【『RIZIN.20』『BELLATOR JAPAN』大会直前見所特集コラムVol.4】12・29 ベラトール・ジャパン RIZIN提供の第2部も見どころ満載
『BELLATOR JAPAN』が12月29日(日)、さいたまスーパーアリーナ(埼玉県)で開催される。
■“お祭り男”矢地祐介
<RIZIN提供試合>[RIZIN MMAルール : 5分 3R(71.0kg)※肘あり]矢地祐介 vs. 上迫博仁
3年前の16年大晦日、フィリピンのマリオ・シスムンド戦で矢地祐介はRIZINデビュー戦に臨んだ。修斗環太平洋王座、グアムの団体PXCのベルトを手土産にRIZINへやってきた矢地は、開始から向かうとヒザを当て、倒れたシスムンドが立ち上がったところへさらに跳びヒザを見舞って19秒ノックアウト。
「(年末のさいたまは)ガキの頃からの夢だったのでマジで嬉しい!とりあえずRIZINに出まくって有名になります!」と後の“お祭り男”キャラを予見させるマイクとともに、鮮烈なRIZINデビューを果たした。
続く17年にはダロン・クルックシャンク、北岡悟、五味隆典と先行する実力者たちを次々に撃破。特に大晦日の五味戦ではダウンを奪われ大ピンチとなるも、三角絞めで逆転の一本勝ち。試合後「矢地くん、これから日本のRIZINを引っ張って、UFCとかに負けないように頑張って」と中量級エースを継承するかのように五味からエールを送られた。
■5連勝から一転3連敗へ
18年も元UFCファイター、ディエゴ・ヌネス(ブラジル)との初戦をクリアし、これでRIZIN5連勝。五味がPRIDEで成し遂げた10連勝の更新が期待されたが、ここから矢地に悪夢が襲い掛かる。8月の「RIZIN.12」でメインに選出を受けた矢地だったが、“ヴァンダレイ・シウバの刺客”ルイス・グスタボに2R KO負け。
再起を懸けた昨年大晦日のジョニー・ケース(今年のライト級GPで準決勝に進出)戦でもカットによる2R TKOで敗れ、復活はならず。五味に日本を託された1年前から一転、バッドエンドでの年越しとなってしまった。
明けて今年19年には朝倉未来との因縁が勃発。矢地が敗れたグスタボも降し、RIZINデビューから4連勝とすでに立場を入れ替えたかの朝倉は「メリットが無いけど俺が階級を上げてやってやる」と言い、矢地も「化けの皮を剥がしてやる」とこれに呼応。
試合は日本人同士のヒリヒリとした緊張感の中で行われ、しかし朝倉が優位に進め、終了間際にダウンを奪って判定での完勝。矢地はこれで3連敗となってしまった。
■矢地vs上迫のサバイバルマッチ
そんな“後がない”とも言える矢地に対し、対戦相手の上迫博仁も勝利で明日を切り開かなくてはならない立場にいる。RIZINデビューのイーブス・ランドゥー戦こそ2R TKOで勝利したが(19年8月)、ライト級GPではルイス・グスタボに初回TKO負けで1回戦敗退(10月)。今回再浮上のチャンスを得て、対戦発表会見では「矢地選手はそんなに強くないイメージがある。RIZINに作ってもらったニセモノというか、ヒーローというか。そんな感じがします。倒してあげたいですね」と挑発を辞さずやる気を見せる。
しかし前回の朝倉戦で挑発合戦は懲りたという矢地は取り合わず、「俺らしく、お祭り男らしく楽しみたい。上迫選手はすごくいい選手なので、2人でよい作品が作れたらいいなと思ってます」と自身のペースに終始した。
大晦日に頂点が決せられるRIZINライト級において、生き残りを懸けた再びヒリヒリする一戦。自らの手で、RIZIN2020年の戦いを掴むのは矢地と上迫、どちらとなるか。2人の戦いは29日第2部のメインとなる。
■浅倉カンナ、復活の連勝へ
<RIZIN提供試合>[RIZIN 女子MMAルール : 5分 3R(49.0kg)※肘あり]浅倉カンナ vs. ジェイミー・ヒンショー
