水江建太、中川晃教らが音楽に魅了された人や悪魔を熱演 『CROSS ROAD〜悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ〜』ゲネプロレポート
ゲネプロでパガニーニを演じたのは水江建太。自らの限界を悟って苦悩していた青年が悪魔と契約して成功を手にし、すり減っていく命を前に改めて様々なことに向き合う様子を、一本筋を通して繊細に描いている。天才として強気に振る舞い憎まれ口を叩いていても根底に苦しみや寂しさが感じられる、愛おしさを覚えるパガニーニだ。いい意味で普通の青年らしさがあり、アムドゥスキアスがなぜここまで執着するのだろうかと考えているうちに、パガニーニの生き様から目を離せなくなっていく魅力がある。超絶技巧を駆使した演奏は激しいダンスで表現しており、歌唱に加えてダンスも存分に楽しむことができる。
息子の才能をまっすぐに信じる母・テレーザを、香寿たつきはあたたかく包み込むような愛情を持って表現。悪魔と契約してしまったパガニーニの苦悩が中心となる本作だが、テレーザが繰り返し歌う「Casa Nostalgia」もメインテーマのひとつと言っていいだろう。