船木がカシンに快勝し、“SSPWエース”へ決意新たに「爆弾が落ちる最後までリングに上がっていたい」 クイーンも大阪初見参!!
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初代タイガーマスク佐山サトル率いるストロングスタイルプロレスが5月8日、団体初となる大阪大会を開催。後楽園ホールでの定期戦そのままに、大阪を拠点とするレスラーが多数参戦する豪華カードが実現した。
初代タイガーマスクもリングに上がり、「大阪で試合をするのが夢だった」と超満員の観客および大会関係者に感謝。船木誠勝vsケンドー・カシンのシングル再戦をはじめ、スーパー・タイガーらのバチバチの打撃戦、タイガー・クイーン大阪初上陸などGWを締めくくるにふさわしい全8試合で、大阪のプロレスファンを魅了した。
<第0試合>
【闘宝伝承 vs ACF 3vs3対抗戦 グラップリング 無差別級イリミネーションマッチ 1分10R[特別ルール]】
〇伊藤崇文[パンクラスism]&大本浩詞[フリー]&後藤田薫[APPOINT PLACE]vs武士正[Fighting Team A-TOYS]&徳☆正[Fighting Team A-TOYS]&道端剛史[フリー]●
①△伊藤vs武士正△
②△大本vs徳☆正△
③△後藤田vs道端△
④△伊藤vs武士正△
⑤〇伊藤vs武士正●
⑥△大本vs徳☆正△
⑦△伊藤vs道端△
⑧△後藤田vs道端△
⑨△大本vs道端△
⑩△伊藤vs徳☆正△
※3-2で伊藤組の勝利
本戦前に行われた第0試合では、大阪で展開中のプロレス格闘技イベント「闘宝伝承」と、格闘技プロモーション「ACF/エートイズ・チャレンジ・ファイト」の対抗戦が組まれた。
同試合は「闘宝伝承」2月大会にて引き分けた再戦で、「決着がつくまでやれ!」という船木の一声で決定したもの。伊藤率いる闘宝伝承軍には、船木ジムで学ぶアマチュア格闘家の大本と後藤田が参加。対するACF軍は道頓堀プロレス社長・武士正、武士正と同じFighting Team A-TOYS所属する徳☆正、格闘技のバックボーンを持つ道端のトリオだ。
試合はラウンドごとに選手が入れ替わり、途中交代はできない1分10ラウンドのイリミネーションマッチ。グラップリングのみ・打撃禁止の特別ルールで行われた。
ドローが続く手に汗握る攻防が繰り広げられる中、5戦目の伊藤が武士正を沈めて闘宝伝承軍が先制し、船木ジム生の大本、この日がデビュー戦となる後藤田も奮闘。冨宅飛駈に教えを受けるAFC軍は残り2名となったことから、道端が3戦連続出場になるなど体力面で劣勢を強いられながらも積極的に前に出て続けた。
が、その後スコアは動かず。伊藤の一本勝ちが決勝点となり、2月大会の因縁の一戦は3-2で闘宝伝承軍が勝利した。
<第1試合>
【道頓堀プロレス提供試合 タッグマッチ 15分1本勝負】
菊池悠斗[道頓堀プロレス]&〇晴斗希[道頓堀プロレス](10分39秒、ラ・マヒストラル)キャプテン・アメムラ[道頓堀プロレス]●&田中祐樹[道頓堀プロレス]
第1試合は地元大阪の道頓堀プロレスによる提供試合。2020年の道頓堀最強タッグキングトーナメントを制覇した生え抜きの若手エースコンビ・菊池&晴斗希がリング内を躍動し、先輩であるアメムラ&田中組をテンポよく攻め立てていく。
ピースサインがトレードマークのアメムラが足攻めに活路を見出し、ドラゴンスクリュー→足4の字固めで晴斗希にギブアップを迫ったものの、田中の腕十字から逃れた菊池が救出し、若手コンビがペースを奪回。菊池がトペコンヒーロで田中を場外に足止めする中、リング上では晴斗希とアメムラが丸め込み合戦に。一瞬のスキをついた晴斗希がラ・マヒストラルで終止符を打ち、その若さと勢いを見せつけた。
<第2試合>
【シングルマッチ 20分1本勝負】
〇ディラン・ジェイムス[ランズエンド プロレス](2分55秒、チョークスラム→片エビ固め)安藤雅生[フリー]●
第2試合は総合格闘技・柔道・ラグビーがバックボーンの安藤と、ニュージーランド出身のスーパーヘビー級レスラー・ジェイムスの一騎打ちだ。
体重100kg、厚い肉体を持つ安藤が序盤から重たいキックを繰り出して果敢に攻め入ったものの、ジェイムスはビクともせず。安藤の蹴り足を捕らえて動きを止めたジェイムスが、ボディスラム、大きな破裂音が響く逆水平、サイドバスターと圧倒する。
