BIGMAMA『RUSH BALL 2021』ライブレポート ーー「今この瞬間から未来を変えられる」新しい冒険を始めよう
BIGMAMA 撮影=渡邉一生
『RUSH BALL 2021』BIGMAMA
雲ひとつない晴天の盛夏。その最も暑い時間、ステージに「荒狂曲”シンセカイ”」へと続くドヴォルザーク『交響曲第9番「新世界より」が流れた途端、酷暑の会場に涼しい風が吹いた。
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「『RUSH BALL 2021』!」とギターボーカルの金井政人が叫ぶ。エモーショナルなバンドサウンドをかき鳴らすメンバーが手拍子で促すと、場内が全力で応える。声は出せないけれど、マスクで顔は隠れているけれど、誰もがステージから溢れ出す歌と音を笑顔で楽しんでいるのがわかる。
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昨年、あらゆるフェスが停滞する中、厳しい制約の中で開催された『RUSH BALL』。BIGMAMAはその時のステージでも、模索しながら開催を決意した『RUSH BALL』への敬意を最大限に込めた楽曲を披露した。今年もまだ続く模索の中、全身で音を浴びる観客に向けて、東出真緒(Vio.Key.Cho)が奏でるバイオリンの涼しい音色と力強いバンドサウンドが溶け合う「神様も言う通りに」を演奏中、金井が言う。
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「過去を変えることはできないけれど、今この瞬間から未来を変えることが出来るんです、僕たちは」
続いて披露されたのは、観客のシンガロングと熱狂が要となる「MUTOPIA」。オーディエンスたちは声の代わりに腕を高く上げて身体を揺らす。そこにはBIGMAMAはもちろん、さまざまなフェスやバンドTシャツやタオルを身につけたオーディエンスの姿が見える。フィジカルなディスタンスはキープしつつも、あらゆる垣根を越えて音と時間を共有するこの光景こそ、フェスの醍醐味だ。
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「必ずまた会いましょう。来年もその先も、必ずここで会いましょう」
金井の言葉と共に最後に披露されたのは、葛藤と模索の中で生まれた決意の歌「PRAYLIST」。<この胸の高鳴りを 誰に止めることなど 出来るのだろう/終わりなき挑戦を 奏でよう重ねよう>。
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力強くそう歌うそれは、音楽を愛する目の前の観客と、逆風の中、新しい形を作る道を選んだ『RUSH BALL』に向けた彼らからの揺るぎないメッセージだった。
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取材・文=早川加奈子 撮影=渡邉一生
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