KANA-BOON『RUSH BALL 2022』ライブレポートーー「負ける気がしない!」、ギラついた熱情が沸かした初日大トリの舞台

レポート
音楽
2022.8.28
KANA-BOON 撮影=河上良

KANA-BOON 撮影=河上良

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『RUSH BALL 2022』KANA-BOON

地元大阪のフェスでKANA-BOONが大トリを飾る。しかもこの日の出演者たちはこれまでの『RUSH BALL』とはひと味違う、次世代のロックバンドが集まった1日。そこでどんなパフォーマンスで魅せてくれるのか、観客たちはじっと前を見据えて待っていた。1曲目「眠れぬ森の君のため」へ。インディーズ時代の代表曲でバンドの始まり、そしてめちゃくちゃパーソナルな一面を切り取った楽曲でライブがスタート。いつものグッドメロディでハッピーな雰囲気で突き進むと思いきや、まさかの選曲。今日のステージは面白くなりそうだと、ワクワクしてきた。

KANA-BOON

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「2013年、ATMCのステージから9年経って今日はトリ。KANA-BOONです、よろしくどうぞ。行くぜ、『RUSH BALL』!」。9年かけてこの場所に辿り着けたことを改めて言葉にして気合を入れ直すと、次曲は「シルエット」「フルドライブ」とキラーチューンを連発していく。古賀隼斗(Gt)のソリッドなギターはスピード感も心地良いし、小泉貴裕(Dr)の小気味良いビート、遠藤昌巳(Ba)のマッシブなリズムが体全体にぶつかってきてとにかく爽快だ。

「やっぱ気持ちーなー」「アガるわ~」、フロアのあちこちから観客の楽しそうな声が聞こえる。でも、実はこの日、谷口は喉の調子が良くなかったようで、少し納得がいかない様子。「(トリのステージに)9年かかったけど、このステージを任されるのは運とか奇跡ではない。あなたと自分たちの力!」と、力強く思いを語る。

KANA-BOON

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次曲「ないものねだり」、これまた何度も耳にしたキラーチューンだけど、この日はいつも以上に強靭で迫力を増したバンドサウンドが鳴り響いていた。曲中、谷口は断続的なコール&レスポンスがOKとなった環境について思いを語る。「やるかどうか考えて……答えを出しました。1歩ずつやってきた、今日もその1歩。コール&レスポンスやりましょう!」と、<ゆらゆら♪>と観客と一緒に大合唱。小さな一歩が大きな一歩に変わっていく。その瞬間を目の前にして、嬉しさと興奮でなんだかよくわからない鳥肌が立ってしまった……。ライブ前日に配信リリースされたばかりの新曲「きらりらり」は「シルエット」の続きをイメージして制作した楽曲。人生のページをめくるように、新しい一歩を彩るように。足元を照らすような明るくて力強いメロに心震わされる。

谷口はこの日、自分たちがトリを務める『RUSH BALL』初日のタイムテーブルには意味が込められていると語った。ロックシーンにおいて中堅の立場になりつつある彼ら。若手バンドが次々に登場し、あっという間に変わっていく音楽シーンを眺めつつも「負ける気がしない。体力ある限り、ここを譲る気はひとつもない。オレたちの世代、舐めるなよ!」と熱い思いを語る。キャッチーでポップな楽曲で人気を博してきた彼らにそんな熱情があったのかと驚いたが、この日のパフォーマンスがいつも以上に激しかったことにも納得がいく。

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ライブ後半、「まっさら」「メリーゴーランド」でライブバンド然とした姿を見せつけていく4人。強靭でドカドカとうるさいロックサウンドを鳴らすなか、谷口の視線はより一層ギラついていく。互いに感情を高め合い、会場はなんともいえない高揚感で満たされている。そしてラストは「スターマーカー」。キラキラしたバンドサウンドはやっぱり彼ららしくて、ハッピーな気持ちのまま突っ走ったステージはこれで終了。

「優しくしてくれてありがとう。この恩はいつか返すから。『RUSH BALL』初日、お疲れ様でした!」、達成感とほんのちょっと悔しそうな表情を見せつつステージを後にした4人。称賛の拍手とともに、恒例の花火が盛大に上がり、『RUSH BALL』初日の幕が閉じた。

KANA-BOON

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取材・文=黒田奈保子 撮影=河上良

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