気鋭のフルリモートエンタメ集団「劇団ノーミーツ」主宰3名にインタビュー 「本当に会わないんですか?」
「劇団ノーミーツ」の主宰3名による鼎談が実施された、12月のある日。奇しくも2020年の流行語大賞に “3密” が選ばれた。
「劇団ノーミーツ」の劇団名は、「NO密」であり「濃密」であり、そして「NO MEETS」であるというトリプルミーニング。彼らはコロナ禍の中で生まれたフルリモート劇団であり、稽古から上演まで、一度も会わずに作品を作る。にわかには信じられない衝撃の活動方針である。
これまでSNS上に20作品の「140秒Zoom演劇」作品を投稿し、累計再生数は3000万回を突破。発足から2ヶ月足らずで上演した第1弾長編リモート演劇『門外不出モラトリアム』、第2弾『むこうのくに』と合わせた2公演では、有料制にもかかわらず12,000人以上を動員した。2020年4月9日に旗揚げ以来各方面からの注目を集め、自作品の制作だけではなく、面白法人カヤックや梅田芸術劇場、HKT48など様々な企業・団体とのコラボレーションやプロデュースに幅を広げ、2020年ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSクリエイティブイノベーション部門ACCゴールドを劇団として受賞している。
そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの劇団ノーミーツを立ち上げから支え、押し上げてきたのは、広屋 佑規(主宰:企画・プロデュース)、林 健太郎(主宰:企画・プロデュース)、小御門 優一郎(主宰:脚本・演出)の3名だ。劇団の成り立ちからこれからの展望まで、エンタメの波頭を切る彼らに想いを語ってもらった。なお……当然ながらこの鼎談もZoomである!
広屋 佑規(主宰:企画・プロデュース)、林 健太郎(主宰:企画・プロデュース)、小御門 優一郎(主宰:脚本・演出)
コロナで仕事がゼロに。それでも何かできないか?と顔合わせから4日で旗揚げ
――2020年4月の劇団ノーミーツ結成以前の、みなさんの演劇との関わりについて教えてください。
広屋 佑規:ノーミーツの前は、没入型ライブエンタメカンパニーの「Out Of Theater」の代表をしていました。ジャンルでいうと「イマーシブシアター」に近いものですね。公共空間を劇場にするというコンセプトで、あらゆる街中やレストランや地下空間などで、これまでと違った形で演劇を楽しんでもらうような活動をしていました。
林 健太郎:自分は現在も映画会社で勤めていまして、社内外で映画を中心とした映像制作及びプロデュースをしています。演劇との関わりでいうと、昨年からノーミーツの立ち上げくらいまでは劇場の営業社員をやっていて、のモギリなど現場で働いていました。劇場勤務になるまでは、完全に鑑賞者として見る側でした。
小御門 優一郎:僕は3人の中では割と “演劇畑” の出身ですね。学生時代から慶應の創像工房っていう演劇サークルにいて。在学中に「21g座」っていう劇団を立ち上げて、その頃から脚本演出っていう立場でやっていました。林くんとはもともと大学の同級生で、公演見に来てもらったりとかしていましたね。
2017年から3年半くらい会社員として松竹にいて、ずっと歌舞伎の関係部署で興行の宣伝などに携わっていました。当時も「21g座」の活動は仕事しながら続けていて、今年の2月にも南阿佐ヶ谷の小劇場で公演やったりしていたんです。今思うと、そのころがギリギリ生の劇場公演ができていたなって時期ですよね。
――では、そんなみなさんの出会いのきっかけは?