安藤も続くラリアットをブロックし、ランニングローキックで食い下がったものの、ジェイムスが渾身のラリアットでシャットアウト。最後は高角度のチョークスラムで叩きつけ、安藤を沈めた。
<第3試合>
【6人タッグマッチ 30分1本勝負】
〇間下隼人[ストロングスタイルプロレス]&金本浩二[フリー]&大門寺崇[ランズエンド プロレス](11分12秒、虎渾→体固め)冨宅飛駈[パンクラスMISSION]&アレクサンダー大塚[AO/DC]&レブロン[ランズエンド プロレス]●
第3試合では、兄弟子スーパー・タイガーとのレジェンド王座戦で成長した間下が、新日本ジュニアの一時代を築いた金本、ランスエンドの次代エース・大門寺と越境タッグを結成。U系ファイターの冨宅&大塚と、プロマジシャンの肩書きも持つレブロンのトリオと激突した。
大門寺vs大塚の肉弾戦、金本vs冨宅の打撃戦と激しい攻防に場内が沸く中、間下組がレブロンを捕獲。間下がキャメルクラッチで捕えれば、すかさず金本が顔面へのローキックを叩き込むなど、初めて組んだとは思えないスムーズな連携を披露。金本がパイルドライバー、エルボー、ハイキックでレブロンに追撃し、2度の顔面ウォッシュを見舞った。
このまま終われないレブロンもコーナートップからの飛びつきウラカンラナで代わった大門寺を振り切って自軍へ生還。タッチを受けた大塚が飛び込んだ間下をボディスラムで叩きつけ、金本をジャイアントスイングでぶん回す大暴れを見せる。大門寺がライウェイベイベーで大塚を放り投げて戦況をイーブンに戻して間下につないだが、再び入ったレブロンがマジシャンの本領を発揮し、その手に突如現れた鉄パイプを間下に突き刺す。場内がどよめく中、DDTでたたみかけた。
ここで大門寺がリングに飛び込み、追撃を狙うレブロンにスピアを放って動きを止め、金本もファルコンアローでアシスト。続けて金本とのサンドイッチサッカーボールキックを決めた間下が、虎渾(変形どどん)でダメ押ししてレブロンから3カウント。SSPW初の大阪大会だからこそ実現した豪華6人タッグマッチで、成長著しい間下が主役の座を奪った。
<第4試合>
【女子プロレス タッグマッチ 30分1本勝負】
〇ジャガー横田[ワールド女子プロレス・ディアナ]&花園桃花[フリー](11分15秒、変形エビ固め)ZAP[極悪同盟]&ドレイク森松[フリー]●
いまやストロングスタイルプロレスで欠かせない女子プロレス試合。女帝・ジャガー横田とSSPW初参戦となる花園が、ヒール軍団ZAP&ドレイク森松組と対戦した。
観客がどよめくほどの圧倒的なオーラを身にまとい入場するジャガー横田と、お花の形をしたぬいぐるみと電動シャボン玉スティックを手に、笑顔とシャボン玉を振りまきながら登場した花園。ZAP&森松組の奇襲を受けて場外戦で先手を取られたが、ジャガー横田がウルトラタイガードロップで逆襲し戦場はリングへ。キャリアの浅い花園が長く捕まる展開となったが、正調・低空とドロップキックを連発して脱出。タッチを受けたジャガー横田も回転カカト落とし、バックドロップなどを繰り出し、体格で上回るヒール軍を黙らせる。
さらに花園がミサイルキックや低空ドロップキックなどで追撃を図ったが、ZAPが体当たりで跳ねのけ、ダイビングボディプレスで押し潰す。代わった森松がなおも抵抗する花園の腹部に、持ち込んだ金属バッドをフルスイング。駆けつけたジャガー横田も金属バットで排除し、花園を仕留めにかかった。が、ジャガー横田が奪った金属バットで森松をぶん殴って花園を助け出し、瞬く間に主導権を奪い返す。2人がかりで攻め入ろうとするZAPと森松の誤爆を誘うと、孤立した森松を変形エビ固めでガッチリ。3カウントを奪った。
試合後、ジャガー横田が花園に駆け寄り健闘を称える。一方、試合結果に納得のいかないZAPはレフェリーを暴行。殺気立ちながらバックステージへ消えた。
初代タイガー挨拶
第4試合後、初代タイガーマスクがリングに上がり、マイクを握った。
