『speakeasy podcast』×SPICE連動企画企画、第四回ゲストはGrace Aimiーーオールディーズやヒップホップをチャンプルーして1枚に
Grace Aimi
海外音楽情報専門Podcast『speakeasy podcast』とSPICEの連動インタビュー企画。第四回のゲストは、2020年にデビューしUSのレーベル、キャピトルレコードとのパートナーシップ契約を締結などインターナショナルに活動する、沖縄出身のポップシンガーGrace Aimi(読み:グレース アイミ)。「カラオケに週4回行くことが当たり前」と言うほど音楽が好きな一家で育ち、小さい頃から国内外を問わないポップミュージックやヒップホップ、オールディーズなど、様々な音楽と馴染みが深かったようだ。彼女が受けた音楽的影響は、5月21日(金)にリリースした1st EP「PICNIC」にも色濃く出ている。SPICEではデビューのキッカケや、学生時代に作られた「Friend Zone」などの制作秘話や今後の夢についてのインタビューを抜粋して掲載。多大な影響を与えられた Graceの祖父の話や、彼女のアイデンティティとなる「しまんちゅ」魂については、5月28日(金)18時と6月9日(水)18時に配信される『speakeasy podcast』をチェックして欲しい。
●デビューのキッカケはAwichの「真剣にやってみたら?」●
竹内:日本の音楽も、海外のポップミュージックにも影響を受けているとのことですが、ヒップホップとはどうやって出会ったのですか?
Grace:お兄ちゃんの影響でカニエ・ウェストなどを小さい頃から聴いていて、中学生の頃に女性ラッパーに衝撃を受けて、そこからプリンセス・ノキアや、リコ・ナスティーなどを聴き始めました。沖縄出身のOZworldとかAwichとか、音楽業界の友達はみんなラッパーなんですよね。あと音楽を始める前に、二人にはアドバイスをもらったし、お兄ちゃんとお姉ちゃんみたいな感じです。
竹内:元々、Awichさんのライブを観に行かれていたんですよね?
Grace:そうですね。2008年くらいにお母さんと一緒に行ったイベントにAwichが出ていて、歌詞聞いた時に「この人、実際に経験したことを言ってるんだろうな」と感じて、親子で二人とも涙流していました。その何年後、5年に一度開催される『世界のウチナーンチュ大会』にAwichが参加すると知り、自分は日本語も英語も喋れるから「手伝えることがあったら連絡ください」と問い合わせてみたんです。そしたら「一回会いましょう」と連絡をいただけて、そのあとは会った瞬間から一気に仲良くなり、夜中まで家で遊ぶような仲になりました。当時、遊びで歌詞を作っていたので、Awichに聴かせたら「真剣にやってみたら?」と言ってくれて。その時はできないと思っていたのですが、AwichがプロデューサーのChaki (Zulu)さんに送ってくれて、Chakiさんから「一緒にやろう」と連絡をいただきました。
竹内:ちょうどインタビューをしている本日、1st EP「PICNIC」がリリースになりました。学生時代に作った曲が収録されているとのことですが、その曲たちはAwichさんに「真剣にやった方がいいよ」と言われる前から、原型はありましたか?
Grace:書き始めたのはAwichに聴かせた2ヶ月前くらいです。その前から日記を書くのが好きで、言葉のセンスはあるのかなと思っています。日記を書いていたら、急にメロディーが思い浮かんで、曲を書けると気づいた瞬間から毎日、YouTubeでタイプビートを探しては、曲を作っていました。だからEPに入っている「Friend Zone」「My Eyes」「True Feelings」はYouTubeのタイプビートがベースで、Chakiさんに編曲してもらったものです。
●1960年代後の影響大、オールディーズサウンドのEP制作が夢●
竹内:「Eternal Sunshine」を作った次の日に、「Open」を作ったんですよね?
Grace:「Eternal Sunshine」が好きなヒッピーの雰囲気になったから、収録後にテンションが上がって、その勢いで「Open」を書きました。
竹内:ヒッピーカルチャーには影響を受けてるんですか?
