~11月3日(日)東京・シアターサンモール、11月6日(水)~11月10日(日)大阪・ABCホールにて、劇団Patchが『カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!カーニバル!』(以下、カーニバル!×13)を上演する。
13回目の本公演となる本作は、脚本・演出に細川博司を迎え、月の牢獄を舞台に少年・浦と男・無銘が、歴史を揺るがした「罪人」たちと戦いを繰り広げ脱獄する物語。劇団Patch史上、見たことがないチャンバラエンターテインメントとなっている。
都内でビジュアル撮影が行われた際に、浦役の田中亨、チンギス・ハーン役の近藤頌利、無銘役の松井勇歩に話を伺うことができた。まだ稽古が始まっていないながらも、公演に対する熱い意気込みや見どころを語っていただいた。
ーー今日はビジュアル撮影とのことですが、撮影が終わってみていかがですか?
近藤:僕の役はチンギス・ハーンなので、衣装がめちゃくちゃかっこよくて派手なんです。チンギス・ハーンといえば王ですから衣装も金ピカでマントがあります。エンターテインメント性も高いです。メイクもバッチリしてもらったので魔法がかかったようで、気分も上がりました。
田中:僕は浦という少年の役なのですが、まわりに比べると素朴でフード付きのボーダーの衣装です。ウサギをモチーフにしているので、耳がついていてかわいい雰囲気です。他のメンバーに比べると地味な衣装ではありますが、いよいよ始まるなという感じですね。
田中亨
松井:僕は記憶のない無銘という役ですが、ガッツリ和装ですね。派手に色をつけていただいて、すごくきれいなものを用意していただきました。あそこまで衣装に美しさのパワーがあるとは思いませんでした。衣装を作っていただくにあたって、こちらから結構リクエストをしたのですが、それを全部組み込んでくださって、思っていた以上に素晴らしいものが出来上がりました。
ーー松井さんと近藤さんは派手な衣装なんですね。
松井:題名が「カーニバル」なので、観て楽しんでいただけるように他のメンバーもわりと目立つ衣装です。派手さがある中で、(田中)亨が演じている浦に関しては、純粋無垢な少年の役であり、話の舞台が月の牢獄ということもあるので、囚人服のような衣装です。
近藤:でもまわりが派手すぎるので、逆に亨が目立ったりしますね。
松井:浦は話の中心になりますから、舞台上で象徴的な部分が衣装で分かるように……というところはあるかもしれません。
ーー今回の公演は、どんなストーリー展開になるのですか?
松井:話の始まりとしては、僕が目を覚ました時に見たこともない場所にいて、そこで浦と出会います。ここはどういう場所なのかということを浦から聞いて、罪人たちが送られてくる月の監獄だということを知ります。僕自身は何者なのかということが記憶にないので、何も答えることができないんです。記憶がなくて自分の名前も分からない。そんな中でも、罪人ではない浦がこの場所にいるのはおかしいと感じます。
月の監獄にいる人物の中で、最後まで立っていた者だけが地球に帰ることができるので、無銘は浦こそが地球に戻るべき人物だと考えます。浦を地球に帰すためにそこに君臨している王や、地域をまとめている人物がいる中でいろいろなことに巻き込まれていきます。物語は浦を中心にして進んでいきます。
(左から)松井勇歩、田中亨、近藤頌利
ーーそうすると田中さんと松井さんは、役柄上、密な関係にあるんですね。
田中:僕は(松井)勇歩くんが演じる無銘に特に関わっていくんですけれど、無銘は記憶を失っているので、どこにいるかも分からない状態です。ですから僕がサポートして導いていくのですが、時には無銘に引っ張られていったりすることもあります。
ーー近藤さんはチンギス・ハーンとして2人にどう関わっていくんですか?
近藤:王ですから、いっぱい人を従えて「俺こそが一番だ」という感じですね。物語の世界に緊張感をもたらす一番強大な力を象徴するキャラなんです。とりあえず最後までかっこよくて、台詞に名言が多いらしく、「名言製造機」と言われました。
松井:ツイッターでいったら、ハッシュタグになりやすいような名言をたくさん言うんじゃないかな。
ーー公演のタイトル『カーニバル!×13』にすごくインパクトがありますが、どういう意味があるのですか?