「大阪で試合をするのが10年前からの夢でした。この計画を練って実現してくれた湯川禎哉さん、後援会の皆さん、本当に感謝しています。平井代表にも、ありがとうございます。選手の皆さんも、船木選手をはじめ、スーパー・タイガーや間下、いろんな選手がこのストロングスタイルプロレスを助けてくれています。私は病気のせいで体が震えてしまいますが……普段は大丈夫ですが、リングの上に立つと震えてしまうんです(笑)。今ちょっと自己催眠しますね(笑)。世界一の団体、プロレスをもっと皆に見てもらって、もっともっと強くしていけるように、皆さんもぜひ応援してください。本当に皆さんに感謝です。ありがとうございました」
挨拶を終えると、闘宝伝承実行委員会代表の湯川禎哉氏、船木から花束が贈呈される。さらに試合中のアクシデントにより療養中の大谷晋二郎選手のための募金活動プロジェクトの応援団長を務めるジャガー横田に、ストロングスタイルプロレスおよび大会実行委員会より寄附金が送られた。なお、今大会でもスーパー・タイガーや間下隼人を中心に募金箱を持ち、応援を呼びかけた。
<第5試合>
【タイガー・クイーン大阪初見参!シングルマッチ 45分1本勝負】
〇タイガー・クイーン[一般社団法人 初代タイガーマスク後援会](7分24秒、タイガースープレックス・ホールド)ハイビスカスみぃ[琉球ドラゴンプロレス]●
初代タイガーマスクのデビュー40周年にデビューを果たしたタイガー・クイーンが待望の大阪初登場を果たした。聖地・後楽園ホール、サポーターズマッチが開催される神奈川・POST DI AMISTADなど首都圏以外で初めての試合となるクイーンの対戦相手は、ハードコアからコミカルまでこなすオールラウンドプレーヤー・ハイビスカスみぃ。黒い唇、手にはパイプ椅子とヒールモード全開でリングインした。
ゴングが鳴るやクイーンが初代タイガーマスクを彷彿とさせるステップ、側転式フライング・ボディアタックを繰り出し、場内の歓声を浴びる。ハイビスカスみぃも負けじとリングからクイーンを引きずり下ろし、ステージへ連行。硬い床へのブレーンバスター、パイプ椅子攻撃など場外戦でねじ伏せにかかる。が、クイーンも反撃してハイビスカスみぃの動きを止めると、場外へのムーンサルトアタックを敢行する。
リングに戻るとハイビスカスみぃが反撃にかかるが、クイーンも深入りはさせず。ハイビスカスみぃが仕掛けたクロス・フェイスロックを逃れると、スクリューハイキック、2段式ジャーマン、ニールキックなどを繰り出してたたみかけ、美しい弧を描くタイガースープレックスを炸裂。シングル連勝記録を「7」に伸ばした。
試合後、勝ち名乗りを受けたクイーンはリング上で一礼し退場。この日はノーコメントで控室へ戻った。
<セミファイナル>
【スペシャル タッグマッチ 60分1本勝負】
〇スーパー・タイガー[第15代レジェンド王者/ストロングスタイルプロレス]&崔領ニ[ランズエンド プロレス](14分55秒、ハイキック→体固め)池本誠知[総合格闘技スタジオSTYLE]&スーパー・ブラックタイガー[不明]●
レジェンド王者スーパーは崔とタッグを結成し、総合格闘技での実績も豊富な池本誠知と正体不明のスーパー・ブラックタイガーを迎え撃った。
注目の初対決となるスーパーと池本の顔合わせでスタートしたスペシャルタッグマッチは、打撃・グラウンドともに片時も目を離せないスリリングな展開に。捕まったスーパーの救出にかこつけた崔が、持参したポールを池本に振り下ろしたり、ブラックには2リットルの水をぶちまけたりマスクに手をかけたりと、やりたい放題で会場の熱狂を誘っていく。
池本組も屈しない。フロントネックチャンスリーや鋭い打撃で攻勢に出るスーパーに、池本がハイキック、ブラックがバックエルボーを同時に叩き込んでストップ。ブラックがサードロープ・セカンドロープからの2連続ムーンサルト、ファイヤーバード・スプラッシュを立て続けにスーパーに投下して攻め込んだ。
崔がカットに飛び込み、スーパーも立て直しに成功。ブラックの追撃を許さず、ソバットをぶち込むと、すかさずツームストンでグサリ。3カウントは池本に阻止されても、左ハイキックをズバリと決め、ブラックを沈めた。
試合後、何とか立ち上がったブラックは、仲間の池本を突如暴行。返す刀でスーパーにも襲いかかりリング下へと投げ捨てる。観客からブラックへ罵声が飛んだが、お構いなしでバックステージに戻っていった。突然の出来事に戸惑いながらも、スーパーは気を取り直して再度リングに上がり、池本に対し人差し指を立て「1vs1」をアピール。池本も同じく人差し指で応じ、握手でシングル再戦を誓い合った。
<メインイベント>