Grace:めちゃくちゃ受けてますね。新しいヒッピー文化のリーダーになりたいと思っています。
竹内:それは全然予想してなかった! 1960年代後半の影響を受けているということですよね。
Grace:そうですね。だから、将来オールディーズのサウンドだけのEPを作りたいとも思っています。70年代のサイケデリックみたいな感じの曲も作りたいし。
竹内:今回のEP「PICNIC」だけでも、いろんな音楽の影響が出てますよね。
Grace:ひとつのジャンルだけに絞ることがあまり好きじゃなくて、その日感じることをやりたいんですよね。自分もそれをやってる方が楽しいし、聴いてくれてる方も音楽が伝わりやすくなるから、もっと楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。
竹内:例えばスタイリングとか、アーティストイメージも刷新して、変えていきたい気持ちはありますか?
Grace:今は70年代くらいの洋服のスタイルが好きでベースにしているんですけど、ヒッピーの時代とネオ感を混ぜてみたいなと思っています。
竹内:なるほどね。ネオ感が出てます。「PICNIC」が出て、反応や今の気分はどうですか?
Grace:言葉で説明しにくいですが、昨日出たタイミングで、ミュージックビデオの監督をしてくれているタクトと、二人で「EP出たね……」としんみりなって。インスタグラムのストーリーズに動画を載せようと思ったんですけど、撮るときにニヤニヤしてしまうし、喋りすぎたら感情的になって泣いちゃうくらい、言葉にならない感情が溢れていまって結局載せられませんでした(笑)。
竹内:そうなんですね。今後はアメリカのキャピタルレコードも交えたインターナショナルな展開もあると思いますが、例えばコラボしたいアーティストとか、こういうふうな活動をしていきたいとかあれば教えてください。
Grace:凄く大きい夢ですが、一つ叶えたい夢があって。ポスト・マローンとオールディーズの曲を作りたいです。
竹内:2016年に弟さんと開設されたYouTubeで、Aimiさんがポスト・マローンのモノマネメイクをしてバズってましたよね? あれめちゃくちゃ似てましたね。
Grace:自分でも鏡見た瞬間に、似ていてびっくりしました(笑)。家族に見せた瞬間、みんなも「そっくりさ!」となり、ビデオ撮ることになりました。
竹内:バズったポスト・マローンのコスプレをYouTubeで見た、ユニバーサルから話が来たんですよね?
Grace:最初はYouTubeより先にストーリーズに出してたんですよ。それが日本のユニバーサルの方の目に入ったらしくて。ちょうどポスト・マローンの企画をしていたときで、YouTubeでも、フェイスステッカーを使って動画をあげてほしいですと言われて、ポスト・マローンに一歩近づけたかなと思いましたね。
竹内:本当のコラボが楽しみですね。
Grace Aimi
→これまでに観た海外アーティストのベストライブを教えてください。
2015年に観たジャマイカのアーティストの、T.O.K.という3人グループのライブですね。沖縄は基地が多いので軍人のためのライブがあって、毎年奥間で野外フェス『OKUMA BEACH FEST』が軍人向けに無料で開催されるんです。前にはアッシャーとかケラーニとかが呼ばれるくらい豪華なフェスなんですけど、そこでT.O.K.のライブを見た時、何もしてなくても体が勝手に動かしたし、魂を感じたんですよ。バイブスがヤバかったですね。あとは小さい頃から好きだったブルーノマーズも影響を受けましたね。なのでこの2組です。
→影響を受けている海外のカルチャーがあれば教えてください。(ファッション、国、シーンなど)
育ちもそうなんですけど、音楽も文化もいろんなものがチャンプルーされていますが、それでもヒッピーの時代が大好きです。小さい時から両親が聴いていたのでビートルズの「Strawberry Fields Forever」とかを聴いていました。ちょっとビートが不気味で、たまに音も外れるし、でも完成度は比べ物にならないじゃないですか。その時代の音楽に込められている「みんな同じ世界に住んでるし、みんな同じ人間だから仲良くしよう」とのメッセージ性も好きです。その時代の人たちのライブ映像とかインタビューを見ると、オリジナルだしその人にしかないようなエネルギーを持っているなと思います。もし大きな夢を叶えられるんだったら、ウッドストックを再現してステージに立ちたいですね。
→現在、よく聴いている海外アーティストの曲を3曲教えてください。
①ラット「Muwop feat. グッチ・メイン」
②エルビス・プレスリー「Blue Suede shose」
③アデル「Set Fire to the Rain」
文=川井美波
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