"フラメンコの革命児"イスラエル・ガルバンが『春の祭典』を神奈川・愛知で披露、傑作『SOLO』も上演決定

"フラメンコの革命児"と称されるイスラエル・ガルバンが来日し近作『春の祭典』を上演する。2021年6月18日（金）～20日（日）KAAT神奈川芸術劇場ホール、6月23日（水）～24日（木）愛知県芸術劇場コンサートホールで公演を行う。併せて、ガルバンの代表作のひとつ『SOLO』を、6月28日 (月) 、 6月29日 (火) 神奈川限定で披露することも決まった。

ガルバンはスペイン・セビリア生まれ。舞踊家の両親の下、早くから頭角を現し、1994年、マリオ・マヤ率いるアンダルーサ・ダンス・カンパニーに入団しスターとなる。1998年、自身のカンパニーを創設し、フラメンコの枠に囚われない斬新な創作を世に問い、世界各地で称賛を浴びている。米NYのベッシー賞、英国ナショナル・ダンス・アワード特別賞などを受賞し、パリ市立劇場アソシエイト・アーティストの契約を結ぶ。近年日本では『SOLO』『FLA.CO.MEN』を「あいちトリエンナーレ2016」で上演。2018年には『黄金時代』が愛知・埼玉で上演された。

ガルバンは、緩急自在なフットワークに富んだステップと無音も含めた音楽との妙なる共振によって、観たことのないような律動、聴いたことのないような音楽を生じさせる。フラメンコの規範に留まらぬ野心的な取り組みによって、スリリングな時空を生み出す。パフォーミングアーツの新たな可能性を切り開く鬼才として熱い支持を集め、再来日が切望されていた。

今回上演される『春の祭典』（2019年初演）は、本年没後50年を迎えたイーゴリ・ストラヴィンスキーの同題曲を扱う。1913年、ディアギレフのバレエ・リュス時代に初演されたこの音楽には、ヴァーツラフ・ニジンスキーを皮切りに、モーリス・ベジャール、ピナ・バウシュといった巨星たちが挑み名作を創出してきた。そうした中、ガルバンはオーケストラ版ではなく、2台ピアノ版と共に踊る趣向で魅せる。

本作では、『春の祭典』全編を2台ピアノの生演奏（ピアノ： 片山柊、増田達斗)と一緒に踊る。音楽プログラム構成は、出演ピアニストの変更に伴い、『春の祭典』のほか予定していた2曲も変更となる。楽曲は近日中に発表予定だ。日本人ピアニストとイスラエル・ガルバンによるオリジナリティあふれる構成となることが予感され、ダンスと音楽の至高のコラボレーションが期待できる。愛知公演の会場はコンサートホールなので、音響が一段と素晴らしいだろう。

『SOLO』は「ダンスとギターと歌の三位一体で構成される伝統的なフラメンコのすべての要素をイスラエル1人で担い、空間と対峙」する（リリースより）。世界各地の劇場のみならず、美術館や屋外の広場でも上演されてきた名作だ。 今回は「昨年6月に移転した横浜市役所の1階、ガラス張りで屋外に面した、吹き抜けの開放感あるアトリウム」で上演し「日の落ちるタイミングで、横浜馬車道の街が夜に移りゆく景色とのコラボレーションをお楽しみいただける予定です」（リリースより）と謳う。惹句に違わぬ特別なひと時を過ごせそうだ。

文＝高橋森彦