[Alexandros]川上洋平、シェフのスリリングな一夜を90分間ワンショットで捉えた『ボイリング・ポイント/沸騰』について語る【映画連載:ポップコーン、バター多めで PART2】
撮影=河本悠貴 ヘア&メイク=坂手マキ(vicca)
大の映画好きとして知られる[Alexandros]のボーカル&ギター川上洋平の映画連載「ポップコーン、バター多めで PART2」。今回は、崖っぷちのシェフのスリリングな一夜を驚異の90分間ワンショットで捉えた『ボイリング・ポイント/沸騰』について語ります。
『ボイリング・ポイント/沸騰』
──『ボイリング・ポイント』はどうでした?
期待はしてたけど、めっちゃ面白かったです。冒頭からいきなり話逸れますけど、ジャケも含めて20年前くらいに公開された『ディナーラッシュ』っていう映画を思い出しました。ワンカットではないんだけど、レストランの厨房で巻き起こる物語で、僕の中でのフード系映画では1位なんです。
――そうなんですね。
『ボイリング・ポイント』もフード系映画ランキングに食い込みました(笑)。
――なるほど(笑)。
レストランが舞台の映画っていうと結構ありますよね。ブラッドリー・クーパーの『二ツ星の料理人』と『幸せのレシピ』とか、フランスの『シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』とか。あと『オリンダのレストランテ』も良かったです。
『ボイリング・ポイント/沸騰』より
■どこまでのミスでカメラを止めるのかが気になる
――『ボイリング・ポイント』は、まず90分全編がワンショットっていうのがすごいですけど。
何の前情報もなく観始めたんですけど、途中から「あれ? これワンカットじゃね?」って思って。でもさすがにどこか途中で切り替わるのかなと思ったら、そのままワンカットで終わって、「うわー!」って思いました。ブライアン・デ・パルマも真っ青ですね。
――確かに(笑)。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』や『1917 命をかけた伝令』と違い、一切編集もCGもないという。
そうなんですよね。YouTubeにアップされているこのフィリップ・バランティーニ監督のインタビューを観たんですけど、インタビュアーが「ワンカットで撮るにあたり、マイクはどうしたんですか?」とか、割とこちら的にも気になる技術的なことを訊いていて。その中で一番印象に残ったのが、「どうやって準備したんですか?」っていう質問に対して「私はマップアウトをした。基本的にはそれだけだ。あとは私がやりたいことを理解してやってくれる仲間とのコラボレーションだった」みたいなことを言ってて。ちょっとはぐらかしてるんですけど(笑)。
――(笑)役者陣のリハーサルについては、フロアスタッフで5日間、厨房スタッフで5日間行ったと。その上で、即興のお芝居も結構入っているそうです。
へえ。一瞬火傷するシーンとかもアドリブなのかな。
──あと、フォーク落としたりとかも。
ね。だからアドリブもあるんだろうなと思って観てたので、あの火傷のシーンはちょっと心配になりましたね。でもそうなると、どこまでのミスでカメラを止めるのかが気になりますよね。
──どこでNGにするかっていう。
そうそう。これはさすがにセリフ盛り過ぎだろうみたいな。まあ、ライブに近いですよね。
──確かに。ライブは、演奏があまりにも乱れたら止めますけど、小さなミスや歌詞の間違えだったらそのままやったりしてますよね。
私なんかは、歌詞はそうですね…。
──すいません、そこはあえて名前を出しませんでした(笑)。
あははは。