【スペシャル シングルマッチ 60分1本勝負】
〇船木誠勝[フリー](4分45秒、ハイブリッド・ブラスター→体固め)ケンドー・カシン[はぐれIGFインターナショナル]●
ストロングスタイルプロレス初の大阪大会のメインイベントは、“地元”船木vsカシンの1年2ヵ月ぶり、2度目のシングルマッチだ。昨年3・3後楽園ホール大会での初一騎打ちはカシンが丸め込みで勝利しているが、再戦要求はなぜかカシンから。リベンジを果たしたい船木も受諾し、試合が決まった。
カシンは“マネージャー”ハイビスカスみぃとともに、お揃いのハイビスカスみぃTシャツを着て入場。続けてリングに入った船木へは花束の贈呈が行われたが、カシンが奇襲をかけ、奪い取った花束で船木をこれでもかと殴りつける。リング一面に花びらが散ったまま、試合がスタートした。
そのまま場外戦へとなだれ込んだが、すぐさま船木も反撃。売店にいた長男の加勢を受けて主導権を握ると、リングに戻り一気呵成に攻め込む。チョップとエルボースマッシュの応戦も制した船木がカシンを転がし、ロープに飛んだ。
ここで場外にいたハイビスカスみぃが足を取って船木を転倒させる妨害行為を働く。抗議する船木の背後から襲撃したカシンは、タランチュラ、丸め込み連発と勝負に出る。返した船木がスリーパーで捕獲にかかっても、オーバーマスクを脱ぎ捨てて脱出する奇策からの丸め込みで3カウントを迫る。
連敗は許されない船木もかろうじて抜け出すと、なおも執拗に丸め込みを狙うカシンの腕を巻き取りってワキ固めへ。急角度で絞り上げるとカシンも必死でタップしたが、またもハイビスカスみぃの妨害により、レフェリーは試合を見ていない。船木もさすがに怒り心頭で、エプロンに立って喚くハイビスカスみぃに詰め寄る。カシンが背後から襲いかかっても、すでに学習済みの船木はヒラリとかわして同士討ちを誘い、棒立ちのカシンにソバットをお見舞い。必殺のハイブリッド・ブラスターにつなげてリベンジを果たした。
試合後、マイクを握った船木は「こんなお花の上で試合をしたのは初めてです」と苦笑いしつつ、超満員の観客に感謝。初代タイガーマスクに憧れて15歳でプロレス界に入った自身を振り返り「当時の自分にとってみたら夢以上の空間です。今日は本当に嬉しかったです。ギリギリまで、できるところまでリングに上がり続けたいと思います。本日はありがとうございました」と語り、大歓声を受けた。
その後、この日の出場選手がリングに集まると、来場していたお笑い芸人のGたかしさんもリングに上がり、「アントニオ猪木」「前田日明」「高田延彦」のほか、藤原組長……ではなく俳優・藤原竜也さんの物マネで船木の勝利を祝福した。さらにGたかしさんから船木への闘魂注入、選手・観客が一体となって「1、2、3、ダァー!!」の唱和後、出場選手による記念撮影で初の大阪大会の幕が下りた。
試合終了後の船木コメントは以下の通り。
「大阪に住んで6年経ちましたので、自分にとっては地元ですね。凱旋試合というか、初めてストロングスタイルプロレスを持って来られて、すごくよかったなと。それだけじゃなくて満員ですよ。いまだに佐山さんの影響、力は大きいなと再確認しましたね。病気になられてから同じリングに立っている時間が少なかったのですが、今日久しぶりに一緒に立てて、またもう一段がんばろうかなって気持ちになりましたね。自分も今53歳で少しずつ衰えは来ていますが、ただ爆弾が落ちる最後までリングに上がっていたいなと思っています。とにかく止まりません。ただ進むだけですね」(船木)
――カシン選手はどうだった?
「今日はヒール?という立場だったと思うので。あのような新しい、ラフなカシン選手は自分にとっては初めてだったので、さすがにいろんな引き出しを持っているなと。自分よりプロレスは数段上をいってますよね。ありがたいですね」(船木)
――大阪で試合をするのは会場の雰囲気も変わるか?
「全然、全然違います。そういう意味では今日はものすごく楽しかったです。花束の上で試合をしたのは初めてですよ(笑)」(船木)
――今後は全国を回りたい?
「そうですね、いろんなところに行きたいです。佐山さんの体調が許す限り、全国を一周してもいいんじゃないかなって思っています。それまでは自分もずっとストロングスタイルプロレスを支えてがんばります。まだもうちょっといけそうです。ありがとうございました」(船木)