水江建太、中川晃教らが音楽に魅了された人や悪魔を熱演 『CROSS ROAD〜悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ〜』ゲネプロレポート
早川は天真爛漫なアーシャを好演。心から音楽を楽しんで自由に踊る姿が美しく、自由を失ってしまったパガニーニとの対比が光っていた。シリアスな物語の中で、彼女の明るさと素直さが大きな癒しとなっている。
エリザを演じる青野紗穂は、周囲から「ナポレオンの妹」としてしか見られない孤独を哀愁の漂う歌唱と表情で見事に伝えた。運命の相手であると同時に男を破滅させる魔性の女、ファム・ファタルとして登場する彼女だが、パガニーニに対する愛情は乙女のように純情でまっすぐ。悲痛な胸の内を歌い上げる青野の歌唱に心を掴まれる。
パガニーニと、彼の弱さを理解して側で支える執事・アルマンドの距離感や関係性も楽しい。ゲネプロでは戸井がアルマンドを演じた。親心ともいえる深い愛情を感じさせる歌唱に胸を打たれる。
アンサンブルキャストが演じる修道士たちや街の人々など、パガニーニを悪魔と信じて糾弾する人々も印象的だ。パガニーニの師であり、いち早く異変に気付くコスタ(畠中洋)は飄々としているが現実的で食えない一面もあり、二面性が楽しい。