「百演」プロジェクト演出の倉本美津留＆出演陣が語る～喜劇・コントを連続上演

レプロエンタテインメントによる新たな企画が始動する。今回のテーマは“コント”。それも一般公募した喜劇・コントを連続上演するというプロジェクトは「百演」と名付けられた。3～5分のコントを、計100作品上演するのが目標なのだそう。

8月末で締め切られた第1回応募で集まった120作品のうち、10作のコントが上演される。応募作の選考と演出は、放送作家や演出家などマルチに活躍する倉本美津留が担当。レプロエンタテインメント所属の、碓井玲菜、寺本莉緒、秋谷百音の3人が出演する。以下コメントのとおり、初めてのコント出演に意欲的だ。また、本企画について演出を担う倉本美津留に話を聞く。

――選ばれた10作のコントは、全体的にかなりハイレベルな印象を受けました。

倉本　まず、どれだけの応募があるのか心配でしたね。それと、応募作品のクオリティーにしても、どれだけのレベルのものが届くんだろうと不安でしたが、集まった作品を読んでホッとしました。

そもそもは、この3人の女優で何かをやるということが先に決まっていて、話し合いのなかで脚本を一般募集するという話になったんだけど、コント経験がないということで少々心配していましたが、実際に稽古を進めて安心しました。僕が指摘するところを、ちゃんと直していこうと努力している姿が見えますから。「芝居の間」と「笑いの間」は違うんだということを、彼女たちに実感してもらいたいと思いながらやっています。あの子たちの年齢で、3人だけという環境でいろんなコントをできる経験って、まずないと思うんです。ものすごい鍛錬の場になっていると思いますよ。

――11月22日と12月も上演が決定しています。

倉本　ムチャクチャでしょう（笑）。まさかこんなコンスタントにやるなんて。100作品って……、そんなこと言ってなかったと思うんですけどね（笑）。ほんまにやる気なんかなと思うほどの強行スケジュールです。知らないうちに、どんどん巻き込まれているんですよ、僕。騙されたんとちゃうかな（笑)。

でも、一般応募なんで、今後もどんどん送ってきてほしいです。上演作品に選ばれた人はよりもっと、選ばれなかった人も、あきらめず送ってきてほしいです。

この企画は、彼女たち3人の女優を鍛える意味もありながら、コントを書ける人が登場してきてほしいという願望もあるんです。笑いやコントが好きで、何か表現したいなら、まずは書いてみたらいいと思います。今回の応募作品は、作者の名前や経歴などを確認しないまま、本だけを読んで選考しています。書くことと演じることはもちろん違うけど、遠慮せずにどんどん笑いに挑戦してほしいです。笑いのことを考える人が増えれば世の中がおもしろくなりますからね。

＜碓井玲菜コメント＞
現場がタイトな映画やドラマでは、細かい演出をつけてもらえることがそんなにないのですが、演出が加わり面白くなっていくことの楽しさを実感しています。やればやるほど、稽古の楽しさが増していっています。舞台の出演は初めてですが、発見や驚きがたくさんです。まだ完成度は50％未満なので、燃焼するまでやりたいと思います。

＜寺本莉緒コメント＞
台本をもらったとき、どのコントも「面白い！」と思ったんです。でも、稽古に入ると途端に答えが見つからなくなりました。「どうすれば面白くなるんだろう」と悩みましたが、倉本さんの演出で強調するところや視点の置き方のヒントをいただいて、新しい価値観を見つけたような気がします。コントの楽しさにハマりそうです。

＜秋谷百音コメント＞
芸人さんと共演させていただいたことはありますが、それは芸人さんが真面目な演技をする作品でした。だから、私が今回のような短いコントを演じるのは初めての経験です。90分や120分のお芝居なら、ひとつの作品のなかでテンションをつくっていくんですが、コントはどれも3分から5分くらい。切り替えつつ最初からトップスピードでいくしかなくて、その感覚がむずかしいけど新鮮です。

撮影・取材・文／田中大介