広屋:僕と林くんは、数年前からエンタメ仲間みたいな感じで交流があったんです。この春にコロナでエンタメ系の仕事がすべて無くなった時に、ただ自粛するだけじゃなくて、オンライン上で何かできないか? って思って。それで、林くんにZoomを使って声をかけたのが始まりです。
林:あの頃、クリエイターたちに共通することだと思うんですけど、コロナ禍の中でどうやってモノづくりを続けていったらいいかとみんなが考えていて。それでも、演劇分野での新しい創作スタイルはまだ追求されていない印象がありました。そんな時に(広屋さんから)連絡があって、2人で話していく中で「Zoom演劇」ってワードが出てきた。それでその場で小御門に連絡して、3人でそのままブレストして。それで翌日か翌々日には……「直近で一本作ろうか」って。割と、勢いのままに始まった第一歩だった気がします。
小御門:日付が変わったくらいの時間に、突然「今ヒマ?」ってLINEとともにZoomのリンクが送られてきて。その時、Zoom使うのまだ2回目くらいだったんですけど(笑)入ったらそこに広屋さんって人がいて、「あ〜はじめまして」って。
林:自分もその日が初めてZoomを使った日で、まだ全然慣れてなかったですね。初めてZoomのリンクを送りつけた相手が小御門だったっていう(笑)。
広屋:今振り返ると、あの時3人でZoomに集まって、自己紹介も早々によくそんなにブレストしたなって思いますね。その日が4月5日で、4月9日にはノーミーツとして初の短編作品を発表したんです。とにかくやってみようと思って。ちょうど4月7日に緊急事態宣言が発令されたので、まさにその渦中というタイミングでした。
小御門:最初の短編は、ちょっと事故映像っぽい感じを狙った4人芝居で。Zoom飲みしてると、電気が勝手に消えたり、後ろにかかってる服がひとりでに落ちたり(実際には糸で引っ張ってるんですけどね)するんです。当時の我々が無名ということも幸いしたのか、リアルだか作り物だかわからない感じが生まれて、多くの人に見てもらうことができました。
短編第1作「ZOOM飲み会してたら怪奇現象起きた…」/youtubeの再生回数は40,000回を超えている
目指すところは三者三様。純粋に「やりたいかどうか」で選んできた
――その後、劇団のメンバーはどのように増えていったんでしょう?
小御門:最初は、それぞれが活動していた分野で一緒にやっていた人たちからですね。ノーミーツ所属俳優の2人は、僕がもともと一緒に演劇やっていた仲間です。「オンラインの演劇作るから実験付き合ってくれないか」って、結構気軽にというか……雑に誘ってましたね(笑)。
広屋:スタッフでは、まず僕が「Out Of Theater」で一緒に活動していたメンバーに入ってもらいました。結成後すぐに人が足りないと感じたので、4月の中旬ごろにはもう声かけて。第1作目への反響がありがたいことにすごくあったので、この企画はもっと広がりを生むんじゃないかってことを伝えながら、やってみようよって。
―ー「劇団ノーミーツ」って名づけたのは誰ですか?
小御門:その栄誉は僕がいただいていいんでしたっけ(笑)?
広屋:いや実は……旗揚げを発表する1時間前くらいまで、劇団名は「劇団ノーミツ」だったんですよ。そこへ、小御門がアイデアを出してくれたんだよね。
小御門:直前まではダブルミーニングの「濃密」「NO密」だったんですけど。本番前にシャワー浴びてたら「NO MEETS(会わない)」を足したら語感もよくなるし、トリプルミーニングになっていいな! って突然思い付いて(笑)。それで「ノーミーツにしない?」って言ったら、2人とも快諾してくれまして。
――なるほど(笑)。では「劇団ノーミーツ」としてのテーマや、大切にしているものについて教えていただけますか?
