辻仁成『ピアニシモ』がオンライン朗読劇で6月13日(土)23時から生配信 村井良大、米原幸佑、小泉萌香らが出演
(上段左より)元吉庸泰、若宮亮、板倉光隆(中段左より)村井良大、米原幸佑、小泉萌香(下段左から)吉田能、小野川晶、祁答院雄貴
元吉庸泰、米原幸佑、板倉光隆による演劇ユニット、PUBLIC∴GARDEN!(パブリックガーデン!)のオンラインリーディング公演vol.2『ピアニシモ』が、2020年6月13日(土)23時よりMatch-ing!にて生配信される。
今作はすばる文学賞を受賞した辻仁成の『ピアニシモ』を現代版・朗読劇に書き下ろし上演されるオンライン朗読公演で、静かな夜の世界の中、孤独な少年の心を描写した青春物語となる。
出演者は村井良大、米原幸佑、小泉萌香、祁答院雄貴、小野川晶(虚構の劇団)、若宮亮(エムキチビート)、板倉光隆、ピアノ演奏は吉田能(あやめ十八番)が務める。
生配信に先立ち、6月12日(金)にオンラインゲネプロが行われた。ゲネプロ前に前回の読『芥川龍之介 地獄変』の際に初の試みであったオンライン上の囲み取材と全出演者とのフォトセッションを実施、取材には村井良大、小泉萌香、そしてPUBLIC∴GARDEN!に所属する米原幸佑・板倉光隆・元吉庸泰の5名が登壇し、作品への思いと意気込みを語った。
本作の上演に至った経緯を、上演台本・演出の元吉は「少し前に読『芥川龍之介 地獄変』というZoomを使ったリーディング公演を行い、お客様が安全な状態で気兼ねなく物語を届けられるという事に可能性を大きく感じた。地獄変の初週が終わった後、辻仁成さんに『ピアニシモ』をやりたいとLINEをしたところ、フランスにいる辻さんから直接電話がかかってきた。孤独とどうやって闘っていかなければならないか、どうやって人と手をつながなきゃいけないかがとてもセンセーショナルに詰められた本だからこそ、このタイミングでこの作品を届けたいと思った。梅雨のお話を梅雨にできる幸せを感じていきたい。」と語った。
前作との相違点、今後の展望をメンバーの板倉は「前回の『地獄変』は舞台で一度地獄をみながら公演を行った作品、オンラインリーディングでもその時の痛い感覚があった(笑)今回は完全に新作。『ピアニシモ』という素敵な作品を村井さん、小泉さんはじめ素敵なキャストとともに公演できるということがとても嬉しい。」とオンラインでも新作の公演ができること、モノ作りの喜びを語った。
初対面の共演者とのリモートでのお芝居することについて小泉は「オンラインで稽古すること自体が初めてでラグなどが心配だった。みなさんカメラでしか顔を合わせたことはないけど、皆さんに引っ張っていただいている。頑張って追いつこう、足を引っ張らないように頑張ろうと思っている」と本番前で緊張している様子と共に意気込みを語った。
主演の村井は「Zoomの生配信は今回が初めて。生のお芝居に触れる機会が久しぶりですごく緊張するが、この緊張感を待っていたんだと実感した。また、芝居をするときに台本を読んで、こういうことしたいけどできないと悔しい思いをしたこともZoomだと意外とできる。新しい形の演劇を発見できた。このチームに参加できることが幸せ。この作品をお客様に早く届けたい、皆様にお届けできるように頑張りたい」と語った。
パブリックガーデンのメンバーである米原は「前回は本当に突飛な芝居したいという意気込みだけで、『地獄変』を急遽10日というスピード感でやらせていただいた。台本があって、物語があるということが役者にとってどれだけ幸せか前回かみしめた。今回パブリックガーデンとして新しい物語を届けられること、素敵なメンバー初めましてのメンバーと一緒に物語ができること、たくさんの方に安全に見てもらえることが一番うれしい」と前回の公演で感じたことをかみしめながら今回の意気込みを語った。
今作も前回に引き続き、生配信、生演奏が見どころで、生演奏はシーンに合わせての完全即興演奏を行なっており、繊細な音から効果音までもピアノのみで奏でている点に注目したい。
透とヒカル。
どんな時もふたりは共にあり。ふたりは縛り合う。そうやって生きてきた。ふたり。
転校を繰り返す透は、高校3年のある日、その学校へ転校をしてきた。
澱んだ水たまりが日を受けて、甘酸っぱい匂いのするその場所で、彼はいじめに遭う。
ヒカルと共に灰色の街を彷徨い、マッチングアプリで出会ったのは地獄にいるという少女だった。
これは、とても柔らかく、殺されていく世界に生きる、ふたりの、物語。