『MONSTER baSH』3年ぶりの開催に向けて、プロデューサーであるデューク・定家崇嗣氏に開催に向けての思いと展望を訊いた【インタビュー連載・エンタメの未来を訊く!】
■音楽活動をがんばっている四国のアーティストに夢を持ってもらいたい
――では、2022年の開催に向けては、どんな風に準備を進めていきましたか?
2020年、2021年とそういうことがあったので、2022年はまず開催を大前提にして進めていきました。2年間お客さんが来れなかったわけですし、また中止になるんじゃないか、フェスが無くなるんじゃないかと思われてはならない。香川県ともまんのう公園とも協議して、まずは感染対策をしっかりやって開催するということを第一条件で進めています。
――ラインナップに関してはどうでしょう?
それに関しても、2020年にご出演予定だった皆さんに「来年お願いします」と言いつつ2021年に再び申し訳ないことをしたので、基本的には、2020年と2021年にお願いしていた皆さんからお声をかけさせていただいています。ただ、ツアーがあったり、今年は夏フェスに出ない予定だったり、2日間になったので枠の関係で出演できない方もいらっしゃいます。それに加えて、デュークには『サヌキロックコロシアム』という高松市内の商店街でやっているライブサーキットがありますので、2022年のサヌキロックに出演いただいたアーティストからの昇格組も含めたラインナップになっています。
――今回のヘッドライナーは1日目がWANIMAとMONGOL800、2日目はSUPER BEAVERとなっています。このセレクトは?
まず初日については、少し前にMONGOL800とWANIMAがスプリット盤でCDを出すという話があって。で、たまたまブッキングのタイミングでは同じ日に出るフェスがMONSTER baSHしかなかったので、うちのステージのトリでコラボをやってみてはどうかというお話をしたところ、ぜひやりましょうということになりました。なので、この日はMONGOL800、WANIMA、その後に両バンドがコラボという形になっています。で、21日は、2021年の時点でSUPER BEAVERにトリをお願いしたいと言っていたんです。うちのフェスではいつも、今トリをとってもらいたい方と、3年後や5年後に主役になってもらいたい方にトリをとってもらっているんですけれど、SUPER BEAVERは彼らがライブハウスで苦労している時から見ていますし、コロナ禍に成長してほしいという気持ちを込めて2021年の大トリをお願いしたんですね。でも、気づいたらすっかりそのポジションがハマるようなバンドになっていた。そういった意味で、僕の想像よりもかなりステップアップして2022年を象徴するアーティストになっていると思うので、しっかりトリを務め上げてほしいなと思います。
――モンバスの特徴として、今年に出演する小田和正さんのようにベテランのアーティストを積極的にブッキングする流れもあるかと思います。このあたりはどうでしょうか。
モンバスは単にロックフェスとして成功するだけじゃなく、アーティストが四国に来る足掛かりになったらいいなとも思っているんですね。なので、今見せたいアーティストと、これから頑張って未来を担ってくれるアーティスト、それから僕たちがレジェンドと呼んでいる、そういったロックの客層とは違うアーティスト、その3つの軸で選定しているつもりです。マカロニえんぴつやVaundyを観たい今どきの若い子たちでも小田和正さんの存在や歌は知っていると思うんですけど、きっとライブを観たことはないと思うんです。そういう子たちに小田さんの歌声が生で届いたらいいなという思いもありますし、そこから「小田さんすごかったよ」って家でお父さんやお母さんに話してもらうことで、そこから家族の会話が生まれたらいいなという思いもあって。そういうことを考えて、毎年レジェンドの大物アーティストの方に声をかけさせていただいています。
――これから未来を担うであろう新進気鋭のアーティストや、モンバスがプッシュしているアーティストについてはどうでしょうか。
もともとモンバスは四国出身のアーティストを推しますと公言していますので、今年注目してもらいたいのは、8月20日の四星球と8月21日のLONGMANですね。四星球は徳島に、LONGMANは愛媛県に住みつつメジャーデビューをして全国ツアーをしている。こういうアーティストを応援したいと思っています。そして今年の大抜擢は8月20日に出る古墳シスターズですね。彼らは香川県高松市に住んでいて、高松を拠点に活動をしていて、とてもいいライブをするバンドです。古墳シスターズ自体をみんなに観てもらいたい気持ちもあるし、今、音楽活動をがんばっている四国のアーティストにとっても「古墳シスターズがモンバスに出るということは、俺らもがんばったらモンバスに出たりプロのミュージシャンになれるんじゃないか」っていう夢を持ってもらいたいという思いもあります。どうすれば音楽で飯を食っていけるのかわからない人たちへ、少しでも音楽活動の目標になればいいという意味も含めて古墳シスターズさんを選ばせてもらいました。
――四星球やLONGMANのように、四国に拠点を置いたまま全国規模で活動を広げるバンドや、そういう存在に続こうとするバンドにとっても、コロナ禍で活動に制限がかかった状況は非常に厳しいものがあったと思います。なので、古墳シスターズのようなバンドがモンバスに出ることには、単に注目の新人というだけではない意味があると思いました。
そうですね。それで、四国から羽ばたいていったということになったとしても、彼らも四国出身なんだよっていうのが語り継がれたらいいなと思います。
■許される限りは野外のフェスにこだわっていきたい
――すでに21日のはソールドアウトしていますが、反響に関してはどう感じていますか?
