SiM『RUSH BALL 2025』クイックレポートーー地獄の業火で焼き尽くす、9年ぶりの大トリで魅せた圧巻のステージ

レポート

音楽

SiM　撮影＝河上良

SiM『RUSH BALL 2025』

「『RUSH BALL』、死ねーーーーーー！！」、『RUSH BALL 2025』の大トリを務めたSiMがステージに上がり、叫んだ第一声。MAH（Vo）の咆哮を合図に、「KiLLiNG ME」の爆音が鳴り響き、ステージに豪快な火柱が立ち上がる。タイトル通りのキラーチューンとあって、観客は着火剤をつけられたように一斉に拳を突き上げ、歓声を上げる。ステージ前方が一瞬で霞むほど、フィールドにはこの日一番の砂埃が舞い上がる。ライブ開始直前は吹き抜ける風で気温も下がっていたはずなのに、火柱の熱とは関係なく、フィールド全体が異様な熱量を帯びている。

「Amy」でのSIN（Ba）の脳の奥底を刺すような剛毅なベースライン、SHOW-HATE（Gt）のダイナミックだけど流麗なギター。発破をかけるようなサビの勢いに乗り、誰もが無我夢中で踊っているし、次曲「JACK.B」では捲し立てるようなMAHのリリックに歓声が上がった途端、フィールド一面が一斉にヘドバンを繰り出していく。GODRi（Dr）のビートは骨太で鋭利で、気を抜くとヘドバンで下げた頭がそのまま地面にめり込みそうになってしまう。セキュリティ泣かせのナンバーが続くなか、MAHはまだまだと言わんばかりに威圧感満載のスクリームを響かせる姿も爽快だ。

「『RUSH BALL』といえばSiMと言っても過言ではないと思います。SiMといえば『DEAD POP FESTiVAL』。ここは『DEAD POP FESTiVAL』大阪場所といっても過言ではない。お前らを遠慮なく屠っていくんでよろしく！」と、「MAKE ME DEAD!」へ。ひと足早いハロウィンナイトかな？ってくらいに、フィールド全体に妖しげな空気が充満。会場の最大出力の音量をオーバーしてるんじゃないかと思うほどの爆音が鳴り響くも、多彩なジャンルを盛り込んだ「SiMのいいとこどり」なサウンドは極悪でいてポップ！　かと思えば、「暴れるだけがSiMの音楽じゃないってこと見せましょう！」と、「The Sound Of Breath」ではSiM流のバラードで観客の視線を釘付けに。楽曲はもちろん、パフォーマンスの緩急の妙は「さすがSiM」と唸ってしまう。

『RUSH BALL』のトリを務めるのは2016年以来となる彼ら。今年のラインナップはタフで筋肉隆々な先輩アーティストが揃っていることにも言及しつつ、「この悪魔に『RUSH BALL』がトリを任せたのは順番ではなく、SiMが今一番仕上がっているから！」と、バンドが絶頂期であることを宣言。さらに「見せてやるぜ！レベルが違うんだよ！　 9年ぶりのBAD END！　覚悟はできてんだろうな！？」と、「The Rumbling」で火柱が再び上がるなか、怒涛のサウンドを響かせる。国内外のライブシーンで磨き上げてきた楽曲は放たれる音の一瞬々々に見せ場があり、片時も目が離せない。

ステージ後半、「暴れるだけがSiMじゃないって言ったけど、やっぱり暴れてるバカなお前らを見てると楽しいです！」と、これまた言葉の飴と鞭で観客を盛り立てると、「DO THE DANCE」で何度もピークを作り上げていく4人。生きるか死ぬかではなく、踊るか死ぬか。観客の最後の力を吸い取るように、最終曲「f.a.i.t.h」へ。オーディエンスを地獄の業火に突き落とすようにフィールドを大きく割ったMAH。オーディエンスは大喜びでそのカオスへと飛び込んでいき、『RUSH BALL 2025』のこのステージは興奮と扇情的なSiMのステージで幕を閉じた。