浅倉カンナが女子スーパーアトム級グランプリを制し、RIZINのニューヒロインに輝いたのが2017年末。翌年から追われる立場へと変わり奮闘したが、18年の大晦日は浜崎朱加と初代RIZIN女子スーパーアトム級王座を懸け対戦するも敗退。明けて19年はDEEP JEWELSで前澤智を降すも山本美憂に判定負けと受難の時期を迎えた。しかし8月にはアメリカのレスリング・リオ五輪候補アリーシャ・ザペテラを接戦の末に降し、現在は復活の途上にある。
「BELLATOR JAPAN」第2部セミファイナルに選ばれた浅倉が迎え撃つはアメリカの老舗MMA団体「KOTC(キング・オブ・ザ・ケージ)」のアトム級王者ジェイミー・ヒンショー。KOTCのアマチュア大会から勝ち上がってプロとなり、キャリア初期は黒星が先行したが、浅倉と判定勝負を演じたメリッサ・カラジャニスにもチョークで一本勝ちを収めており、現在は3連勝と勢いでは浅倉を上回る。
18日に行われた公開練習では「いろいろありましたがメンタル部分では最強かなと思っている」「前回打撃で試合をして自信になったので、今回は打撃も寝技も上手く混ざればいつもと違う自分が出せると思います」とコメントを発した浅倉。連勝をマークし、来年をヒロイン返り咲きの年とするべく繋げることはできるか。
■ストロー級世界最高峰の一戦
<RIZIN提供試合>[RIZIN MMAルール : 5分 3R(53.0kg)※肘あり]越智晴雄 vs. ジャレッド・ブルックス
ストロー級世界最高峰の一戦が再び行われる。8月の「RIZIN.18」で組まれた越智vsブルックスの一戦は、開始直後のバッティングにより越智が頭部から出血し、わずか10秒でノーコンテストに。
レスリングをベースに14年8月プロデビューしたブルックスはそこから驚異の13連勝。スラムも繰り出すパワーを活かしたパウンドを得意とするブルックスに対し、越智も切れ味鋭いタックルと打撃を併せ持ち、今度こその名勝負が期待されている。
初参戦となった18年9月の「RIZIN.13」で、越智はDEEP王者としてパンクラス王者・砂辺光久との日本人ストロー級頂上対決に臨み、左フックからのサッカーボールキックで衝撃のKO勝利。インスタライブでは得意の熱唱をたびたび披露しており、独自の“越智ワールド”を繰り広げてもいる。前回の鬱憤も踏まえ、両者が爆発を期する一戦だ。
■“K-1の申し子”平本蓮、あいも登場
<RIZIN提供試合>[RIZIN キックボクシングルール : 3分 3R(68.0kg)]平本蓮 vs. 芦田崇宏
<RIZIN提供試合>[RIZIN女子MMAルール : 5分 3R(49.0kg)]アンディ・ウィン vs. あい
また、アマチュアで100戦95勝という戦績を残し、K-1甲子園優勝を経てプロデビュー、2018年には日本人として初のゲーオ・ウィラサクレックKOという快挙を成し遂げた平本蓮が年末の舞台で再デビュー。K-1を離れ、総合格闘家でDEEPの元フェザー級王者・芦田崇宏と対戦する(キックルール)。平本がケージという異なる舞台においてもその輝きを変わらず発揮するのか、あるいは芦田が念願を叶えて立つ大舞台で平本の野望を砕くのか。
女子スーパーアトム級で新たなヒロインとして期待されるあいは前回8月のタバサ・ワトキンズ戦に続き、再び国際戦でアンディ・ウィンと対戦する。ウィンはRIZIN初戦の山本美憂戦(16年大晦日)で腕十字を極め勝利した選手。再戦では美憂に返り討ちとなったものの、下からのサブミッションに対しまだ隙の見られるあいには油断ならない相手である。昨年末に仮面女子の川村虹花を破ってデビューして1年、無敗記録を5に伸ばし、来年待つ上位陣との戦いへ繋げることはできるか。
大会の試合順も発表され、「BELLATOR JAPAN」は2部構成の全14試合。RIZINvsBELLATORの対抗戦、ベラトールのスーパースターMVP(マイケル・“ヴェノム”・ペイジ)にマイケル・チャンドラーの来日、そしてヒョードル日本ラストファイトと第1部から見どころが盛りだくさん。31日の「RIZIN.20」と合わせ、見逃せない2日間となる。
対戦カード