劇作家・岸田理生の軌跡を追った書籍「岸田理生の劇世界 ―アングラから国境を越える演劇へ」が発売

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2021.1.8
「岸田理生の劇世界 ―アングラから国境を越える演劇へ」

「岸田理生の劇世界 ―アングラから国境を越える演劇へ」


劇作家・岸田理生の軌跡を追った、岡田蕗子著書「岸田理生の劇世界 ―アングラから国境を越える演劇へ」が、2021年1月10日(日)に大阪大学出版会より発売されることがわかった。

現代日本演劇において最も重要な劇作家の一人であるにもかかわらず、これまでまとまった研究書の存在しなかった岸田理生(1946~2003)の劇世界に迫った本書。戯曲以外にも、詩や小説、翻訳、映画、舞台芸術などで多彩な才能を発揮した彼女の姿を追いながら、先行研究で取り上げられていない70年代や90年代、2000年代の作品にも光を当て、検討を行っている。

また、岸田の直筆ノート、日記、手書き台本など貴重な一次資料にあたりながら、その劇世界の変遷を分析。未刊行の初期戯曲『洪水伝説』を収録し、さらに作品リスト、年譜等の充実した資料群なども収録。これから岸田を研究、作品を上演する人には読んで欲しい一冊となっている。

書籍情報

「岸田理生の劇世界 ―アングラから国境を越える演劇へ」

著者:岡田蕗子
出版社:大阪大学出版会
体裁:四六判・上製・488 頁 ISBN978-4-87259-725-7 C3074
定価:本体 4,500円+税
ブックデザイン:松本久木(松本工房)
 
【目次】
・序章 劇作家「岸田理生」を知るために
第一節 先行研究紹介
第二節 岸田理生の歩みと、本書の分析対象に関して
第三節 七〇年代のカウンター・カルチャーとの関係
 
・第一章 未刊行初期作品について─寺山理論の応用と独自の劇世界構築の試み
第一節 劇構造の応用─『夢に見られた男』(一九七七)と『洪水伝説』(一九七七)を中心に
第二節 身体論への関心─『解体新書』(一九七八)と学習ノート「言語」を中心に
第三節 文体の模索─ワークショップ戯曲『凧』(一九七九)と学習ノート「鏡花」を中心に

 
・第二章 近代日本へのまなざし
第一節 「個」であることの肯定─二・二六事件を描く三作品、戯曲『臘月記』(一九七九)、映画脚本『悪徳の栄え』(一九八八)、テレビドラマ脚本『密愛─ 2・26 に散った恋─』(一九九一)を巡って
第二節 『糸地獄』のクロノトポス─初演・オーストラリア公演を中心に
 
・第三章 異なる「言葉」を求めて
第一節 俳優の身体性へのまなざし─『四重奏─カルテット』(一九九三)の演出に関して
第二節 『リア』(一九九七)における「母」を巡って
第三節 『ディスディモーナ』(二〇〇〇)の諸問題─戯曲と演出の対照研究を通じて
第四節 「分有」の概念─『ソラ ハヌル ランギット』(二〇〇一)の演出に関して
第五節 手話という視点─車座の実践と岸田理生の戯曲を通して
 
・おわりに/註/主要参考文献・資料一覧/未刊行戯曲『洪水伝説』/岸田理生年譜/岸田理生が関わった演劇作品リスト/謝辞/初出一覧/索引
 
大阪大学出版会 書籍ページ http://www.osaka-up.or.jp/books/ISBN978-4-87259-725-7.html
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