小御門:それはここにいる3人でも、目指すところや大事にしているものってそれぞれ違うんじゃないかなって思いますね。
広屋:春頃は、とにかくこの状況下でも “自宅で、会わずに演劇を作る” っていうところにみんなの強い芯がありました。でも、それから8ヶ月くらい経って、今はすごく活動の幅が広がってきて。
小御門:僕は脚本演出として、中身・内容を作る担当だと思ってるんですけど。まず作品の同時代性は大事にしています。“今” それを見る価値・意味があるかという視点です。
それから、“会えない” という物語上の大前提ですね。そこを強調することで、やっぱり人って誰かと会いたいし誰かと繋がりたいものだよなっていう事実が、より見ている人に深く刺さる作品になると思う。
第一回公演『門外不出モラトリアム』【予告編】/第一回公演はリモート授業のみで卒業を迎えた大学生の姿を描いた
林:自分は、オンラインという枠組みの中での “新しいエンタメの形の追求” に重きを置いていますね。
これまでノーミーツでいろんな挑戦をしてきましたけど、まだ1〜2割程度しか表現しきれていないというか。まだまだ新しい分野の人たちとコラボレーションする余地はあるし、テーマとして描ける範囲もたくさんある。挑んでみたいテーマや表現が思いつく限り、この劇団をやる意義はあるんじゃないかと思っています。
広屋:ノーミーツは、企画や公演を決める判断基準として、自分たちが “やりたいかどうか” という点をすごく大事にしている集団です。仕事のようにある種義務感を持って「言われたからやる」のではなくて、純粋に自分たちがやりたいかどうか、主体性で推進する。メンバー内での合言葉ではないですけど、「(それは)意義深いか」っていうのを、議論するときにいつも念頭に置いているところはありますね。
林:基本は、誰か一人でも、面白い!やりたい!という人がいればやろう、というスタイルですね。
ノーミーツが考える「演劇」と「オンライン演劇」
――オンライン演劇は収録・編集したものを配信するというスタイルもあると思いますが、ノーミーツの長編作品は生配信で発表されていますね。生で上演することへのこだわりがあるのでしょうか?
小御門:そうですね。ライブエンタメの醍醐味のひとつに、サーカスを見ながら「空中ブランコから落っこちないかな」ってヒヤヒヤするような感覚があると思うんですよ。自分が見ている回は失敗するんじゃないか、っていう緊張感が面白みに繋がっていると思っていて。
実際に生でやってみたら、「回線が途中で落ちませんように」とか、また別のヒヤヒヤもあります。舞台と同様にアドリブを入れる役者さんもいますし、意外とリモートでもライブの緊張感は再現できたかなって手応えを感じていますね。
――観劇するお客さんはどんな層が多いですか? 従来の演劇作品とはちょっと違う広まり方をしているようにも感じられます。
広屋:もちろん演劇好きな方に見てもらいたいなって思ってます。でも現状を分析すると、広告業界やIT業界、エンタメ業界の中で流行に敏感な方々に面白がってもらってるような印象です。最近こそ演劇業界の方に観てもらう機会も増えましたが、はじめの頃は観劇ファンというより、SNSに親しんでいる方が多かったですね。
小御門:長編の観客層でいうと、それまで芝居を見る習慣がない方がメインな印象はありますね。チャット欄で「観劇って初めてです」みたいなコメントがあったりして。
第二回公演『むこうのくに』より/チャット欄では観劇しながら自由にコメントを投稿可能で、観客同士のゆるい交流が生まれる。作品に集中したい時は非表示にすることも可能だ。操作については、作品冒頭に丁寧なチュートリアルが付いているのでご安心あれ
第二回公演『むこうのくに』より/第二回公演では技術チームが創り上げるオンラインの世界が話題となった
――それはなぜだと思いますか?
広屋:やっぱり、画面で演劇を見ることへの先入観やハードルが無いというか。演劇を好きであればあるほど、オンライン演劇に対して「それって本当に演劇なんだっけ」って思う方もいらっしゃると思うんです。演劇といえば生モノで、役者さんが舞台に立って、それを同じ時間に集まったお客さんが同じ劇場内で共有するもの……そういう感覚が頭にあるほど、オンライン演劇は「演劇じゃない」って考える人も多かったのかなと。
でも実はそこが、ノーミーツが突破していきたいところで。工夫を凝らして、自宅にいながらでも観劇体験ができるように作っています。そういうポジティブな口コミなどが広まっていくことで、徐々に理解を得られてきているように感じています。
――おっしゃる通り、多くの場合は “同じ空間・時間で、目の前の人間を見る” ことが観劇だとされていると思います。そこに対してノーミーツの打ち出す、オンラインでも「これは演劇だ」と言える拠りどころって何なのでしょう?