松井:タイトルに関しては直感で決めました。メンバーと話し合って、こういうタイトルにしたいという話を受け、「これでいこう!」という感じで決まりました。カーニバルがなぜ13個あるのかということについての意味はいろいろあるのですが、この作品を観た上で感じてもらいたいなと思います。
近藤:このタイトルの何が大変かというと、文字数がとられてしまうので、略さないとツイッターに書けないんです。だから「カーニバル×13」と略したほうがいいかなと。
近藤頌利
松井:「なんだこれ?」と気になってもらいやすいタイトルでもあるなと思っています。
ーーチャンバラエンターテインメントと謳っていますが、どういう雰囲気の舞台になるのでしょうか?
松井:エンタメ色の強い作品を僕たちはずっとやってきたので、Patchの良さであるエンタメの強さを出したいと思っています。また、劇団Patchを作った末満健一さんが殺陣をやっていらっしゃることもあって、殺陣を教えてもらってきた強みもあります。劇団メンバーの星璃(しょうり)は外部の公演でいろいろ学んだ上で、殺陣師としても活動しているので殺陣つけもメンバーが行います。そういうこともあって、今回は殺陣があるチャンバラにエンターテインメントを融合させて、チャンバラエンターテインメントというのを押していこうと思いました。
ーー華やかでアクティブな舞台になりそうですね。
近藤:「ザ・エンターテインメント」になると思いますよ。
松井:今の時点で出来上がってきている台本を読むと、物語の前半で舞台上に大人数が集まるシーンが多いので、最初から派手に舞台を彩っていくんじゃないかなと思います。「祭りにしたい」というのは、ずっと言い続けていることですので……。
ーー皆さんはそれぞれどのように役を演じていきたいですか?
田中:今まではどちらかというと、受け身の役が多かったんです。でも今回は、記憶がなくなった無銘を引っ張っていくところがありますしストーリーを動かすところもあるので、今までにないカラーが出せると思います。キーパーソンとしていっぱい失敗しながら頑張って、Patchらしい作品にできればと思っています。
近藤:いろいろな現場で役を演じさせてもらっていますが、今まではどちらかというと陽気なキャラが多かったんです。でも今回のように、僕よりももっと年上の方が演じるような役は初めてですから、貫禄を出すために鍛えなければいけないと思っていますし、無駄な動作をなくしたいですね。
松井:近藤は殺陣経験が少ないけれど、今回は殺陣がめちゃくちゃ多いから、そういう意味でもバチバチに鍛えてもらえそうだね。
松井勇歩
近藤:それが楽しみでもありますし、ステップアップできる1カ月にしたいと思うので、外部出演する時と変わらない気持ちでやっていきたいです。
松井:今回は責任のあるポジションを任されるのが初めてというメンバーが多いので、劇団の1期生として引っ張れるところは引っ張りつつ、いい意味でやりやすいように環境作りをしたいと思っています。ずっと思っていることではあるのですが、Patchは自分たちのホームだから挑戦してほしいし、稽古場ではたくさん失敗してほしい。細川さんはそういう環境を作ってくれる演出家なので、僕も失敗しようと思いますし、これだけビジュアルを美しくしていただいたので、舞台上に立った時に、立ち回りで衣装の良さを最大限活かせるように努力しようと思っています。
ーー最後に、ファンの皆さんへメッセージをお願いします。
近藤:僕は前回の公演に出演できていないので、今回が1年ぶりになります。全員集まった時のパワーをお客さんに届けたいですし、常にステップアップをしていかなければならないのが役者なので、「前回よりこういうことができるようになっている」と細かいところに注目していただきたいです。Patchが好きな人には「楽しかった」と思ってもらえたらいいし、Patchが初めての方には「Patchっていいな」と思ってもらえるような作品にしたいです。
田中:Patchらしい作品ができそうな予感がすごくしていて、Patchを知っている人も知らない人も十分楽しめるような作品をこれから1カ月間で作り上げていけたらと思っています。ワクワクした気持ちで劇場に来ていただければと思います。
松井:頭をからっぽにして観に来ていただいて存分に楽しみ、観終わったあとに「私、何を観たんだろう。でも気分が高鳴ってるな。明日も頑張ろう」と思ってもらえるようなエンタメを送りたいと思っています。お客さん自身が祭りに参加しているんじゃないかと思うぐらい楽しくて派手な、でも心に残るような作品をお届けしたいと思っていますので、ぜひ劇場でお待ちしております。祭りです!
(左から)松井勇歩、田中亨、近藤頌利
取材・文=秋乃麻桔 撮影=iwa