ウィーン・フィル、2021年のニューイヤー・コンサートは無観客で開催 デジタル配信は1月8日スタート
2020年11月に海外オーケストラによる初の日本公演を実現させ、日本の音楽ファンに熱いメッセージを届けたウィーン・フィルハーモニー管弦楽団。彼らのコンサートの中でも最も有名なのが毎年1月1日に行なわれるニューイヤー・コンサートだ。2021年は、オーストリア政府によるコロナ感染予防対策が1月6日(水)まで実施されるため、同一プログラムで開催される12月30日(水)のプレビュー公演、31日(木)のジルヴェスター公演も含め、史上初めて無観客で開催されることになった。
異例の状況で実現する2021年のニューイヤーだが、2010年以来シカゴ響音楽監督をつとめる巨匠リッカルド・ムーティが2018年に次いで3年ぶり6回目の登壇を果たす。1971年ザルツブルク音楽祭でのドニゼッティ「ドン・パスクワーレ」での初共演以来、これまでウィーン・フィルを550回以上指揮し、2011年以来同団名誉会員として現在最も密接な関係にあるムーティならではの気心知れた仲にも緊張感あふれる演奏が期待できる。
2021年の演奏曲目は、「春の声」、「皇帝円舞曲」、そして「クラップフェンの森で」と珍しく横綱級の名曲が並ぶ一方、ニューイヤー初登場では、LP時代のクナッパーツブッシュの豪快な名演で日本にファンも多いコムザークの代表作「バーデン娘」、オペレッタの作曲家として人気の高いカール・ツェラーとカール・ミレッカーの2曲など7曲を予定。
またイタリアと縁の深い「マルゲリータ・ギャロップ」と「ヴェネツィア人のギャロップ」、それにヴェルディの4つのオペラの有名チューンを取り入れた「新メロディ・カドリーユ」は、まるでオーストリアと指揮者ムーティの故国との絆を寿ぐかのようだ。もちろん定番のアンコールも予定されている。
元旦の演奏会でのライヴ収録直後に音声の編集が行われ、すぐさまプレス製造され発売されるのがニューイヤー・コンサートの通例で、2021年は1月8日(金)に全世界でデジタル配信が開始され、同日にヨーロッパのCDショップの店頭に並ぶ。
国内盤での発売はCDが1月27日(水)、ブルーレイが2月17日(水)の予定。CDの音声はフリーデマン・エンゲルブレト率いるベルリンのテルデックス・スタジオ、ブルーレイの収録はオーストリア放送協会(ORF)が担う。
毎年の収録を通じてホールの特性を知り尽くした両者が生み出す鮮明な音声と映像は、たくさんの花で美しく彩られたウィーン・ムジークフェラインの黄金のホールで繰り広げられる音楽の饗宴を生々しく楽しむ贅沢を与えてくれるだろう。ブルーレイには、海外ではTV生中継の休憩時間に放映されるウィーン・フィルのメンバーによる室内楽でつづった映像作品のほか、恒例のウィーン国立バレエ団によるバレエ・シーン付きの特典映像が収録される予定だ。