小御門:その回を見ているお客様が、“今演じられている同じモノを同時に見ている” という感覚が、なんとかオンライン演劇を演劇たらしめているなって思いますね。オンラインでは劇場も無く、誰もがバラバラの場所にいる……それでも、役者は同じ物語を演じていて、お客様もそれをリアルタイムで見ている。お客様同士はチャット欄でコメントを交わし合う事で、同時に同じものを見ているという意識を持てる。それが演劇体験と言えるんじゃないかと考えています。
チャット欄は、第1作目の時は「まぁあったほうが面白いかな」くらいの気持ちで実装したんですが、実際にやってみたら、無くてはならない要素でした。それ以来、チャット欄込みで楽しむものだと考えて作るようになりましたね。
――チャット欄、盛り上がってますよね。YouTubeの生配信と近いものを感じるのですが、その差異について意識されることはありますか?
林:演劇として発表するぞ、という意識はあんまりなくて。ジャンルをくくらないと受け取りづらいので今は「オンライン演劇」って呼んでいますし、演劇的な面白さは追求したいと考えていますが、作品のジャンルが何なのか?というのは受け手の方に委ねているところがありますね。自分たちの作品が「演劇的とは何か」を考えていただくきっかけになればと思っています。
2020年11月25日には、オンライン劇場「ZA(ザ)」をオープン。第三回公演がこけら落とし公演となる
いろいろな業界のメンバーが集まる「ギルド」としての劇団へ
――これまでに作品作りの中で、苦労したことも?
小御門:劇作でいうと、毎回手探り状態です。もちろんオンラインならではの面白さがありますが、それでもやっぱり、直接会えないことへの大変さは感じる。稽古場の雰囲気作りも特殊になりますし、ストーリー作りでも、場所性を表現しづらい。
全部、登場人物が通信している体で話さなきゃならないんで……例えば、独りでぼーっとしてるところに通りかかった誰かが話しかける、みたいなシーンも作りづらいんですよ(笑)。
林:興行面でいうと、長編第1作目から全く予想ができなかった。団体として有名なわけでもないし、最初はこの代で成立するかも不安でしたね。ただ、オンライン演劇の特徴として、プロモーションが多角的にできるのは強みだと感じたんです。お客さんはオンラインで見てるので、そのままSNSに感想を呟く行為までシームレスに繋げられる。そういうオンライン公演ならではの仕組みと、SNS上の施策をいかに活かし合うかをひたすら考えました。
――これまでに、図夢(Zoom)歌舞伎や梅田芸術劇場、東宝などとのコラボもありました。カンパニーが成長していくステップのようなものはあったのでしょうか?
広屋:5月の長編第1作『門外不出モラトリアム』を5000人の方に見ていただいて、そこがきっかけかもしれないです。短編を発表する「バズ動画集団」みたいな見え方だった僕たちが演劇公演を興行として成功させたことで、周りの方々からの見方も変わったのかなと。8月には短いスパンで長編第2作目の『むこうのくに』を制作して、前回公演以上の成果を出すことができました。それらの反響で、いろんなお仕事の話をいただいているのかなと思います。
小御門:ありがたいことに大きい興行主さんと一緒に作る機会にも恵まれましたが、でもそれによってノーミーツ自体がガラッと変わることはなかったと思いますね。
林:初期の頃から、規模とか先方のネームバリューにかかわらず、自分たちが作りたい作品でないものは受けないようにしていて。これは、チームとして敷いているひとつの挑戦です。
広屋:ノーミーツは現在22名いるんですが、劇団のことを専門に行うメンバーもいますし、本業がある人もいるし、フリーランスの人も多い。色々な業種、業界のメンバーが志を持って集まっているからこそ、自分たちが本当に面白いと思うものを純粋に作れる環境を目指してるんです。今、ITや広告業界とかでは兼業・副業が推奨されている流れがありますが、エンタメ業界ではまだそこに対して開かれていない印象があります。そういうところも面白がりながら、組織を運営していけたらと思っています。
「劇団ノーミーツ」が9月に立ち上げたエンタメファクトリー「株式会社Meets」
――あの、みなさん本当に……会わないんですか?
