BiSH『RUSH BALL 2022』ライブレポートーーライブの掛け替えのなさを実感、オーディエンスとパワーを分かち合ったステージ
BiSH 撮影=河上良
『RUSH BALL 2022』BiSH
ライブのひとつひとつが掛け替えのないもの。この日それをいちばん切実に感じていたのは、2023年をもって解散が発表されているBiSHと彼女たちのファンだったのではないだろうか。さっきまで薄曇りだったのが嘘のように日差しが輝く中、メンバーのセントチヒロ・チッチが声を上げる。
「『RUSH BALL』初めまして。いくぞ!「BiSH-星が瞬く夜に-」!」
グレーと白のドレスの裾を軽やかになびかせ、笑顔で歌うアイナ・ジ・エンド、セントチヒロ・チッチ、モモコグミカンパニー、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人。高く挙げた手の平をヒラヒラと動かすメンバーと共に、広い場内にも無数の両手の星がきらめく。そして、2年半ぶりとなる観客とのコール&レスポンスと共に、「GiANT KiLLERS」から、ユニークなコリオグラフも印象的な「ぴょ」と、エモーショナルなロックチューンを立て続けに披露。6人の笑顔がステージ脇のスクリーンに映し出される。
BiSH
「久しぶりにみんなの声を聞いているので、今日は私たちがパワーをもらってます。みんなのパワーがすごいです」
嬉しそうにそう話すチッチの言葉の後、「アイナは大阪出身でしょ? 『RUSH BALL』来たことある?」とハシヤスメがたずねる。すると、「遊びに来たことありますよ」とアイナ。「今日ここにいるみなさんにだけ教えます。ネットでは豊中市出身と言われてますが……『RUSH BALL』に出た時に言おうと思って7年ぐらい温存してました!」と、出身地の真相を明かした。
BiSHにとって初出演となる『RUSH BALL』での初公言に、どよめきと歓声を上げるオーディエンスたち。そんな衝撃の告白後に披露されたのは、この日のトリを務めるWANIMAのKENTAが作詞を手がけた「サヨナラサラバ」。案の定、場内は熱狂の渦と化していく。サビを歌うアイナのハスキーで切ない歌声とリリックが胸に突き刺さる「オーケストラ」では、曲の最後にチョップにした右手を頭の上に立てたBiSHポーズを決める6人。あと何回、『RUSH BALL』のような野外ライブイベントや「フェス」で彼女たちのこの姿を見ることが出来るのだろうか?
清掃員(BiSHファン)たちとの一体感ありきの名曲「サラバかな」に続き、「明日も自分らしく生きられますように!」というチッチのMCを合図に最後に披露されたのは、「beautifulさ」。2年半ぶりにBiSHとオーディエンスが共にパワーを分かち合えたこの日、解散まで続く濃密な夏の思い出がまたひとつ増えた。
BiSH
取材・文=早川加奈子 撮影=河上良
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