復活の幽霊探偵が織りなす、ドタバタミステリー! 東映ムビ×ステ 舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』ゲネプロレポート
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』会見より
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』が2022年6月9日(木)、ヒューリックホール東京にて開幕した。映画と舞台を完全連動させるプロジェクト「東映ムビ×ステ」の第2弾作品として2020年に上演された映画『死神遣いの事件帖 -傀儡夜曲-』、舞台『死神遣いの事件帖 -鎮魂侠曲-』の続編。初日直前に行われた公開ゲネプロと囲み取材の模様をお届けする。
江戸で探偵業を営む死神遣いが、難事件の解決に挑むシリーズ。今作では、映画『-傀儡夜曲-』で姿を消した主人公・久坂幻士郎(鈴木拡樹)が‟幽霊探偵“として復活。新たに登場する死神・亞門(小林亮太)とコンビを組み、町で起こる事件の解決を目指すストーリーが展開される。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』舞台写真
開演前から会場内に鳴り響くのは、静かな波の音。この世でもあの世でもない、生と死の‟「はざま」の世界”を船で漂う幻士郎の夢と回想シーンから物語が始まる。重厚でシリアスなムードが流れ始めるも、幽霊となった幻士郎は明朗そのもの。むしろ状況を楽しむ様子から、憎めないお調子者っぷりが早くもうかがえる。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』舞台写真
市村松之助(稲垣成弥)、市村亀吉(飯山裕太)、市村蟹造(山川ありそ)、市村鶴丸(北村健人)、市村百翁(清水宏)と座付作家・升屋庄吉郎(安西慎太郎)ら歌舞伎一座の公演を見ていた幻士郎は、何者かに殺されたという役者の市村左十朗(廣瀬智紀)と出会う。彼を追ってきた亞門も現れ、ドタバタ模様は加速していく。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』舞台写真
幻士郎の相棒である死神・十蘭を知っているという亞門。元気いっぱいで天真爛漫、まっすぐな後輩キャラが爽快だ。幻士郎ともコンビとしてあっというまにシンクロし、熟練の漫才コンビのような空気感が心地よい。アクションシーンで披露されるダイナミックな体術にも目を奪われる。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』舞台写真
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』舞台写真
そんななか、市村一座の殺人事件を嗅ぎつけた霊媒師・恐山寂蓮(凰稀かなめ)が来訪。幽霊と話せる能力を生かし、殺人事件の捜査に加わる。世間からはインチキ霊媒師として扱われているが、えもいわれぬ存在感だ。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』舞台写真
事件を追いながら、幻士郎は父・久坂衒太夫(神尾佑)の夢を見るように。厳しく育てられた過去を振り返りながら、父の死と向き合い始める幻士郎。これまで掴みどころのなかった死神遣いとしてのルーツを垣間見ることができる。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』舞台写真
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』舞台写真
テンポの良いコミカルムードを牽引するのはやはり幻士郎。茶目っ気たっぷりに舞台上を駆け回り、気まぐれに寝転がり、見得を切り……。飄々としながらも、左十朗の家族や一座への想いに共感する人情深さも魅力的だ。終盤以降は死神遣いとしての戦いも繰り広げられ、凛々しく迫力あふれる殺陣も見どころに。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』舞台写真
殺人事件をめぐる騒動をコミカルに、かつミステリと人間ドラマを堪能できる今作。誰が左十朗を殺したのか、幻士郎や亞門らが推理していく時間を共有できるのも舞台ならではの醍醐味。ストーリーを追いつつ、一緒に犯人を予測してみてはいかがだろうか。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』舞台写真
ゲネプロ前に行われた囲み取材では鈴木拡樹、小林亮太、神尾佑、凰稀かなめ、脚本・演出を手掛けた毛利亘宏が登壇。初日の開幕を控えた心境や意気込みを語った。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』会見より 鈴木拡樹
作品の見どころは「“かぶく”がテーマ。仰々しい感じの格式高さはないんですが、生き様を見せるような。それぞれのキャラをしっかり愛していただけるのでは」と鈴木。「前作を見ていただいた方にも、今作からこの世界に入る方にも楽しんでいただけたら。映画『死神遣いの事件帖 -月花奇譚-』の公開も控えていますし、今日からが勝負です」と意気込む。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』会見より 小林亮太
初日を控え、朝から緊張していたという小林は「裏で先輩方にたくさん笑わせていただきました!」と笑顔をのぞかせる。「個性豊かなキャストが多く、素笑いしてしまうシーンがかなり多くて。舞台の稽古で初めて『“天丼”(同じギャグを繰り返すこと)しようか』というオーダーを頂きました(笑)」と稽古期間を振り返った。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』会見より 神尾佑
「(役の)名前だけは前から出ていたんですが、ようやく満を持して登場。ほぼ初共演の若い方々と一生懸命稽古をしてきて、今はとてもワクワクしています」と神尾。物語については「父と子の深い愛情がテーマ」としつつ「あまり言葉は交わさず、息子との会話は剣で語り合っていきます」とアクションをアピールした。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』会見より 凰稀かなめ
凰稀も「長い期間お稽古して、無事に初日を迎えられて幸せ」と感慨深い様子。注目ポイントを尋ねられると「皆さんの立ち回りがすごいかっこいい。なんといっても鈴木拡樹さんは天下一品だと思いますので、かなりの見どころかと」と回答していた。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』会見より 毛利亘宏
「1作目でいなくなった主人公を、現世に戻してほしいという発注に応えられたのでは(笑)」と明かした毛利。続編にあたる映画も絶賛しつつ「キャストの皆さんが素晴らしく、稽古をしていて毎日が本当に楽しかった。自信を持って皆さんにお見せできる作品ですので、ぜひご期待ください」と力を込めた。
舞台『死神遣いの事件帖 -幽明奇譚-』会見より
取材・文・撮影=潮田茗
公演(配信)情報
日程・会場:
<東京公演>2022年6月9日(木)~19日(日)ヒューリックホール東京
<大阪公演>2022年6月23日(木)~26日(日)梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
脚本・演出 :毛利亘宏(少年社中)
原案:須藤泰司
出演 :
鈴木拡樹 小林亮太
廣瀬智紀 安西慎太郎 稲垣成弥 飯山裕太 山川ありそ 北村健人
清水宏 / 神尾佑 / 凰稀かなめ
日程:6月9日(木)の18:30
視聴:6月4日(土)12:00~より発売
配信:イープラス「Streaming+」
:https://eplus.jp/shinitsuka22-st/
※映画舞台共通
上映情報
■日程:2022年冬公開
脚本 : 須藤泰司
監督 : 柴﨑貴行
北村諒 清宮レイ(乃木坂46) / 崎山つばさ
水石亜飛夢 高田里穂 松本寛也 北川尚弥 田辺幸太郎
陳内将 小林亮太 田邊和也 浜田学 / 西田健
公式HP : shinitsuka.com
※映画舞台共通