広屋:打ち合わせはもっぱらZoomですね。メンバー22人全員で会ったことは一度もないです。“密” になってしまうので。
普段の打ち合わせや運営については別ですが、公演の制作期間においては絶対会わない、フルリモートっていうのを守っています。だから今度の第3回公演の出演者さんにもフルリモートで稽古に臨んでもらっています。今回はその中で新たなオンライン演劇の可能性を探るべく、その中で何ができるかを日々試行錯誤中です。
次回公演のカギは「選択」
――12月に上演される長編第3作『それでも笑えれば』は、どのような作品になるのでしょうか?
小御門:これまではライブ感を味わう代替品としてオンライン演劇の居場所があったかと思いますが、夏頃からは劇場も開いて、少しずつ生のエンタメが復活し始めました。その中で、今回はオンライン演劇ならではの面白さを追求する作品になります。
これまで2回作ってきて、面白さのキーのひとつとなるのは観客とのインタラクション(相互性)だなと。それを踏まえて、次回公演では “お客様の選択によってストーリーが分岐して、展開が変わる” というノーミーツ初のシステムを実装します。観客の選択に役者がリアルタイムで対応していくんです。ストーリーの分岐点に差し掛かると選択肢が掲示されて、大半は多数決で進んでいくんですけど……所によっては、どうでしょう? まさに今、技術チームとも相談しながら作っている最中です。
――作家にとっても俳優にとっても、随分ドSな試みですね!
小御門:ええ(笑)。僕は全ルート書かなきゃいけないですし、役者は全ルート稽古しなきゃならないですし、誰も、幕が開くまでどのルートをやるかわからないっていう難しさはあります。
林:次回公演のテーマは「選択」です。2020年は突然ひとりの時間が増えて、これまでとこれからについて考える分岐点のような年だったと思います。この先夢を追うべきか、それとももう追ってはいけないんじゃないのか、そんなことを考える人も多かったのではないかと。今年の締めくくりに、そんな人の背中を押す作品を届けたいと思っています。
――「背中を押す」というのは……どっちの方向に押すかは、観客の選択しだいということですか?
林:そうです(笑)。右かもしれないし、左かもしれない。
――2020年にこうしてオンライン演劇の劇団を立ち上げたのは、振り返ると皆さんにとって “いい選択” だったでしょうか?
広屋:それはやっぱり最大の、自分にとって良い選択だったんじゃないかと(笑) 。いや本当に。あの時、僕たちはたまたま仕事が止まったりなくなったりしてしまった中で、新しい事にチャレンジするしかない状況だったとも言えます。
一方で、例えば劇場を持ってる会社だったり、従業員がたくさんいたり、新しいものを作るよりも、“守る” という選択肢を選ぶ人もいたと思います。そこに優劣はないというか、そういう、業界や会社を守る側の選択も必要不可欠で、素晴らしい選択だなと思います。
――今後、コロナ禍が収束して以前のような日常・エンタメ環境が戻ってきてからのことはどう考えていますか?
広屋:もしかしたら気持ちよく解散! みたいな選択もあるかもしれませんけど(笑)。オンラインで演劇を観る・作るという文化は、演劇業界に根づいたら長期的に見ると市場が広がることにすら繋がると思うんです。お客様の声でも「地方にいてもお芝居が見られて楽しい」とか、「ご年配の方でも気楽に自宅から観れる」とか……良いところがたくさんあります。
距離が関係しないので、オンラインなら一気に世界を視野に入れた興行の可能性だって広がるんですよね。そういった様々な可能性をこのジャンルに感じているので、僕らのアイデアが尽きない限り、新しいオンライン演劇という形を生み出していきたいと思います。
取材・文=小杉美香