やっぱり「待ってました!」っていうのがひしひしと伝わってくる感じはありますね。決めた枚数で止めないといくらでもが売れちゃうぐらいの勢いがありました。ただ、この2年でフェスの形態自体も変わってきたとは思っていて。屋外でやる夏フェスが減ってきているかなとも思うんで、僕らは野外のロックフェスということにこだわっていきたいと少し思っていたりします。やっぱりフェスの醍醐味のひとつに青空の下で好きな音楽を聴くこと、自由に楽しめることがあると思うので。会場のまんのう公園は国営公園でいろいろルールがあったりするんですが、「まんのう公園が好き」「モンバスが好き」ということで来てくれている方がたくさんいると思うので、許される限りは野外のフェスにこだわっていきたいなと思います。
――モンバスだけでなく、四国でのライブエンターテインメントについて、定家さんとしては先行きをどう見てらっしゃいますか?
やはり回復はしてきていると思うんですが、この2年のうちにコンサートに行かなくなった人もいらっしゃると思います。でも、生の音楽を体験してもらうのはとても貴重なことですし、MONSTER baSHだけじゃなく、僕たちの日頃のコンサートでクラスターは発生していません。2022年、2023年は、そういった人たちにコンサートに戻ってきてもらうと共に、最新の感染対策をして、コロナを恐れずにエンターテインメントを楽しんでいいんですよっていうことを発信し続けていかなきゃいけないなと思います。安心してみんなが来れるエンタメの環境を作って四国を盛り上げていこうという気持ちが強くあります。
――長期的には、コロナを経てより地域とフェスの結びつきの重要性がクローズアップされていく気がしています。そのあたりはどうでしょう?
僕たちとしても、もちろんモンバスが音楽フェスとして認められたい気持ちもありますけど、それよりは四国にあるよさこいや阿波おどりのように、地元のお祭りとして認識してもらいたいと思っているんですね。行く人だけでなく、行かない人も含めて「8月のお盆の次の週にはモンバスがある」という認識を四国の皆さんに根付かせていきたい。2020年と2021年我慢した分、それが5年後、10年後にはプラスになったと思えるように、さらに大きなものにしていきたいと思っています。地域や住民の皆さんに根付くというのが、僕らの目標なので。地元に根付いたお祭りのひとつになっていったらと思います。
取材・文=柴那典
※この取材は7月12日に行われました。
イベント情報
日程:2022年8月20日(土)、21日(日)
会場:国営讃岐まんのう公園(香川県仲多度郡まんのう町)
※雨天決行・荒天中止 ※出演者の変更・キャンセルに伴う払戻は致しません。
時間:OPEN 9:00/START 11:00(予定)
■8月20日(土)
04 Limited Sazabys、10-FEET、DJ 石毛 & ノブ(the telephones)、Dragon Ash、フレデリック、ハルカミライ、ハンブレッダーズ、Hump Back、神はサイコロを振らない、KEYTALK、古墳シスターズ、MONGOL800、MY FIRST STORY、My Hair is Bad、ORANGE RANGE、Rei、SHANK(Acoustic Set)、菅原卓郎 SESSION2022、四星球、打首獄門同好会、UVERworld、WANIMA、ヤバイ Tシャツ屋さん、yama、夜の本気ダンス、女王蜂
■8月21日(日)
秋山黄色、BiS、BiSH、BLUE ENCOUNT、Creepy Nuts、FUNKY MONKEY BΛBY'S、go!go!vanillas、LONGMAN、マカロニえんぴつ、真心ブラザーズ、MAN WITH A MISSION、マキシマム ザ ホルモン、Novelbright、小田和正、緑黄色社会、Saucy Dog、SHE'S、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、スキマスイッチ、sumika、SUPER BEAVER、竹原ピストル、Taku Muramatsu four color sessions、東京スカパラダイスオーケストラ、Vaundy
https://www.monsterbash.jp/
※入園料・消費税込み ※未就学児無料(保護者同伴必須)
※モンバスシート付き(来場日によってデザインが異なります)